自分の手で“生み出す”食器は“等身大の自分”|1年間のだいだらぼっちリアル!

 毎日の食事に欠かせない食器。欲しい!と思えば、お手軽かつお安くに手に入れることが出来ます。では、だいだらぼっちでこどもたちが使う食器はどんなものでしょうか?

 それは、“手作り”焼き物の食器です。

こどもたちが作るマイ食器(ご飯茶碗・コップ・小鉢・夕食皿・朝食皿・丼・お箸)

 だいだらぼっち1年目のこどもたちは、4月から7月までかけてmy食器を作ります。6種類の食器を作ることを通して、粘土の練り方や焼き物作りの基本的な技法をものづくりの先生から習っていくのです。これまで体験として焼き物をやったことがある子はいますが、これほど本格的に焼き物をやることはほとんどいません。なので、こどもたちは作り方を教わる度に発見や驚きを感じています。そして、同時に“楽しさ”や“喜び”に出会います。目の前の粘土が思い通りの形になっていく面白さ。作っていく過程でどんどんイメージが溢れてくるワクワク感。自分の手で生み出せる達成感。世界に一つだけのmy食器が生み出されていく瞬間、こどもたちの表情はイキイキしています。さらに、こどもたちの発想力は本当に素晴らしいものです。「色んな色が混じり合う不思議な仕上がりがいい!」「食べきったら、お気に入りの絵が見えるデザインにする!」と、“ねばならない”に縛られることなく、のびのびと形にしていきます。

 一方で、焼き物づくりは一筋縄ではいかないものでもあります。作りたいイメージを紙に書き、準備万端で望んだとしても、粘土が思い通りの形にならない…むしろ、完成イメージから遠のいていくことは頻繫です。時には、どうしていいか分からず、いくらやってもダメ。自分には出来ないんだ…と自信を無くし、泣き出してしまうことも。「これから使う食器だから、市販の食器のように綺麗に作りたい」という気持ちが強く心にあるからこそ、理想と現実のギャップに落ち込んでしまうのです。

 ものづくりは、自分自身と向き合う時間。そして、出来上がる作品は等身大の自分です。こどもたちはmy食器作りを通して、上手くできない自分、ピンチを挽回できない自分、投げ出したくなる自分…と様々な弱点に出会います。そんな時、どう向き合うのか?途中で作る手を止めて、考えることを止めて、逃げ出すことだって出来ます。ですが、こどもたちは泣きながらも手先を動かし、自分の手と頭で最後まで作り続けました。諦めずにやり続けるからこそ、my食器への思い入れが強くなるのです。

 

 喜び・楽しさ・悔しさ・悲しさ…たくさんの想いが詰まったmy食器。完成までの道のりは決して楽しいだけではありませんでした。しかし、自分の手と頭をフルに使って生み出した食器だからこそ、食べるご飯は格別です。食卓では「自分で作った食器で食べるとなんだか一段と美味しく感じる!」「この模様と色が料理をさらに美味しく見せている気がする♪」との声が聞こえてきました。

 

 ワクワクとドキドキで始まった1学期。あっという間に月日が流れ、残すところ3日です。学校行事やイベントが盛りだくさんで大忙しの2学期も、ものづくりは続きます。暮らしの中から、どんな作品が生み出されるのか?どんなものづくりドラマが繰り広げられるのか?楽しみです。