
今回は愛知県から1週間インターンシップに参加した、ナナさんをご紹介します。
―それでは、自己紹介をお願いします。
現在高校3年生で、大学受験が終わったこの期間に自分なりに何かチャレンジしてみたい!と思い、今回参加しました。代表の齋藤新さんの講演を聞いた父からの紹介でここを知り、グリーンウッドの教育理念に感銘を受け、「これは行くしかない。絶対に参加したい!」と思い応募させていただきました。大学では哲学を学び、哲学対話やディスカッションを用いた教育現場を構築したいと考えています。「正解のない暮らし」の中でどんなことを感じ、見つけ、身に付け、活用していくのか。いつも”正解“を見つけよう、目標を達成しようとしてしまう私にとって、この“正解のない”という概念はすごく新鮮で、それはどういったことなのかを学ぶために参加しました。
―今回学んだことはありますか?
1つ目は、今まで時間や効率という概念に囚われすぎていたということです。ここにいると時間がゆっくり流れ去るような感覚がありました。常に時間は有限だからとタイムパフォーマンス重視になってしまい、効率が良い方を選ぼうとしすぎてしまう私にとって、のんびりとした時の流れがとても心地がよかったです。そんな中で過ごしていると、幼少期の頃の、時間という概念すらない、自分のやりたいことを思うがままに満足するまでやり通すような空間が蘇ってきました。もちろん、時間で区切られていく仕事もたくさんありますが、ここにいる人たちは、探究心だとかワクワクの子供心のような尊いものを持っているのだと感じました。そんな人達だからこそ世間の常識などの色眼鏡を通すことなく常に対等な視点で人と向き合えるんだと感じました。それこそが、教育者として最も重要な要素だと思いました。
2つ目は、エシカルな暮らしはちょっとした工夫で成り立つということです。私は高校でSDGsに関する部活に所属していて、活動を通してエシカルな暮らしに興味を持っていました。だけど今まではすごいなと感心するだけで、自分の生活では成しえないことだと思っていたのですが、ここに来て、物を大切に使い続け、エシカルに暮らすことはそんなに難しいことではないのだと気が付きました。生ごみを自然に還してたい肥にしたり鶏のエサにしたり、いらない布を縫い合わせてカーテンを作ったり、洗剤を極力使わないで洗い物をしたり、割れた食器を直してまた使えるようにしたりと環境への配慮に必要なのはちょっとした心がけなんだなと感じました。そして実際にモノを直す仕事をしましたが、これまで無駄だと思っていたその時間が、やってみると直ったことに対する充実感や達成感があり、表面だけではわからない価値にも気づけました。それを当たり前にこなしていくみんなの日常を、大量生産大量消費な時代に生きている中で体感できたのは私にとって大きな学びでした。
3つ目は団体のvision(グリーンウッドが実現したい社会)「できるを持ち寄る社会」についてです。これまで人の役に立てるか、利益を生み出せているかなど考えてしまう自分がいました。もともとネガティブなのもありますが、そういったことはあんまり必要がなかったんだと気づいたんです。自然の中での暮らしは、正解がないし一人一人が「できる」ことを持ち寄らないと暮らせないからこそ、そう思えたんだと思います。自分にとっては大きな気づきでした。そして人と一緒に生きていくということは、時にぶつかり合うけど、それも悪いことではないと思えました。これまでは否定や失敗は悪いことだと捉えていたけど、それはより良い暮らしを生み出す上で次に進むための階段に繋がっているし、必要なことだと思えたのは、自分が大きく成長できた部分だと思います。
―スタッフとの関わりで感じたことはありますか?
グリーンウッドの相談員さんたちはみなさんすごく親切で温かい人たちです。衝撃的だったのは、本当に大人がこどもと対等になっていて、名前の通り相談できる人という位置づけだったということです。やはりここには正解などなく、「暮らし」をみんなで創り上げていくんだなということを強く感じました。初日に男子が話し合い中ふざけていたことがあったんですが、そうした行動も決して咎めたりするのではなく、本当にそれでいいのかをこどもたちに自らの頭で考えるように働きかけていて、大人が「違う」とは判断しないんです。大人が言ったことが正解という考えがあった自分にとっては驚きでした。ダメって言ったら楽なんだろうけどそれをしないで、あくまで「相談員」として、この生活の中の一員、仲間であるという認識が統一してなされていて、素晴らしい空間にだと思いました。さらにふざけていた子たちに、「俺たちならもっとできる」と相談員のもーりぃが言っていたことも印象的でした。こうした言葉一つでここで醸し出される空気が変わってくるのだと思いました。全員がのびのびと暮らしている土台には、大人含め全員でよりよい暮らしを目指すという意識が共有されていました。教育者とはこういう人たちのことを言うんだなと感じます。
学童では遊んでいる最中、物を投げて遊んでいる子がいました。危なっかしくて、「危ないよ」と声をかけたのですが、そんなのこどもたちもわかった上でやっていたんです。その時、なぜその子が物を投げているのか、理由を聞いてみました。すると、相手チームが近づくのを阻止するためにやっていたとのこと。理由を聞いた上で、「目に棒が入ったらどうかな?」と質問してみると、具体的な危うさに気づいてくれて、やめてくれました。
このように相談員として、こどもとの関りだけでなく、人としてどうあるべきか、どんな声かけをするべきかを考えさせてもらいました。自分の当たり前や知識を押し付けず、相手にどうしたらいいのか考える機会を与えてあげられるような、道を一緒に切り開いていけるような、私もそんな人になりたいと思います。
―最後にインターンにこれから来る人へ、一言!
私は今回のインターンを通して、教育現場に対する学びを得られたのはもちろん、第一に人として成長できたなと感じます。正解のない中で試行錯誤しながら暮らすみんなを尊敬しますし、少しですが、そんな暮らしの中の一員になれたことがとても嬉しく思います。当たり前に過ぎていく日々も、私が想像しえないほどのたくさんの挑戦と苦労の賜物なんだなという風に感じました。その過程も機会があれば、またぜひ体感してみたいです。毎日が発見と驚きと楽しさで溢れていた数日間でした。
人との関りから、自分自身を見つめなおすきっかけにもなりました。何よりここには温かい人ばかりで自分もそうなりたいという目標もできました。毎日の暮らしからこんなに学べる環境はあまりないと思います。少しでも気になっている人はぜひ参加することを心よりおすすめしたいです!

地域での子育てに関心を持ち、2014年に新卒でグリーンウッドに就職。大学時代、間伐ボランティアをやっていたことから、現在は泰阜村の森林を生かした活動に関心がある。また妊娠・出産を経て、子育てに奮闘中。2児の母。