—今回参加した経緯は?
2024年夏の山賊キャンプ相談員としてZコースと一緒に6日間過ごしました。大学に貼ってあった1枚のポスターを見て参加を決めたのですが、キャンプ初心者の私にとって、最初の1・2日は分からないことばかり。キャンプで出会ったたくましく、元気なこどもたちに助けてもらうことの方が多かった記憶があります。自ら考え、行動に移す。たくさんの魅力を持ったこどもたちと関わる6日間の中で、「教育とは何か。」についてより深く考えさせられました。地元に帰っても泰阜村での生活が心に残っていたこと。泰阜村で暮らすこどもたちと、もっともっと話してみたいと思ったこと。共に生活をしてみたいと思ったこと。これらの理由から、インターンへの参加を決めました。
—こどもとの関りから学んだことは?
だいだらの生活では、日々の暮らしに必要な家事の他にも、学校がない日には山菜を自分たちの足で取りに行き、調理も自分たちで行います。山登りをして綺麗な景色を見たり、畑を耕して種を植えたり。10日間子どもたちと生活を送り、この場所でしかできない暮らしの形がある事を学びました。
また、朝の支度が間に合わない人がいる。学校に行く支度で精一杯になり、家事まで手が回らない。等の共同生活ならではの悩みも見受けられました。そんなバタバタしている朝の様子を見て、私は、どこまで大人が手伝うべきなのか。という疑問を持ちました。相談員によっても対応方法は少しずつ異なる部分がありますが、共通していることは「こどもの今の状況を見極め、それぞれのこどもにあった声かけ、サポートを行い、必要ならその後のフォローを行う」とういことでした。新学期でまだ生活のリズムに慣れていないこと。昨日遅くまで宿題を頑張っていたこと。家事をできなかったという事実だけを見て判断するのではなく、こどもが今置かれている状況も考慮しつつ、今のその子に必要な声かけと改善策を「一緒に」考えること。共に暮らす仲間として関わることが重要である事を学びました。
—スタッフとの関りから学んだことはありますか?
情報共有の大切さを学びました。こどもたちの体調、通院状況と結果、日常生活の中での些細な訴え等々、日々の小さな変化も情報共有を行う時間を設けることによってグリーンウッドのスタッフ全員が子どもの状況を把握できる体制の確保を行なっていました。また、情報交換はお昼後のミーティングだけでなく、日常の挨拶の延長線上にも行われていました。自分がいなかった時の出来事をふとした空き時間で共有してくれる仲間がいることは、働きやすい環境を維持するためにも重要であると感じます。こどもをスタッフ全員で責任を持ち見守っているということを近くで感じた時間でした。
また、だいだらの暮らしにはスマートフォンやテレビはありません。ですが、日本や世界で今何が起きているのかを把握でき、普段新聞を読む習慣がないこどもの目にも留まるよう、新聞の重要な記事ををかにさんが一枚の紙にまとめ、おやつの箱に添えていました。抜粋されたニュースを見たこどもたちはおやつを食べている時にそれらのニュースについて話していました。県内で起きた大きな事故を見てみんなで車について話したり、商店街閉鎖のニュースを見て自分たちの地元のお店について話したり。このような情報に触れ、みんなで話す機会はできるということは「外の状況をただただ知る」という役割以外にも、コミュニケーションのきっかけになり、情報一つ一つに興味を持つきっかけになるという事を学びました。
—期間中印象に残ったことはありますか?
私が10日間の中で特に記憶に残ったのは、こどもと相談員ギックのやりとりです。「竹を使って座椅子が作りたい」と言った子がいたのですが、ギックはそこで作り方(答え)を最初から教えるのではなく、その座椅子はどこで使いたいのか。誰のための椅子なのかを質問した後、竹の特性について教えていました。その後、「普段何気なく見ている竹林を見てどんな風に生えているか観察してきてごらん」とこどもを送り出しました。こどもの想い描いた椅子を実際に作るために、すぐに答えを教えるのではなく、普段見ている景色を改めて観察し、そこからまた想像して自分の力でものを生み出す。というものづくりを行う上で大切な考え方を伝えている姿を見て、とても印象に残り感動しました。
—これから短期インターンシップに来るか悩んでいる人へ、一言!
「10日間」という短い期間ですが、こどもと関わる場面がとても多く、紙や画面を通してだけでは学ぶことのできないものを学ぶことができます。こどもと過ごす時間が楽しいことはもちろんですが、スタッフの皆さん全員が優しく、気軽に、ご近所さんのように接してくれます。悩んでいるなら絶対に来たほうがいいと思います!

地域での子育てに関心を持ち、2014年に新卒でグリーンウッドに就職。大学時代、間伐ボランティアをやっていたことから、現在は泰阜村の森林を生かした活動に関心がある。また妊娠・出産を経て、子育てに奮闘中。2児の母。