やまほいく実地研修 IN 福与保育園

長野県で推進している信州型自然保育認定制度「やまほいくの郷」。長野県にある公立、私立の保育園で自然保育を広めていこうという活動があります。グリーンウッドはその研修を請け負っており、今回は松川町立福与保育園に行ってきました。

グリーンウッドが研修をお受けすると「こども達といつもの場所で遊ぶ」というリクエストが多いのですが、今回は土曜日の午前に大人達だけで研修をしたいとのご要望でした。

さて、参加者は10名という少人数でありながら、その顔ぶれのなんと豪華たるや。
保育士さん総出で4名、保護者の方3名、町から委託を請け負っている森の管理人さん2名、県職員の方が1名遠方からはるばるご参加くださいました。園児16名という小規模保育園ながら、たくさんの人に大切にされているのだということがよくわかります。

福与保育園は異年齢のかかわりが当たり前で、全員でお散歩する日常があります。松川町は町をあげて自然体験の推進に積極的で、森まで役場のバスが送り迎えしてくれているとのこと。また、森林セラピーでも有名なだけあって松川町が管理している森が4カ所もあり、こども達を連れて行ってくれる「森の案内人」がいるなど、地域の人に見守られながら地域の魅力をたっぷり味わっているようです。(森のガイドさんが、今回参加の保護者の中にもいらっしゃいました。)

その中の1つである近所の森、「部奈(べな)の森」が今回の研修場所です。この森では、長野県林務課OBの方が「森の管理人」をしていらっしゃいます。

テーマは「遊び」と「安全管理」です。せっかく大人だけの時間なので、自分が主役になって遊びます。

目前には南アルプス、目下には小渋川(天竜川の支流)、そして明るい森という文句なしのロケーションに、とにかく心が解放されます!毎日この景色を眺めている松川っ子がうらやましい。

森では管理人さんお2人が、大きなたき火を焚いて待っていてくださいました。毎回こどもたちが森に来る日は、たき火を焚いてこどもたちと一緒に過ごされるのだそうです。森遊びの心強い味方です。この後お2人はひたすら薪を割り続けました。

いつもの森での遊びも、メンバーが変わると一味変わります。

全員地図をもって探検しようと一緒に歩き始めましたが、だんだんばらけていきます。
よい具合の枝をゲットしている保育士さんにお母さん、切り株から小さな何かが出てきてる!と観察していると「虫メガネあるよ」という園長先生。

「この節は脂が詰まっていてよく燃えるんだよ」とノコギリで切り始めるお父さんと、「いいにおい。松明にしてみようかな。」とときめいているお母さん。

等高線の入った地図を片手に、「小渋川まで下りられる道があるはず」と探し始めたみなさん。
生まれも育ちもこの松川っ子という保育士さんが「ここから下りられるよ」とアドバイス。若手保育士さんとベテラン保育士さん、若いお母さん・・・どんどん列がつながって、初めての道を下りて行きました。

そうやって散り散りになっていき、私のいるところからは1人も見えなくなりました。

その後、川探検隊は地表がむき出しの滑りやすい坂道を、助け合って何とか戻ってきました。一番下までは障害物で行かれなかったようですが、満足そうです。

冒険心が満たされると、だんだん森の静けさに耳や目や鼻が触れていきました。
「木に大きな穴があいてる!」「・・・ここにも!・・・あ、ここにも~!」と、鳥が開けたのだろう穴を見つけたり、だた座ってみる、寝転んでみる感触を確かめたり。

シカの糞エリアだと思っていたこの場所に、ちょっと違う形の糞が点々と落ちているのを発見したり。
「緑色だから草食だね?大きさは小さいから…うさぎかな?」と予想していました。

拠点のたき火に戻ってきたみなさんに、森の管理人さんが「割った薪からおいしいもの出てきたよ♪」と、焼いたゴトウ虫をふるまってくれるというおもてなしもありました。
もっともっと遊びたかったのですが、ワークショップをしたいので移動します。

第2部ワークショップは1時間を切っている! 焦りつつ、お互いの感じたことをシェアすることは丁寧に進めます。

4人ずつの2グループに分かれて、ワークショップ開始です。 面白かったことと、同時に危ないと感じたことを出していきます。

「川がきれいに見えて、下りる道を歩いたのが面白かった。でも、すごく滑って危なかった。危なかった時に、前の〇〇さんや後ろから〇〇さんが助けてくれて凄く嬉しかった。」

こんな風に、さっき自分が体験した自然の中での面白さや怖さを共有していきます。

こども達を見守る立場が様々な人達が、一堂に会するのは貴重です。同じものを見ても捉え方が違って当たり前なのですが、忙しい日々の中では議論することを遠慮していたような所もあったと思います。今回、お互いの思いを聞き合う時間にもなっていました。

短いお喋りタイムが終了です。
まとめに、それぞれチームで話した内容をシェアします。内容をほんの一部紹介します。

⓵チーム:「自然の中は危険がいっぱい。危険にある楽しさがこどもたちを駆り立てる。危ないを排除するのではなく、乗り越える面白さを残す森づくりが理想。そんな冒険心を満たす森になるように、工夫してくれていることを管理人さんから聞けたことにとっても感動した。同じ気持ちで嬉しかった。」

②チーム:「例えば木の皮、キノコ。様々な種類があることを発見したり、場所、時間によってそれが変化する面白さ、不思議さを体験する。同時に、それがリスクにもなり得る。エリアの中にあった立ち枯れの木やくんじょう中のマツなども、どうするのがよいのか勉強したい。」

「自然の中でのひとりの時間は、感覚が研ぎ澄まされていく感じ。自分が主役になってとことん遊ぶことが気持ちよかった。でも、夢中になるとはぐれるリスクもある。 こども達が一緒だといけない場所までも行っておくことで、「こどもがどこまで行けるか、できるか」を判断できるようにもなると思った。」

短時間でよくまとめました。さすがです。数々の実体験に裏打ちされた勘どころのよさも感じましたが、普段からよく話をする関係性であることがうかがえました。

最後に私から、安全管理のポイントについて資料をもとにお話ししました。時間が過ぎているのですが、このポイントは押さえておきたいところ!タイムオーバーで3時間半の研修が終了しました。

今回の研修は、松川町のみなさんのこどもたちへの愛情と、未来への希望があふれた時間となりました。また、みなさんの研ぎ澄まされた感性や鋭い視点に、私も学ぶことが多かったです。

松川町のワンチームぶりを目の当たりにして、私もがんばろうという気持ちになりました。研修講師として伺うのにいつも私自身が一番学ばせてもらえるところが、やまほいく研修のおいしいところです。ありがとうございました。

ちなみに、保護者参加のお一人が、以前グリーンウッドで研修生で来てくれた、まめぼっちにも参加してくれいた仲間でした。こんな偶然あるのかと驚きますが、むしろ、志を同じくする仲間は必然的にどこかでまたつながるのでしょうね。これもまた励みになります。