全国各地からこどもたちが集まって1年間の山村留学をしている「暮らしの学校だいだらぼっち」。こどもたちは掃除、洗濯、炊事などの生活に必要なことを全て自分たちで仲間と協力しながら行います。また、1年間の予定も生活の中でのルール(起床や登校の時間、ごはんづくりの当番など)も何も決まっていなため、1つ1つを多数決をとらず全員が納得するまで話しをして、自分たちの生活を作り上げています。
そんな暮らしをしているこどもたちが、11月18日(土)、11月19日(日)に名古屋・東京の会場へ出張し、次年度以降にだいだらぼっちへの参加を検討している人たちに向けた説明会を行いました。
次年度の仲間を集めるために自分たちが大切にしていることやチャレンジしていることをこどもたち自身が伝える出張説明会。実はこの説明会は開設したはじめの年から続けている取り組みです。
当時のだいだらぼっちには車もなくタクシーや路線バスを乗り継ぎ出かけて行っていました。移動するだけでも大変な労力ですが、そうまでして力を込めて取り組むには理由があります。
どんなに楽しいことややりたいことをしたくとも、ひとりではできないことがたくさんあるからです。薪の暮らしや米作り、畑づくり、日常の暮らしをつくっていくためには仲間の存在が欠かせません。一人ひとりの力を持ち寄って支え合って1年を暮らします。
説明をスタッフで行うこともできますが、彼らが語る言葉に楽しいことや大変なことを含めたリアルな暮らしそのものが伝わります。だいだらぼっちで暮らすのはこどもたち自身。そして来年1年間のチャレンジを創るのもこどもたちだからこそ、仲間集めをこども自身が行うことに意味があるのです。
だいだらぼっち祭りが終わった後の11月上旬、説明会に向けて準備がはじまりました。みんなで伝えたいことを出し合います。どんな情報が必要なのか、自分たちが伝えたいことは何か、当たり前のように暮らしているけれど、なぜこの暮らしをしているのか、この半年間の日々を振り返りました。
東京・名古屋の2チームに分かれ、和気あいあいとスムーズに進んだり、初めから意見が対立して膠着状態になったりと、始まりは対照的な2チームではありましたが、なんでだいだらぼっちに来たのか、今楽しいことは何?暮らしていく中で大切にしていることは?と話し合いを重ねました。
様々な場所から「この指とまれ」で集まったメンバーが「この指ってなんだ?」と話す中でどんどんとエンジンがかかり、創り上げていきました。
そして迎えた当日、参加者は名古屋4家庭9名・東京6家庭15名の方にご参加いただき説明会が行われました。
暮らしの説明、Q&A、交流会というプログラムで進行しました。だいだらぼっちのこどもたちの保護者は14家庭も会場に駆け、参加者からの質問に答えていただきました。
暮らしの説明は、だいだらぼっちが大切にしていることの説明から始まり、1日のスケジュールや学校や地域との繋がりなどを話しました。また、薪割りや部屋の様子、飼っている鶏や番犬を映像を交えながら伝えました。ちょっぴりの緊張感もありつつ、自分たちの言葉で伝えられていたように思います。参加いただいた方からのQ&Aのコーナーでは、「なぜだいだらぼっちに参加することを決めたのか」や「泰阜村の子たちとはすぐに仲良くなれたのか」、「ケンカってありますか」などの質問に対して率直に答える姿が印象的でした。
交流会では、こどもと保護者とこどもでそれぞれ分かれて行いました。保護者の方はスタッフや応援に駆けつけてくれた現役生保護者と「実は勉強面での心配がある」「うちの子はやんちゃだから皆さんに迷惑をおかけするのではないか」と親としての不安や疑問についての話が行われていました。こどもたちは、だいだらぼっちのこどもたちが用意したレクリエーションをしながら、参加者からの質問に答えたりしていました。
自分の言葉で説明すること、それは大人であっても難しいことです。堂々と自分たちの暮らしを在りのままに語ることもたちがとても大きく見え、私自身もとても感動した2日間でした。

埼玉県上尾市出身。高校までの9年間野球漬けの毎日。2013年に長野県下伊那郡泰阜村へ移住。村内でも山奥とされる集落で住み始め、結婚。家族6人と動物たち(黒柴・猫1匹・山羊・烏骨鶏たくさん)で田舎暮らし実践中!