山賊キャンプ無事に終了。しかし最終参加者は78名に。
2年ぶりに行われた「夏の信州こども山賊キャンプ」は、8/10に無事に終了いたしました。
このコロナ禍において体調不良者が出ずに終えられたことに、まずはホッとしております。
当初より、定員を例年の1000人から240人に縮小しての実施を決定していました。あわせて感染リスクをできるだけ低くすること、地域の医療体制に影響を与えないためにも、緊急事態宣言発出地域と新規感染者が10万人あたり15人を超える都道府県に住んでいる方の参加をお断りするという基準を設けました。
キャンプイン前はまだまだ感染者が少ない状況でしたが、日を追うごとにみるみるうちに増え、参加をお断りする地域も当然ですが比例するように増えていきました。結果、定員いっぱいだった240人の参加者から最終的には78人となり、全8組の開催予定も、長野県内が基準を超えたことで5組で終了となってしまいました。
少ない人数での開催とはいえ、参加できたこどもたちは貴重な体験ができました。一方で参加したこどもたちよりも、感染拡大からお断りしてしまったこどもたちの方がたくさんいます。楽しみにしていたこどもたちの落胆する様子が目に浮かんできます。本当に申し訳ない想いでいっぱいです。
コロナ禍でこどもたちは。保護者からのアンケートから。
「自分たちで食事を作ることややりたいことを自分たちで考える機会を与えてくれて良かったです」
「怖がりの息子が、沢に飛び込んだり、聞いた怪談話を話せるようになってびっくり」
「学校は何で先生が決めるんだ?という疑問を持っているわが子が、自分たちのしたいことを自分たちで決めるといったことができて良かったです」
「家で作ったことがないのに、豆腐ハンバーグ作った!には驚きました」
「普段はこどものやってみたいの全てには応えることができませんが、山賊キャンプに参加している間は、こども自身の「やってみたい」にトライさせてもらえるので本当にありがたい」
「きゅうり丸かじりしたんだよ。トマトも!と家では他の兄弟がまるかじりしても食べなかったのに!」
保護者の皆様からいただいたアンケートからは、少ない人数ではありましたが、こどもたちが自分たちで新しい自分を発見する様子が伺えます。実施した甲斐がありました。
学びは経験がなければ身につきません。いくら「主体性を持ちなさい」「人にはやさしく接しなさい」と言われても、本人が実感する場がなければ、言葉としては理解していても本当の意味で理解することはできないのです。
特に経験の母体が圧倒的に少ないこどもたちにとって、「体験」はものすごく大切なことなのです。
一方でコロナでの体験が学びとして定着している様子もありました。キャンプ中、密にならない状態でもマスクを取らなかったり、食事中もついおしゃべりしてしまうのではないか、というこちら側の不安をよそに黙食していたり。感染予防対策がしっかり身についているという側面もありますが、「マスクをつける」「黙って食べる」が身についてしまっている状況に切なさと危うさを感じてしまいます。
「たかがキャンプ。されどキャンプ」
キャンプは思い通りにならない自然の中で、限られた資源を使い、仲間と協力し、知恵を使って暮らすものです。自分が考え、動かなければ暮らせないことや、仲間の多様性や協働の大切さ、自然の素晴らしさと共に過酷さを味わうなど、学びが溢れた最高の教材です。
「たかがキャンプ」ではありますが、これほど学びが詰まった教育の場はなかなかありません。このコロナ禍にこそこどもたちに学んでほしいものが詰まっています。
しかし「同じ釜の飯を食う」ことや火を囲んで「語らう」といった密接な人とのコミュニケーションが魅力のキャンプにとって、この感染が拡大している状況は次の一手がさらに取りづらい状況になっています。
新型コロナウイルスの脅威が去らなければ、これまでのアタリマエに戻すことは難しい。と改めて痛感させられたキャンプでもありました。果たして来年はコロナの不安もなくなり「アタリマエ」が戻っているのか、それは神のみぞ知る、です。しかし神様も含め、誰かに委ねてしまった瞬間に、自分自身が手の中にあるハンドルすら手放すことになってしまいます。
コロナウイルスに奪われたのは「自由」です。でも、まだわたしたちがどうにかできる「自由」はあるはずです。最後まで「できることはないか」その可能性を探り、手放さずにチャレンジすること。それが今年来られなかったこどもたちへの約束です。これまでと同じではないかもしれませんが、次に向けて前に進んでまいります。
改めまして、参加していただいた皆様、そして申し込んだけれど参加できなかった皆様、地域の皆様、キャンプ実施にご理解とご協力をいただいたすべての皆様に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

グリーンウッドの代表理事。2004年よりグリーンウッドスタッフとなり泰阜村に移住。一男二女の父。2024年より代表理事となる。