自分の脆弱なステレオタイプに驚く ~静岡大学での出会いの重なり~

静岡大学に来た。
2年ぶりだ。
2回目だから大丈夫だろうと高をくくっていたが、駅に降りったところから迷ってしまった。
そういえばバスでけっこうかかるんだった、と思い出す。
なんとも覚つかない出だしだった。

静岡大学は都心から少し離れた丘陵地帯にある。
というか山肌に張り付いているように建っているから、高低差がかなりある大学だ。
今回お呼びがかかった農学部も、正門からずいぶんと階段や坂道を上った先にあった。

キャンパス内の移動が「登山」「下山」と言われるらしい

「環境社会学」という講義で話をした。
2年前にもお呼びいただいた富田先生のおはからいだ。
農学部というと場違いかと想うけれど、けっこうみんな聞いてくれるものだ。
コメントペーパーにも率直な学びが書きつづられていた。
泰阜村に一度行ってみたいとか、キャンプのボランティアをやってみたいとか、うれしいコメントもある。
講義の最中に、ある学生に5分ほど話してもらった。
2年前の同じ授業で私の話を聞き、その後、信州こども山賊キャンプのボランティアとして2年間、強く関わってくれた学生だ。
彼女がまたふるっている。
今回の授業の30府ほど前に、彼女とバッタリと廊下で出会った。
そしてその場で「授業で話してよ」と声をかけた。
卒業論文で忙しい中、「いいですよ!」と快諾。
いくらなんでもトントン拍子だろうとも思う。
彼女の堂々とした語りは、きっと学生たちに伝わった。
静岡大に豊かな循環が生まれる予感。

即興で話をしてくれる心意気に感謝

卒業して故郷に戻るとのこと。全力で応援したい。

それにつけても農学部か。
縁がないと思っていたけれど。
でも、そういえば、東京農業大学今年も講義をしている。
おっと、しかも鹿児島大学でも農学部で4年連続講義をしているではないか!
案外農学部とも縁があるんだな、と実感。
最近は、経済学部や経営学部などからも声がかかる。
学生に自分の価値観だけに閉じこもるな、と言っておきながら、自分の脆弱なステレオタイプに驚く。
と想えば、もっともっと異分野の授業で話をしたい気もする。
なるほど、これはきっと、私自身が学んでいるんだな。
学生に学びを提供することを通して、私が学ぶ。
新しい自分に出会っているような。
この循環もまた心地よい。

富士山と海が見える素敵な環境で学生が学ぶ。

南信州からはけっこう静岡大学に進学する学生も多い。
実は知り合いの子どもが数名通っている。
なので、大学からの帰り道は、思わずその子を探してキョロキョロしてしまった。
いるわけないか。
怪しまれたかもしれない(笑)

と想っていたら、とんでもない奇跡的な出会いがあった。
そのキョロキョロを見て、「なんだかダイチに似てる!(ダイチというのは私のニックネーム)」と感じたらしい。
信じられない感性を持っている。
もう10年ほ前に、暮らしの学校「だいだらぼっち」に参加していた卒業生だ。
「ダイチ―――――! あたしだよ、わかる!?」と興奮気味にしゃべってくる。
この子が誰かはすぐわかったが、なぜこの子が静岡大にいるのか私が全く理解できない。
一緒に昼食を食べて、話を聞いて、ようやく理解できた。
その顛末については、興味ある方は私に直接聞いてほしい。

とにもかくにも、たった半日の静岡大学滞在に、素敵な出会いが重なった。
来年もまた来たい、と想う大学だった。

代表 辻だいち