「伝えたい」想いを持って|2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん6月の研修報告

 6月はナイトハイクや蓼科登山、梅雨野宿や梅ジュース作りなど、こどもたちとの活動も盛りだくさんな1カ月でした。また、相談員(グリーンウッドスタッフ)と週2回の川研修にも参加しました。

 川研修で学んだことは、川での「リスク」をいかに「楽しさ」「挑戦」「学び」につなげるかということが大切ということです。川が流れる仕組みを使って流されたり、高い崖から飛びこんだりなど、安全管理だけでなく川の面白さも経験しました。こどもとの川遊びの時は、リスクを事前に把握しコントロールできれば、面白い経験につなげられることが分かりました。

 6月を過ごしてみて、心に残っている出来事があります。

 まず畑作業についてです。週に1度の草取り、学校に行く前と放課後の水やり。そんな地道な畑作業へこどもたちの気持ちが持続しないことが気になっていました。まいた種が鳥に食べられないか、水やりや草取りの頻度を増やした方が良いんじゃないかなど、頭の中で悶々と考えながら畑作業をしていました。

 そんな時、私の心に響いた言葉は「このままだと、こどもたちにとって振り返りのできない畑になるよ」という相談員バズからの言葉です。いくら私が一人で考えても、一人で畑作業を頑張ろうとしても、こどもたちと畑の結果を目の前にしたときに、「なんか上手くいかなかったね…」もしくは、「なぜか分からないけれど上手く野菜ができて良かったね」という感想を持つだけに終わってしまう。こどもたちが畑作業の過程に目を向け振り返りのできる畑にするためには、ふーみんが考えていること、ふーみんの本気をタイミング逃さずに伝えるのが良いとアドバイスをもらいました。

 しかし私はこどもたちの心に響くように伝える自信がありませんでした。それでも夜の連絡で私の気持ちをこどもたちに伝えてみると、同じように課題意識を持っていたこどもがいることに気づいたり、全員で草取りの頻度について考え直したりなど、全員で取り組む動きに変わりました。相手の心に響くように伝えることは難しいけれど、伝えるテクニックの習得よりも先に、「伝えたい」「一緒に考えたい」という想いを持つことが大切だと感じました。

 そして6月は「伝える姿勢」についても考えさせられました。ものづくり教室の先生であるギックの話を聞いていると、何か引きつけられるものがあると感じます。ギックの話を聞くこどもたちの姿は真剣な眼差しをして、その時は古い道具の話でしたが、興味津々に道具を観察し、道具の用途を想像していることがひしひしと伝わってきました。ものづくり教室以外でも、泰阜中学校で行われた満蒙開拓について学ぶワークショップで、ギックのお話を聞く機会もありました。今までは日本の戦争の歴史について受け身な姿勢で学んでいたのに、今回は自ら「知りたい」という気持ちが湧いてきました。

 「伝える人」は、何かを継続して学び、経験し、それを極めようとしている。だからこそ、伝える時の言葉に説得力があるし、心にすっと届くのだと思います。そんな伝える人に憧れを感じました。私は将来何を伝えたいか、私にしか伝えられないものは何かを考え続けたいという気持ちが生まれました。

 「ふーみんがやりたいと思うことを何でもやってみれば良い!」という言葉をかけてくれる人がグリーンウッドにはたくさんいるけれど、私は具体的に何をしたいのか…と考えることがあります。今後は将来を見据えて今挑戦したいことを、だいだらぼっちの暮らしと関連付けながら行動していきたいです。

 私は学校でも家庭でもない第3の居場所をつくりたいという想いがあります。第3の居場所のイメージは、食卓の場があり、色んな世代の人たちがつながれる居場所といったイメージです。このような夢を持ったのは、地域の人たちが集うこども食堂でのボランティア活動や大学で食育について学び興味を持ったこと、学生同士が語り合える場が好きだったことが影響しています。このような居場所作りを通して、私が伝えたいことと向き合いたいと考えました。

 この夢を実現するために、人と人をつなげられるような力をつけたいです。その第一ステップとして、まずは私から誰かとつながろうとすることが必要だと思います。そこで、グリーンウッドの相談員たちや8月から始まる山賊キャンプで出会う相談員たちと、遠慮せずに色んな話をしたいです。なぜなら、人の話を聞くことで感じること、自分の考えていることを言葉にすることで感じることが成長につながると思うからです。出会う人たちと話をする中で、色んな価値観や考え方に触れることのできる7・8月にしていきます。

 また、食育への興味もだいだらぼっちでの暮らしに活かしたいです。暮らしを創る中で「食育」に関連することはたくさんあると思います。特にだいだらぼっちでの食卓は、調理をしている人が見えるお勝手があったり、食事を作ってくれた仲間に対しての「ありがとう」「美味しい!」というあたたかい言葉が飛び交ったりなど、食卓の在り方が面白いです。「食」という視点を持って、だいだらぼっちの暮らしを見つめ直すことで食育の考えを深めたいです。8月から始まる山賊キャンプでは、こどもたちの食事作りの時間を大切にしたり、泰阜村の野菜について伝えたりすることにも挑戦していきたいです。

6月担当 くみのコメント
 だいだらぼっちには毎日“連絡”の時間があります。次の日の段取り考えたり、困りごとを話し合ったりします。こどもも相談員もだいだらぼっちのおきて「一人一票」を日々実践する場です。「自分が話しても何も伝わらないのではないか」「うまく伝えられないのではないか」という思いが先行しますが、勇気を出して手を挙げ伝えるとその場に何らかの変化は必ず起こります。私たちは伝えることが仕事です。特にこれから始まる夏のキャンプも伝えることの連続です。ふーみんの中に湧いてくる「伝えたい」という気持ちに向き合い、自分なりの「一人一票」を実践してほしいと思います。