この村が大学になる ~その日は着実に近づいている~

泰阜ひとねる大学(名古屋短期大学バージョン)。
1年生全員(約100人)が1泊2日で泰阜にステイして、学ぶ。
村民全体の実行委員会で担当する。
もう9年目になる。

この1年生の学生たちに、私は前期(4~9月で)に授業を持った。
「自然と生活」という授業だ。
担当は、私、ということになるが、村のひとびとを数名、ゲストで連れていった。
1年生の多くの学生は、夏休みには山賊キャンプでボランティアに参加する。
これは国内研修という実習(単位)に位置づいている。
担当は、NPOグリーンウッドということになる。

そして今日、1年生全員が1泊2日でやってきた。
この1泊2日の学びを効果的にするために、前期の授業やキャンプのボランティアがあるといってもいい。
つまりは学びの連続性を確保する仕組みである。
もちろん、それぞれにも明確な学びがあることは言うまでもない。

この学びの連続性は、この後も続く。
11月には、大学祭が行われる。
その学祭には、学生を受け入れた家庭など村民がたくさん押しかける。
学生たちは、泰阜村と関わって得たここまでの学びをブースで展示する。
村民はこれまたブースを設置して、特産品を販売する。
担当は、一応、村役場になっている。
「久しぶり~!」
という声が飛び交う中で、互いの学びが増幅されていく。

これだけでも、名古屋短期大学と泰阜村が協働して、1年をかけて学生を育てる仕組みになっている。
だが、これだけでは終わらない。
2年生には、再び私の授業がある。
生活とリスクを扱う授業だ。
1年生の連続的な学びを通過した学生が、再び受講することになる。
これも担当は、私である。

そして一昨年からは、2年生のゼミ活動が、毎月泰阜村で学んできた。
集落の課題解決を目的のひとつとし、村、NPO、集落、大学が、力を合わせて学生を育ててきた。
ちなみに担当は、地域おこし協力隊などの若者チームである。
そして今年の年末に、2年間の学びの報告会が泰阜村で開催される。
小さな村の行政、住民、NPO、そして大学が協働して、2年かけて若者をひとねる(「育てる」という意味の方言)仕組み。
この構想が「泰阜ひとねる大学」だ。
構想というよりは、もう着実に実践になっている。

やっとここまで来た。
この村が、大学になる。
その日がそこまで近づいてきている。

代表 辻だいち