やまほいく研修in川路保育園

みなさんこんにちは、スタッフのみけです。

長野県で推進している信州型自然保育認定制度「やまほいくの郷」。長野県にある公立、私立の保育園・幼稚園・認定こども園・認可外保育施設等で自然保育を広めていこうという活動があり、グリーンウッドはその研修(信州型自然保育専門研修)を請け負っています。今回は飯田市の保育士の先生を対象とした研修会が認定こども園飯田市川路保育園にて開催されたのでそちらに行ってきました。

川路保育園は飯田市の小高い場所にあり、歩いて5分で学有林にも行かれる自然豊かな環境に恵まれた保育園です。園庭にも葉の色づく木々が植えられていて、みけが伺った日も、色とりどりの葉が園庭に降り積もっていました。今は園舎の改築工事の最中で、園舎も園庭も一部しか使えないのですが、そんな中でもこどもたちは元気に過ごしていました。

今回の研修では、"学有林でのこどもたちの遊びの様子をみて、環境づくりや保育士のかかわりなどについてアドバイスを…"との依頼でしたが、こどもたちはいったいどのように遊んでいるのでしょうか?

この日は川路保育園以外の飯田市の保育士の先生方も研修に参加されていたので、こどもたちにとってはみけを始め知らない大人がたくさん!なので、緊張をほぐしてみんなで仲良くなるために最初にゲームをやりました。

緊張がほぐれたところで学有林に出発!全園児で向かいました。

 

こどもたちは早速思い思いに遊び始めます。

倒してある木を渡ったり、

 

ちょうどいい切り株で王様気分を味わったり

 

ちょっぴり怖いおともだちは先生の助けを借りながらも、何度も斜面を滑っては登り、滑っては登り…。

 

鬼ごっこをしたり

 

葉っぱの花束をつくったり、

 

根っこをほじりだそうとしたり、

 

こんなにすてきなお料理もできました!

 

おともだちと一緒に森の中で走り回って遊んでいる子、一人で黙々と木の実を集めている子、森の中にあるものを何かに見立ててごっこ遊びをしている子などなど、誰かに何かを言われなくてもどんどん自分たちで遊びを広げたり深めたり、変化させたりしているこどもたちや、そのこどもたち一人ひとりに目を向け、安全に配慮しながら見守ったり声をかけたり、一緒に遊んでいる先生方の姿を見ていると、ここに何かアドバイスは必要ないのではないかと思ってしまいます。

学有林でたくさん遊んだこどもたちとはお昼のタイミングでお別れして、午後は先生方と今日の活動をもとにワークショップを行いました。

今回、先生方には森に行く前にひとつ課題を出してありました。「今日こどもたちと森の中で遊ぶときに、何も制限がなかったら、自分がこどもだったらならどんなことをしてみたいか、こどもの目線で、こどもの気持ちで考えながら思いつくものを頭の中にメモしておいてください」という課題です。

「研修会」ではボードと筆記用具を持ってその場にいる先生方、という図が良くあるのですが、それでは本気で遊べないので、それらは持たずにこどもたちと本気で遊んでもらったのです。

4名ずつのグループに分かれてもらい、まずは一人ひとり自分の思い描いたものを書き出す作業をしてもらいました。

手元でメモできる状況ではなかったので、どのくらい挙がるかな、とちょっと心配だったのですが、先生方の手はなかなか止まらず、たくさん書きだしてくださっていました。

各自で出したものをグループ内でシェアしていただく前に、お互いに知らない先生もいらっしゃるということだったので、自己紹介もしていただきました。

自己紹介があったことで、グループの先生方同士も緊張がほぐれ、シェアしやすくなったと思います。

その後自分たちの考えた遊びのシェアの時間が始まりました。

木登りやターザンロープをはじめ、ツリーハウスを作りたい、斜面を転がって降りたいなど様々な意見が出ていました。

「やっちゃだめ」はない中で考えていただいたので、ずいぶんといろんな意見が出ていたようです。

次にその出てきた遊びを

・いますぐできること

・ちょっとがんばればできること

・たくさんがんばったらできること

・やりたいけど難しい…?

という4つに分類してもらい、今すぐできることなのにしていないことがあったらそれはなぜなのか、がんばればできることは何をがんばればできるのか、いずれにしても実行するにはどうしたらよいのか、を考えてもらいました。

どの先生も本当に一所懸命考えてくださっていたのですが、たくさんがんばったらできることと、やりたいけど難しい?ことについて、みなさん真面目だったので自分たちで全部がんばろうとなさっているようでした。なので、みけからは「がんばるのは先生方だけじゃなくていいんです。どうやったらできるのか、を考えるので、誰かの力を借りたっていいんですよ。」と声を掛けました。

すると、考え方が変化したようで、保護者のみなさんや地域の方、プロの方の力を借りることも含めて考えるようになり、実現できそうなことが増えている様子がうかがえました。

グループで出たこと、考えたことを最後にそれぞれ発表していただいてワークショップ自体は終えました。

ワークショップの時間、どうやったらやりたい遊びを実現できるのか、を考えている先生方の顔はとてもワクワクしていて楽しそうでした。この先生方のワクワク・ドキドキがきっとこどもたちにとってのワクワク・ドキドキに直結するものだと考えます。

自然の中で遊ぶにはどうしても危険がつきものです。その危険を回避するために、いつの間にか"どうやったら安全に遊べるか"を考えるのではなく、考える前に"危ないからやらない"を選択するようになってしまっていることもあるのです。取り除かなければならない危険ももちろんありますが、こどもたちと一緒に何が危険なのか、どうやったら安全に遊べるのか、を考えることで軽減できるリスクもたくさんあります。それらを考えるのは面倒なことかもしれないのですが、やりたいことをやれるようにするために必要なことでもあるので実はとても大切な時間です。

今回のワークショップでは、例えば先生方が危ないと思うからやらないでいたことは、いったい何がどう危ないのかを考え、やるためにはどうしたらいいのか、を考えてもらう時間だったので、頑張らないといけないことはいくつかあるけれど、でも「やれる!」と思うことのできるもの、すなわち「ワクワク・ドキドキできるもの」がとても増えた時間でもありました。

 

日頃は保育の時間でなかなか先生方が集まって研修を行うのは難しいと思うのですが、こうしてこどもたちにより良い保育を、と忙しい中時間を割いて研修されている先生方には本当に頭の下がる思いでいっぱいです。

わたしたちが保育についてその道のプロである先生方に何かを教えるなどということはおこがましくてできませんが、先生方の今持っている力をもっと存分に発揮していただけるようなお手伝いはできると思っています。

研修後にいただいたメールで、「自分たちの振り返りになった」「自然保育の原点に返らせてもらった気がする」というお言葉をいただきました。今回の研修が少しでも先生方がこどもたちと一緒に新しい一歩を踏み出す一助になれたのであれば幸いです。