—今回ボランティアに申し込んだ理由は?
元々別の団体でキャンプボランティアをしていました。他の団体でのキャンプを経験したいという思いから夏に一般ボランティアとして参加しました。その時に山賊キャンプのキャパシティの大きさやあたたかさに衝撃を受け、もっとこの場所、人と長期間関わりたいと思ったことから長期ボランティアで参加したいという気持ちが生まれました。
特に、なぜあたたかさを感じたのか、その理由が気になったことが大きかったです。考えた末、「自分を大切にしていること」「自分を大切にできるからこそ周りの人を尊重することができること」があたたかさの根底にあるのではないかと答えを出しました。私はまだ自分を大切にすることがわからず、そのせいで周りの人を傷つけてしまうことがよくあります。だから、自分を大切にするとはどういうことなのか、グリーンウッドの人たち、キャンプに参加するこどもたちやボランティアの方々と関わる中でその答えを探したいと思い、参加を決めました。
—こどもとの関りから学んだことは?
キャンプ中にあった自由時間で、こどもたちは他の人ことは気にせず、自分の意思でやりたいことをすぐに決め、取り掛かっていました。焚き火で焼きみかん、建物の縁側で工作、神社の境内で工作、草むらから材料探し、部屋の中でキャンプファイヤーの準備、みかんジュース作り、お昼寝、と四方八方にこどもや相談員が散っている状況で、みんなが本当にキラキラと輝いていました。私は焚き火の安全管理をしていましたが、その光景に惹かれて全ての場所に行きたいと思いました。しかし、私の体は一つしかなくて、ふと、だから人は尊いのだと感じました。「あなたは世界で1人しかいない、だから命を大切に」という言葉は耳にしたことがありますが、私には実感がありませんでした。しかしこの時初めて、私という人はたった1人しかいなくて時間もやりたいことも有限だからこそ、“尊い”のだと思いました。それは私の隣にいるこの人も、あの人も、みんな世界に1人しかいない大切な尊い存在であるということです。当たり前のことかもしれません。でも、私はそんな尊い存在である1人1人が集まり、大きな家族のようにまとまっていくこの状況は奇跡のように感じました。
—スタッフとの関りから学んだことは?
スタッフの人はとにかく行動が早い!「これ食べようかなぁ〜」と言っている間にお箸を用意してくれていたり、食べた後の食器の片付けが面倒でどうしようか悩んでいるうちに「一緒に洗うから持っておいで」と言ってもらったりしていました。朝づくり(朝の掃除)も、分担の話になった時、私これやるよ〜と次々に仕事が決まっていきました。私はかなりなまけもので朝づくりも片付けも、少し面倒に思ってしまうことがあります。実際にやってみると綺麗になることが心地よく感じるのはわかっていても、面倒だという気持ちがむくむくと出てきて動き出すまでに時間がかかってしまうのです。しかし、キャンプの現場になると先延ばしにできないことが多くあります。だから現場では手早く動くことはわかるのですが、こどもがいなくとも同じように動くことができる、オンオフではなく常に一貫した意識があることが、時間や心の幅を作ること、自分、周囲の人、こどもたちへまっすぐな隠す姿のない自分であることに繋がっているのではないかと思いました。
また、一つ一つが丁寧であることに気づきました。種菌からヨーグルトを作っていたり、オリジナルのハンドクリームを作っていたり…うまく言葉に表すことができないのですが、ひとつひとつの行動に楽しさや愛おしさを持っているように感じました。
—本部スタッフとして学んだことはありますか?
こどもと行動を共にする相談員(一般ボランティア)ではなく、キャンプ全体を見る長期ボランティアの立場だからこそ見える景色やまた自分に向き合う機会が増えたことが一般ボランティアで参加した時との大きな違いでした。
全体を見ることの中にはこどもだけでなく、相談員の姿もあります。相談員がこどもとどのように関わっているか見ることができ、自分とは違う言葉かけの仕方や返答の仕方を聞いていて新たな視点を得ることができました。
また、本部の仕事としてこどもたちと関わらず個人で動く時間があることから、その間に自分は今何を考えているのか、何を感じているのか、たくさん思い返して考えていました。考えようとしていたわけでなく、生き物のように変化していくキャンプをよりよくしていくためにどうしたらいいか常に考えていたことから、自分に向き合うことへ繋がったのだと思います。これらのことから、自分はまだまだ幅が足りないこと、まだまだ弱い存在であることを実感しました。
—これから長期ボランティアに来るか悩んでいる人へ、一言!
長期ボランティアはよりキャンプの中核に入っていく感覚があります。仕事として求められるものはそれほど多くありません。その代わり、自分がどれくらい自ら動き、挑戦することができるかを問われます。正直なところ仕事を求められる方が楽で、自ら動くことは本当に難しく困難でした。
それでも、この現場は挑戦を許してくれる場所です。失敗した時は適切な改善方法を教えてもらうことができます。そんな環境の中で自分の力を伸ばしていくことができます。
自分の選択が間違っていないか、キャンプ中はとても不安になります。その不安を持ちながら、自分の力で歩みを進めていくことは自分をより強く、感性豊かに育てることになると思います。自分の壁を乗り越えたいと思う人、弱いところがあると感じる人へ、ぜひ挑戦してみてほしいです。

地域での子育てに関心を持ち、2014年に新卒でグリーンウッドに就職。大学時代、間伐ボランティアをやっていたことから、現在は泰阜村の森林を生かした活動に関心がある。また妊娠・出産を経て、子育てに奮闘中。2児の母。