4年目のチャレンジ|長期ボランティアのこばちゃん

- 今回ボランティアに申し込んだ理由は?
今年で4回目の長期ボランティアへの参加となりました。経緯はこども時代に山賊キャンプに参加しており、そこで出会った相談員に憧れて高校生からボランティアとして相談員となりました。そうして参加しているうちに、より長い期間を泰阜で過ごしたい、また小さい頃から参加している山賊キャンプの作られる過程、裏側をみてみたいという気持ちから大学1年生の頃から長期ボランティアに参加しています。今回参加を決めた理由は、純粋に過去3年間の長期ボランティアが楽しかったから、またキャンプでこどもたちや相談員さんとの関わりを学びたいと思ったからです。今年で4回目になりましたが、今までで1番参加するか迷った年でもありました。私にとって長期ボランティアは慣れてきた環境だからこそ気を抜いてしまえば、昨年と変わらない1ヶ月を過ごすことになると思い、今まで以上に意識してこどもやボランティアと自分から関わるといった明確な目標や目的を持って参加すること、慣れた環境下でも新たな学びや成長のために行動するという覚悟で参加を決めました。

 

- こどもとの関わりから学んだことは?
今年は初めて本部としてスーパーコースに参加しました。スーパーは少人数で期間も長いため、本部という立場を活かして族関係なく20人のこどもたちみんなと濃く関われたように思います。一方で、最後に参加したB10組は、50人のこどもたちと2泊のキャンプというスーパーとは全く異なった環境でのキャンプでした。なかなかこどもたちと関わる時間が持てず戸惑いを感じましたが、どのキャンプでも意識したのは、「自分の言葉で伝える」という点です。自分が参加者だったときの経験を活かし、こどもたちの視点に立ち、今どんな気持ちなのか過去の自分と照らし合わせながら考えたりもしました。今までは目の前の3泊や4泊のキャンプをやり遂げることに精一杯になりがちでしたが、今年はキャンプを終えたこどもたちに何を持ち帰って欲しいか、何を感じて帰って欲しいかを常にイメージしながら、都度こどもたちと対話をして向き合っていくことに挑戦しました。その成果は目に見えるものではなく、本当に伝わっていたのかはわからないですが、過去3年間のキャンプで出会ったこどもたちがリピーターとして帰ってきてくれた姿などを見ると伝え続けることに意味があると感じられました。

 

-スタッフとの関わりから学んだことはありますか?
私にとってスタッフのみんな、そして泰阜の存在は実家のようなものです。とにかくあたたかい、いつ帰っても「おかえり」と言って迎えてもらえる場所。しかし長期ボランティアとして参加する中でスタッフのみんなの新たな一面を知ることができました。それはひとり一人の働きっぷり、キャンプにかける思いの大きさです。現場に出ている長老陣、キャンプ場の整備や食品、物品の準備を担う物資のスタッフ、そしてバスの運行などの事務を担っているスタッフ、現場に立つ立たない関係なく、キャンプにかける熱量の高さに毎年驚かされます。そしてどんなに忙しない毎日でも、小さな仕事にも手を抜かずに、むしろ手をかけて丁寧に取り組む姿、そのひと手間を惜しまないところ。みんなの働いている姿を見ると、キャンプ期間以外の日々の暮らしも丁寧に作っていることが頭に浮かびました。こうして個々の力が持ち寄られて、山賊キャンプが何十年も守られてきたことを実感し、自然と山賊キャンプという名前を背負う1人のボランティアとして責任を持ってひとつひとつの仕事に取り組もうという考えが生まれたように思います。

 

-運営側の本部スタッフとして学んだことはありますか?
本部をやっていると全体に向けて話す機会が多くあります。数年前までの私は人前で話すことがとても苦手でした。参加者時代もなかなか族の中で意見を言えないようなタイプでした。今でも緊張はするし、頭の中で何回も何回もイメトレを繰り返してからこどもたちの前に立っています。今年も頑張ってやった食材発表が全然ウケなかったり、片付けの方法を伝えたそばから既に分別がぐちゃぐちゃだったり、、失敗も多く心が折れる瞬間も多々あります。ですが、それでも今は人前に立って話すことに面白さも見いだせるようになりました。どうしたら飽きずに楽しく聞いてもらえるか、かつ必要な内容をしっかりと伝えることができるか、何回やっても正解はわかりませんが、その伝え方を追求していくことがとても面白いです。

 

-印象に残っていることなどあれば
1ヶ月キャンプに参加する中でやはり1番印象に残っているのはこどもたちの表情です。それは何かを楽しんでいる時にみせる笑顔だけではなく、火起こしや工作でみせる真剣な眼差しや、時には家に帰りたくなって泣いていたり、友だちと喧嘩をしたりしているときにみせる少し寂しそうな表情もありました。この夏印象に残っているのは、スーパーコースの最後の振り返りの際に泣きながら族のみんなに感謝の気持ちを伝えていたこどもの様子です。涙を流しながらも一生懸命に自分で言葉を紡いで伝えている様子にとても感動しました。こどもたちがみせてくれたどんな表情も、こどもたちのありのままの姿であり、そしてそんな豊かな表情を引き出せるのが山賊キャンプの魅力だなと思いました。楽しいだけではなく、大変なこともはじめて出会った仲間と一緒に乗り越えていくこと、自分たちで楽しさを生み出すこと、その過程をこどもたち自身が主体となって歩むからこそ豊かな表情が生まれるのだと思いました。

 

-これから長期ボランティアに来るか悩んでいる人へ、一言あればお願いします!
とにかく来て欲しいです!何年もキャンプに来ている私でも、長期間キャンプに来ることは毎年迷います。特に今年は大学4年生になり大切な試験や卒論の提出も控えていたため参加するかかなり迷いました。それでも来たことに後悔したことはないし、毎年キャンプを終えた頃には来て良かったなと思います。長期ボランティアに参加すると、キャンプだけではなく日常の生活の中にも学びがたくさんあります。日々都会ですごしていると疎かになってしまう衣食住の暮らしを丁寧に作ることや、人と接することのあたたかみ、自分が大切にしたい軸や守りたいものは何か思い出させてくれる環境でもあります。そしてチャレンジを応援してくれ、落ち込んだときには一緒に悩んでくれたり時に背中を押してくれるようなそんな仲間がたくさんいます。来るか迷っているのなら、是非飛び込んでみてほしいです。そして一緒にキャンプができたら嬉しいです。今年も支えてくださったスタッフのみなさん、キャンプで出会った相談員さんやこどもたちみんなに感謝の気持ちでいっぱいです。今年も本当にありがとうございました。