養護教諭を養成する ~ひとねる大学(飯田女子短期大学バージョン)~

泰阜ひとねる大学(飯田女子短期大学バージョン)。
ひとねる大学とは、泰阜村の教育力を発揮して、大学と村、NPO,村民が協働で学生を育てる仕組みである。

地元の飯田女子短期大学で養護教諭のタマゴを対象に授業を受け持って9年になる。
3つの授業を持っているが、今回の学生は「青少年体験活動演習」の履修生。
明確に養護教諭(要は保健室の先生)を目指す学生が泰阜村にやってきた。
この学生は、短大の専攻科に属している。
専攻科というのは、本科2年の後にさらに設けられた2年の研究科である。
あわせて4年制大学と同じ学士を得られるのだろう。
それもあってか、本当に目標にめがけて学ぶ姿勢がすこぶる良い。

前期には大学で何度か事前講義を行った。
泰阜村のこと、NPOグリーンウッドのこと、キャンプを通した学びのこと。
7月には名古屋で開催された、山賊キャンプボランティア研修会にも参加した。
高度かつ自発的な学びを身に纏い、彼女たちは山賊キャンプのこどもたちと向き合った。
養護教諭は学校内、とりわけ保健室の中での対応が主になる。
しかし、こどもたちを取り巻く環境は常に学校・保健室ではない。
遠足もあれば宿泊を伴う学習、修学旅行もあるだろう。
施設や機器がそろっていない状況でこどもたちと向き合う経験が、彼女たちには決定的に必要なのだ。
その経験を、泰阜村全体が提供する。

全国から集まるこどもたち、青年たちと向き合い、泰阜村の自然と格闘し、村の土で育った野菜を食べながら、学生は感覚を総動員させて学びを手にした。

「養護教諭になれば、キャンプなどの校外実習にも参加するようになるが、今回の経験なしに校外学習に参加していたら、何も分からなくて不安ばかりになっていただろうと思う。今回の経験は将来絶対自分の力になってくれると思うし、自信を持たせてくれると思う」
「これから目指す養護教諭の仕事には、子どもたちの怪我の防止も含まれている。学校内外の危険について予測するときなど、今回の経験や学びが役立てられると思うので、得た知識や情報を生かしていきたい」

キャンプ終了後に課したレポートに記してあった学生の言葉だ。
9月下旬からは、学びを改めて腑に落とす事後講義が始まる。
きっと彼女たちは、素敵な養護教諭になってくれるに違いない。
それを泰阜村から信じ続けたい。

代表 辻だいち