今度は私の番だ。一人じゃないよって伝えたい ~福島のこどもが、熊本のこどもを支える~

熊本のこどもたちをサポートしたボランティアの中に、福島から来た専門学校の学生がいる。
彼女のニックネームは「アリサ」。
泰阜村とNPOグリーンウッドは協働して、東日本大震災の時にも信州こども山賊キャンプに福島のこどもたちを招待した。
2011年~2015年まで、5年で250人を招いたのだから、小さな村も息の長い支援を続けたものである。
その支援が、5年で一区切りを迎えた2016年、熊本地震が起こった。

アリサは子どものころ、招待支援キャンプに、夏休みと冬休み、数年かけて6回も参加してくれた。
少しずつ成長していく彼女の姿を、ずっと見続けてきた。
あの時から「高校生になったら必ずボランティアに来る」と言っていた。
一昨年の熊本地震被災児童の招待支援キャンプに、本当に来てくれた。
昨年も、今年も。
これで3年連続で泰阜村に足を運んでくれている。

「自分が支える番になってみて初めて、あの時どれだけ自分が支えられていたかがわかった」
アリサの言葉は、被災し、支えられたからこそ滲み出てくる想いだろう。
人は、傷つけば傷つくほど、やさしくなれるのかもしれない。
悲しめば悲しむほど、人を想いやれるのかもしれない。
「今度は私が支える番だ。一人じゃないないよって伝えたい」
熊本から来たこどもたちに自然と寄り添う姿は、身体全体で「一人じゃないよ」と伝えているようだった。

あの時、支援を受けた福島のこどもたちが、今、青年になって戻ってきた。
福島のこどもたちの招待キャンプは一区切りついたが、すでに招待した250人の成長を支えるステージに移っている。
彼女の成長を支援することもまた、泰阜村ができる息の長い身の丈の支援である。
支え合いの縁をつなぐ=まさに「支縁」なのだ。

▼アリサと松島村長

泰阜村の松島村長は、彼女の成長に目を細めた。
7年前の夏の日、彼女がまだ小学生の時、このキャンプ場で村長は彼女を含めた福島のこどもたちにこう語りかけたことを鮮明に想い出す。
「みんな、お互い、希望を失わないよう生きていこう」
今もまた、同じ言葉を彼女に贈ろう。

アリサ、またおいで。
一緒に、成長しよう。
一緒に、希望を追い求めよう。

代表 辻だいち