こどもたちが考えた通学合宿 実施!

11月18日(日)~11月23日(金)の5泊6日、泰阜村で通学合宿を行いました。

参加者は泰阜小学校の4~6年生8名です。

泰阜村の通学合宿が他の地域と違うところは、こどもたち自身が計画をするということです。

これは『自分たちのやりたいことを自分たちの力で実現していく』という経験を通して、『今後の人生を楽しく切り拓いていく』という力を育ててほしいという願いからです。そのため、企画を作るための会議では、スタッフは、一人の参加者として意見は出しますが、話をまとめたり、折衷案を提示したりすることは行わず、『こどもたち自身が答えを出すのを待つ』ということを大切にしていました。

こどもたちは企画をつくるため、夏休み明けから、打ち合わせの会議を定期的に行いました。2時間ほどの会議を5回行い、スケジュールやメニュー・持ち物から日程までみんなで話し合い企画が完成しました。こどもたち自身が家族の人に説明できるようにと、しおりも作りました。

大変だった企画を乗り越え迎えた当日。最初は、こどもたちと買い物へ行きました。5泊6日分で買った量は、なんとカゴ6個分です!こどもたちはレシートの長さに驚いていました。

みんなが集まり、始めの挨拶をしたら、早速ごはん作りスタートです。初日の夕飯は、村の方に教えていただきながら、てづくり餃子です。皮も自分たちで伸ばし、何百個も包みました。他にも、具を煮込んだリンゴに変えて、アップルパイのようなものも作りました。

みんなでご飯を食べたら、明日の予定を確認していきます。ご飯当番はだれか、掃除はだれがどこをやるか、なにか困っていることはないか等を話しました。片付けやお風呂の後の自由時間では、円陣を組み「1週間みんなで頑張ろう!」と気持ちを高めました。

翌日、朝ご飯隊は5:30に起き、みんなのご飯を作ります。6:00には全員起きて、みんなでご飯を食べます。その後、洗濯、掃除などを済ませ登校していきました。泰阜村には、小中学校が1つしかなく、遠くのこどもたちはバスで通学しています。そのため、こどもたちは友達と一緒に、歩いて学校へ行けるということを、とても喜んでいました。

期間中は誕生日パーティーを行いましたが、その他、キャンプファイヤーや肝試しなど、イベントは行わず、友達と一緒に暮らすということをみんな楽しんでいました。その分、夕飯は毎日豪華で、手作り餃子、たこ焼きパーティー、チーズフォンデュ&チーズタッカルビ、ハンバーグ&ケーキ(誕生日パーティー)、すき焼きと、作るのも食べるのも楽しんでいました。

最後の夜は、送り出してくれた家族へ手紙を書いたり、一週間過ごしてみた感想を伝え合ったりしました。感想では「あっという間に終わっちゃったから、次はもっと長くやりたい」「1年に1回じゃなくて2回やりたい」「次は別の場所で泊まってみたい」「みんなで遊ぶ時間をもっとつくりたい」「朝早く起きるのが大変だから、次回は朝食を簡単なのにしよう」など、次回に向けての意見がたくさん出ていたのが印象的でした。

大変で時間もかかりましたが、こどもたち自身が企画から作ったため、何かができなかったという不満ではなく、次はこうしたいというエネルギーになっているのだと思います。

今回の通学合宿は、こどもたちや保護者はもちろんのこと、泰阜村の方々の応援があったからこそ成り立ちました。こどもたちが行っていた会議に一緒に参加してアイディアをくださった方、自家製の果物やジュース、野菜などを届けてくださった方、ごはん作りに駆けつけてくださった方、施設を貸してくださった方、登下校の際に声をかけてくださった方など、本当に沢山の人たちが、こどもたちのためにと労を厭わず支えてくださいました。

通学合宿は、様々な地域で、こどもの協調性や自主性、自己肯定感の向上などを目的に行われています。親元から離れて、異年齢のこどもたちが共同生活を行うので、それ単体でも、とても効果があります。私も大学在学中に通学合宿のボランティアを3年間しており、そこでのこどもたちの成長や笑顔を目の当たりにしたことがきっかけとなり、教育関係の仕事に就職しようと決意したほどです。

今回、こどもたちが考えた通学合宿を行ったことで、悩みながらも自分たちで決め、実行するということが、こどもたちにとって必要な経験なのだと感じました。自分たちで決めたからこそ、失敗も成功も全て自分ごととして捉えられ、通学合宿以外の日常生活も含め、次へと繋がっていくのだと思います。そして、このような学びのきっかけづくりを、こどもたちの側にいる大人として今後も続けていきたいと感じました。