暮らしとのつながりが見えれば|2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん3月の研修報告~

3月は、今年度のだいだらぼっちを締めくくる「引継ぎ会」に向けての準備を主にしました。引継ぎ会は、今年度の仲間と過ごす最後の日であり、来年度からだいだらぼっちで暮らす新しいメンバーを迎え入れる日でもあります。今年度の引継ぎ会では、1年間特に力を入れた活動を来年度に引き継ぐために、「何を引き継ぎたいか」、「どのように引き継ぐか」を話し合い、係ごとに準備をしました。私は、畑作業を引き継ぐ係に立候補したので、畑ノートを作り、畑への想いを引き継ぐことを3月の目標にしました。なぜ、この係に立候補したかというと、来年度畑作業をする時に、今年度積み重ねた畑の知識や実際にやったことから試行錯誤することで、より面白い畑作業になってほしいと考えたからです。

同じ係に入ったこどもたちと、畑ノートを書いたり、引継ぎ会でのセリフを考えたりする中で、気づいたことがあります。それは、「畑と暮らしのつながり」を実感するようになってから、畑作業への意識が変わったということです。

係で来年度のメンバーに伝えたいことを話し合っている時に、「良い畑って何だろう?」という話をしました。たくさん野菜が収穫できる畑、土が元気な畑、みんなが気に掛ける畑…色んな意見が出ました。その中で、「食べたいという気持ちがモチベーションになる畑」という意見が腑に落ちました。春に植えた大豆が、9月に枝豆としてたくさん収穫でき、みんなで収穫したものが食卓に上がる充実感を味わったことをきっかけに、「たくあんを作りたいから、練馬大根を育ててみよう!」という意見が出たり、育てた野菜で漬物や凍み大根などの保存食づくりをしたりしました。最初は、「育てることへの興味」しかなかったけれど、「食卓」という暮らしの一場面と畑で作物を育てることとのつながりを実感したことで、「育てて、食べることへの興味」に変化したのだと思います。このような変化があったからこそ、今年度のメンバーの畑への想いが強く、引継ぎ会で「引き継ぎたいもの」として候補に挙がったのだと思います。

また、係のこどもから、「昨年度の畑と今年度の畑は全然違う!」という声がありました。私は、昨年度の畑を知らないので、今まで実感していなかったのですが、昨年度は、土が固すぎて耕すのも億劫だったり、みんなで収穫して食べられる野菜もわずかだったりで、あまり畑作業のモチベーションが高くなかったそうです。そんな畑が、今年度はみんなが引き継ぎたいと思える段階まで変化したことに気づかされ、驚きと喜びを感じました。村の農家さんから教えてもらったこと、実践して成功したことや失敗したこと等をノートにまとめ、来年度の畑作業では、より追究して畑を楽しんでほしい!という想いを込めたノートが完成しました。

今年度、教師・指導者育成プロジェクトに参加し、こどもたちや相談員と一緒に暮らす中で、人と関わること、自然と共に暮らすこと、ものづくりをすること等、実感の伴う経験から得た学びや、価値観の変化がありました。全てを具体的に言葉にして表すことは、まだできず、自分の中で昇華しきれていないというのが素直な気持ちです。それでも、これから新しい暮らしをする中で、自分自身の変化に気づいたり、進みたい方向性を納得しながら決めたりし、だいだらぼっちでの1年間の暮らしが生きる場面がたくさんあると思います。1年間一緒に暮らしたこどもたちや相談員のみなさん、私のブログを読んで応援してくださった保護者のみなさん、いつも支えて、見守ってくださりありがとうございました!

3月担当スタッフバズのコメント

活動のひとつ一つが連なること、暮らし中の必然性を感じたことがこどもたちの変化につながったのではないでしょうか。当たり前の暮らしの中でも必ず理由があり、行動が伴います。目的を明らかにして進むことで初めて成功も失敗も得られるのです。次の年に向けて何を引き継ぎたいのか。こどもたちの変化はまさしく、地道に積み重ねた暮らしの賜物です。

1年間のチャレンジを終え、新たな暮らしをスタートさせたふーみん。これからの生活の中でも悩むこと迷うことも出て来るでしょう。それらも自分自身を成長させるものの一つとして、歩んでいって欲しいと願います。がんばれふーみん!