こんにちは!スタッフのくるです。今回は、10月7日に行われた中学2、3年生対象の「森の授業」の様子をお伝えします。
5年前から泰阜中学校の技術科と連携して、「森の授業」を行っています。「森の授業」とは中学生を対象にしたプログラムで、2部構成で行われます。まず、中学2、3年生が森へ行き、伐倒の見学と木の引き出し作業を行います。次に、その木は製材され、新中学1年生がその材を使って、技術科の製作を行います。その材がどのようにここまで来たのか、ということも同時に伝えます。そして、その中学1年生も、2、3年生になった時に次の1年生のために森へ行き、伐倒の現場を見て、木を引き出します。このように2つの段階を通して木材のこと、森のこと、そして村の歴史や文化を身を持って学ぶことがこの授業の目的です。
今年度も天気に恵まれ、無事に中学2、3年生が作業を終えることができました。みんなが小さいころから馴染みのあるあんじゃねの森へ出かけ、伐倒の現場を見学し、伐られた木を山から引き出す、という一見シンプルな作業の中に、たくさんの学びが詰まっています。
まず、引き出すのは80年前に植えられて、今大きく育ったヒノキの木です。これは、中学生のおじいちゃんおばあちゃん世代がこどものころに、未来のこどもたちのために、村のためにと植樹したものです。その木が伐倒されるところを見学します。高さ25m、直径45㎝の木が倒されるのは圧巻です。スタッフが慎重にチェーンソーの刃を入れていく様子、合図を出し合いながら木が倒れる方向をコントロールする様子を、吸い込まれるように見ているこどもたちの表情が印象的でした。

倒された大木を、チェーンソーで5mくらいにカットしている間、みんなで作業の段取りをとりました。この後運び出すために、谷に倒された太くてずっしりと重たい木を、尾根まで引っ張り上げる必要があります。数人では絶対に動かせないその木を、どうしたら引っ張り上げられるのか、こどももおとなも一緒になって考えました。


作戦どおりに、周りの木に滑車をかけて、みんなの力を合わせてロープを引っ張ります。複数の滑車をかけても、30人近くの中学生が力を合わせても、ひとりひとりに掛かる重みは相当なものです。みんなで一生懸命声を出してタイミングを合わせてロープを引き、改善点があれば「こうしたほうが良いんじゃない?」とアイデアを伝え合い、それに従ってテキパキと動き、少しずつ木を引き上げていきました。そんな風に知恵と力を合わせて尾根まで木が上がった時、こどもたちの顔には思わず笑顔が浮かび、歓声が湧きました。


最後の振り返りでは、「こんなに大変な作業を経て材になっていることを実感した」「大変だったけど楽しかった」「これはアナログのプログラミング。みんなで考えて順序立てて実行していったこと、これからも忘れないようにしたい」「みんなで声出して力合わせてあげられた時嬉しかった」などそれぞれの感想をシェアしてくれました。

ホームセンターに行けば綺麗に製材された材が安く売られている中、このように手間や時間をかけて、自分たちが使う材を引き上げる体験。この体験を通してそれぞれが手足を動かして成し遂げたこと、心で感じた様々なことが、先人や村への敬意、そして身近な森や地球の環境問題について考えることに繋がるのだと思います。この循環をこれからも絶やさずに繋げ続けていきたいです。

小学校5年生の時、1年間暮らしの学校「だいだらぼっち」に参加。やりといことやつくりたい場の源にだいだらで過ごした日々があると感じ、2024年度から相談員として参画。気のおけないおしゃべりとコーヒーと読書が好き。