やまとわさんの訪問とあわせて、いと、ぱる、もーりぃ、なるこが同日に伺ったのが、長野県筑北地域(筑北村・麻績村)にある「わっこ谷の山福農林舎」 (以下やまふく)です。
田畑・山・エネルギー・人の営みを結び直し、100年先も続く地域のかたちをつくることを目指して活動されています。
今回は代表である和栗剛さん(わぐりん)に受け入れをしていただきました。

やまふくのみなさんは、昨年度グリーンウッドに農山村体験のプログラムづくりの参考に視察見学に来ていただき、その際になんとやまふくでだいだらぼっちOGの保護者が働かれているということが発覚したというご縁もありました!
やまふくの事業は大きく5つ。

就労支援事業「なないろ社会」、シルバー人材センターの全世代・多様型版「おてこ衆」といった福祉の事業。
伐採、製材、精油、エネルギー利用までを担う「やましごと」、小さな圃場を活かす知恵の農業「山里農業」、農山村体験「ダレデモツーリズム」といった山村の地域課題に前向きにアプローチする事業。
福祉の事業と地域課題に向けた事業が分業しているのではなく、むしろ密接に絡み合い、お互いに支え合い成り立っているのがやまふくの強みです。
その象徴的な取り組みのひとつが、「木の駅」を中心とした取り組みです。




「木の駅」では地域の人が各々作業する中で出た間伐材を現金買取しています。住民にとっては農閑期のお小遣い稼ぎになり、地域の山が明るくなります。

そうして集まった材を薪割り機で薪にする作業には、就労支援事業で登録をしているメンバーさんが取り組んでいます。体を動かしながら取り組む薪作業はメンバーさんの体と心の健康を支えているそうです。

薪は、村の温泉施設「西条温泉とくら」の薪ボイラーで活用しています。
これまで購入していた灯油を減らし、その分の費用を地域の間伐材購入へ回すことで、
・灯油使用量 年間約6万リットル削減
・CO₂ 約130トン削減
・山に入る人が増え、放置木の活用が進む
という循環を生み出しています。


山に放置するしかなかった細い材でも薪ボイラーでは活用できるため、これまで価値にならなかった材も住民の収入源になりました。
薪の活用としては他にも、薪ストーブ用の薪の販売や製材、精油などを行っていました。

行き場のなかった木材が価値に変わり、地域の人にとっては収入ややりがいにつながる。そして灯油に頼らないエネルギー利用が実現することで、環境負荷も軽減されていく。一つの仕組みの中で、人と地域の里山が相互に必要とし、必要とされ、うまくかみ合いながら歯車がまわっていることが印象的でした。
こちらは村の手入れが行き届いていなかった放置林。この山でしいたけ栽培をしています。この日はそのために必要な林道を整備していました。

支柱や多くの農薬を必要とする栽培ではなく「植物の本来持つ力」を発揮できる環境で育てています。
ここでも就労支援のメンバーさんがりんごの手入れに携わっています。

今回の研修で特に印象に残ったのは、こうした仕組みが「義務感」ではなく、楽しさから生まれているという点でした。
山福農林舎では、「Fun theory(ファンセオリー)」という考え方を大切にされています。
課題を解決しようと力むのではなく、楽しさを入り口にすることで、自然と人が関わり、結果として課題が解消されていく。
もう一つ驚いたのは、新規事業の立ち上げ方です。
大きな資金が必要な取り組みが多くありますが、それらの多くが助成金を活用して実現されています。薪ボイラーや製材機といったものは助成金でゲットしているそうです。

地域の材を製材する機械
単に制度を使っているというよりも、地域の未来像を明確に描き、その実現のために制度を使いこなしているという印象でした。
そして今回、グリーンウッドの活動を見つめ直す機会にもなりました。
私たちグリーンウッドの教育は「泰阜村の暮らしから学ぶ」ことが土台にあります。しかし、泰阜村の人口は減り続け、村の暮らしや里山を自分たちで守ってきた世代の方々が次々と亡くなりその文化は薄れ、里山は荒れる一方です。学びの財産としてきた地域そのものをどのように守り、つないでいくのかという視点を持たなければいけないと思いました。
地域にはまだ見えていない人の力や、活かしきれていない資源があるかもしれない。それらをどのように見つけ、つなぎ、関わりしろをつくっていくのか。また、活動を持続可能的に続けていくためには、ボランティアとしてでなく、きちんと仕組みとして成り立たせていくことが必要と感じました。

だいだらぼっちOGの保護者のお宅で、やまふくのみなさんと懇親会!
今回やまふくで「地域の困りごとこそ宝物」と考え、地域課題の中に新たな「仕事」「役割」「居場所」をつくる仕組みづくりを実践していることが本当にすごいと思いました。
「楽しく、まずやってみる」という軽やかさと、それを支える仕組みづくり。
山福農林舎のみなさんの実践から、多くのヒントをいただきました。
わっこ谷の山福農林舎のみなさん、そしてわぐりん、ありがとうございました。
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横浜・東京で育ち、2021年にグリーンウッドに参画。泰阜の暮らしの中で、自然のものを生かす術や泰阜村の人の生き方に出会い、日々感動!
そんなふうに「心が揺さぶられる経験を、子どもや若者たちにも届けたい」と活動中。
