命の尊厳が問われている ~9日9日(救急の日)に~

9月9日。今日は救急の日。

実は私は「メディック・ファーストエイド(通称:MFA)」という世界的な救急救命プログラムの国際トレーナーとして活動もしている。
救急救命法講座を開催できるインストラクターを養成できる資格だ。
詳しくはこちらへ。
※NPOグリーンウッドでも救命法講座を行っている。こちらへ

今年も全国各地で豪雨、台風、噴火、そして地震などの自然災害が多発している。
その災害の現場に、もしかしたら救えた命があったかもしれない。
緊急事態は時と場所を選ばない。
地震や交通事故、突然死は、今、そこにやってくるかもしれない。
愛する家族が目の前で倒れたとき、あなたが企画するイベントで参加者が倒れたときに、「知らなくて」何もできなかったことほど後悔することはないだろう。
災害対策という枠だけではなく、日常的に救命法の普及に努めていきたいと強く想っている。

私たちは自然体験活動を仕事にしている。
何のために自然体験活動をするのか?というときに、私は「平和」の視点を大事にしていきたいと常々想っている。
それは具体的に言えば「一人一人が大事にされる世の中」という視点だ。
民主主義というとおおげさだろうか。
話し合い=つまり合意形成を大事にする暮らしの学校「だいだらぼっち」(山村留学)や、参加したこどもたち全員の力でプログラムを編み出す「信州こども山賊キャンプ」などは、まさにその視点を大事にした取組みだ。
そうなると突き詰めて考えれば、「命を大事にしたい」という当然でありながら最も尊い視点に行き着く。
少なくとも私は行き着くのだ。

私が一貫して言い続けてきたことは、「お互い様」「支えあい」による教育を通した社会再生だ。
ただし、「困ったときはお互い様だね」「支えあおうね」と心底言うことができるためには、「お互いを尊重すること」が決定的に必要となる。
そうして初めて「支えあう」ことができると想っている。
そして、人、自然、地域、歴史、文化、それぞれの個性を尊重するときに、その原点は「命の尊厳」であろうと考えている。

私が救急救命法に力を注ぐのは、それが民主主義の原点をまずは確保する取組みだと強く思っているからだ。
自然災害に限らず、またぞろ続く戦争・内紛やテロ、後を絶たない殺伐とした虐待や殺人事件など、たやすくこどもの命が失われていく世の中になってしまった。
一人一人が大事にされる世の中を、こどもたちが平和に暮らせる世の中を、救命法からアプローチしてみるのも悪くない。
命の尊厳は、今まさに私たちに問われている。
こどもたちの未来が問われている。
そして、被災地にも全国にも問われている。

代表 辻だいち