思考をとめるな ~健全なまなざしで見つめよ~

毎日ニュースで激増の数字が飛び込んでくる。
コロナ感染症が再び社会を覆い始めた。
例年であれば、ちょうど今頃から「信州こども山賊キャンプ」が始まっている。
こどもの安全を最優先にして5月に全面中止を決めた。
その後、感染者が減少する時期には、もしかしてできたのかも、と想わないでもなかった。
しかし、7月に入っての大雨被害や感染者数増加の状況を考えれば、5月の決断は正解とまでは言えなくとも最適解なのかもしれない。

だからといって、われわれNPOの経営が破壊的である状況は変わらない。
経営を考えれば、今すぐにでもこどもを集めた事業を実施したい。
しかしそれでも、それでも、こどもの安全を優先順位の最高にしている。
同じような身のちぎれる想いを抱いているひとびとが、全国にたくさんいる。
きっと観光業に携わるひとびとも同じなんだろうな、と強く想う。

普段はおだやかな天竜川も・・・

長野県南部は、3週間ほど大雨が続いた。
止まない雨とコロナの恐怖。
生きる望みを失いかけているひとびとがどれだけいることか。
こんな状況でいったいどこにGO TOするんだろう。
この国は、いったい何を守ろうと急いでいるんだろう。
不思議でならない。

恐ろしいまでに大増水した

この数か月、社会は一変した。
コロナは「敵」であり、コロナに対峙することを「戦争」と表現する為政者が多い。
これだけの死者が出ている世界の状況をみればそれを端から否定するものではないが、それでも強い違和感がある。

歴史をひもとけば戦争の時、国(権力)に従わないひとびとは非国民とされ、それが同調圧力を生み、思考を停止していった。
危機的な状況の時、国は国民をコントロールしようとする。
良い方向に向かえばいいが、気をつけないとあっという間に悪い方向に行く。
そして、必ず「より弱いものが犠牲になり続ける」負の連鎖が起こる。
それが歴史の必然だ。

コロナには立ち向かわないといけない。
それは間違いはない。
しかし、盲目的に突き進む戦争ではない。
思考を停止させようとする波にもまれるな。
国のため国のためと、国民(こども)を守らずに国を守ろうとする動きを冷静に裁断せよ。
健全な批判精神を身にまとえ。
健全なまなざしで見つめよ。
この国の為政者たちが、この数年間どのような立ち居振る舞いを続けてきたか。
そしてこの激動の瞬間に、どのような言葉を発するのか、どのような行動を起こすのか。

翻って、それはわれわれ自身にもいえる。
山賊キャンプが開催されていたはずのこの時期。
東京でオリンピックも開催されているはずだった。
この混沌とした、いや破局的な世相で、私は?
どのような立ち居振る舞いをするのか。
どのような言葉を発し、どのような行動を起こすのか。
今まさに、「自律」が問われている。

代表 辻だいち