こんにちは。ぱるです。
先日、今年度二回目の「やすおか暮らしを楽しむ会 てまひま」を開催しました。今回は毎年師走の恒例イベント、”お年とり料理作りとおもちつき”です。
※”お年とり”とは長野県の風習で、大晦日に一年の無事への感謝と新年の挨拶の意味も込めて、おせち料理など豪華な食事を楽しむことをいいます。
今回はスタッフ5名、お年とり料理作りの講師として「カンガルークラブ」という村の子育て支援グループの女性の皆さん7名、参加者27名の合計39名が集まりました!
元々お年とり料理作りイベントは小学生向けにやっていたため、この企画に限りこどもだけの参加をOKとしていて、今回はこどものみ参加の小中学生が11人も来てくれました!

今回のディレクター、スタッフくるの落ち着いた進行で会が始まりました。
全員が自己紹介をした後、お年とり料理を作る前に、まずはそれぞれどのような料理なのか、どんな意味があるのかをカンガルークラブの皆さんにお話ししていただきました。

▲「れんこん」…穴がたくさん開いていて先が見通せることから「将来の見通しが良くなるように」という意味があるそうです
大人もこどもたちもみんな、「へぇ~」という表情で由来について興味深く聴き入っています。なぜその食材が使われているのか、その意味を知ることでなるほど納得しながら作れますし、そんな願いを込めて昔から作られているんだな~と、家族や未来を願う人々の想いを感じます。
それぞれの食材の由来やどんな料理なのかのイメージがついたところで、早速役割分担です。
去年はきなこが大人気で、今年もそうなるかな?と思いきや、今年はだてまき人気!
そしてお煮しめなど具材をたくさん切る料理に入る方がほとんどいないという状況に。誰か入れますかー?と聞かれると、じゃぁそっちに入ります!とさっと手を挙げてくれる高学年や中学生のこどもたち。さすがです。
だて巻きは同じ工程を何度か繰り返すので、前半と後半で2グループに分かれて交代でやりましょう、と時間でうまいこと役割分担をしました。
調理を始める前に、気合入れの集合写真!

担当に分かれて調理開始!

▲普段から学童「いってきました」で調理をよくしているこどもたちなので、切り出しも早い!あっという間に具材が揃い、煮込み調理がスタートです

▲お煮しめに入れるこんにゃくを結んでいます。(なんと、カンガルークラブの方がこんにゃくいもから手作りした超贅沢なモノ!事前のてまひまかけた準備に感謝です)

▲おなますに入れる柚子をすりおろします。柚子は泰阜村の特産品。これが入るだけで香りが断然違います。

▲小さなこどもたちでもやれることはたくさん!にんじんの型抜き、上手にやっています。飾り切りで美しく食卓を飾るのもまたお年とり料理ならでは。

▲型抜きして余った部分はカットしてお汁に活用。貴重な食材、ムダにはしません。

▲2グループに分かれて行ったので、混雑せずそれぞれがしっかり作ることを体験できている様子。

私は今回きなこを担当しました。まず、炒った大豆が食べられる状態になっているか、味見して確かめます。
「うん、美味しい!」
早速大豆を上の穴に投入。石臼を回してみると… 積み重ねられた石臼の間から、細かくなった大豆があふれ出てきます!なんで細かくなるのかな?? 少し石臼のスキマを見せて、構造もついでに知ってもらいます。
しかし、まだクランチーチョコみたいな粗挽き大豆ばかり。そこでもう一回落ちてきた粗挽き大豆をもう一度穴へ投入。これを繰り返して、少しずつ細かな”粉”にしていきます。
こうして大豆がきなこになっていくこと、実は知らない方も多いのでは?(そういう私も泰阜に来るまで考えたこともなかったです…(;^_^A))
一緒にやっていた小さなお子さんのお母さんも「こうやって作るですね!!」と感激した様子。
小さなこどもたちでかわるがわる石臼を回していったところ、ほぼ全体的に細かな”きな粉”が完成しました!
出来上がったきなこをボールにいれ、最後は味付け。砂糖と少しの塩で味を決めます。(この塩加減がポイントですね!)ここでもこどもたちに味見をしてもらいました。
「うん、甘くて美味しいよ!」
食べてみると一発でバッチリの甘みと塩加減に!
きなこづくりを終えて他を見ると、なんともうほぼどのグループも調理を終えているか、煮込み段階となっています。あまりのスムーズさにビックリ!!
煮込みを待つ頃に、ちょうどもち米が蒸し上がり、おもちつきが始まりました!

最初は屈強な(?!)男性陣がしっかり練っていきます。このひと段階がもちを作る際にとっても重要なんです。
そして調理を終えたこどもたちは外へ出て、年の数だけぺったん、ぺったんおもちつき!

「おもちつきは”手返し”が肝心なのよ。これでおもちをなめらかに、やわらかくしていくの。」とカンガルークラブの皆さんが、手返しのコツを伝授してくださいます。

▲おもちもつきあがり、ちいさくちぎって丸めてきなこやしょうゆなどで味付け。
そして配膳が始まりました。お皿と盛り付け方を伝えたところ、皆さんお互いに声を掛け合って協力しながら配膳が進み、あっという間に美しく盛り付けされました!

こちらが今回のお年とり料理!
・おもち(しょうゆ、あんこ、きなこ)
・お年とり汁
・お煮しめ
・だてまき
・田作り
・なます
・黒豆(カンガルークラブの方がお家から煮て持ってきてくださいました!)
ちょうどお腹もすく時間となり、何はなくともみんなで手を合わせて「いただきます!」
(集合写真、先に撮っててよかった!(笑))

少し落ち着いたところで、カンガルークラブの方がお正月にちなんだ紙芝居を読んでくれました。こどもも大人もじっくり耳を傾けています。いくつになっても紙芝居はいいものです。

「いただきました」をした後は、フリータイム。
こどもたちは外に飛び出して、ぽかぽか陽気の下、だるまさんがころんだをするこどもたち。

広場あり、神社あり、森あり…と遊ぶにもってこいの集会所前のスペース!
村にはこうした自由に遊べる場所がたくさんありますが、こうしてみんなで集って思いっきり体を動かす機会は意外とないもの。こどもたちもとっても楽しそう!
お母さんたちは中でゆっくりお茶とお菓子を楽しみながら、こどもたちの様子を眺めています。この時間がいつも楽しみ!と皆さんおっしゃってくださいます。

▲今回のてまひまお菓子(お菓子作りが大好きな私は、てまひまに毎回村にある季節のものを使ったお菓子を作って持ってっています)は、村の方が育てている20世紀梨をコトコトと塩で煮たものを入れたシフォンケーキ。
最後はふりかえり。今日の感想を皆で伝え合います。
こどもたちからは
「お年とり料理をつくるのが楽しかった!」
「毎回なます作りに入ってるけど、今年も入って上手に作れたからよかった」
「年の数だけおもちをつくということで、12回ついたら、もう12歳なんだな~と思った」
という微笑ましい感想も。
子連れで参加された方からは、
「去年はこどもと一緒にきなこづくりをして初めて作り方を知り、今回は伊達巻をやって作り方を知ることができてよかったです」
「毎回こどもたちと一緒にお年とり料理作りを学んだり、ゆっくり皆さんとおしゃべりする時間がとても楽しくて、今回も参加できてよかったです」
この場がお母さんたちの癒やしや交流の場となっていることを改めて実感しました。

また今回参加してくれた中学生からは、「去年は中学校にチラシが配布されなくて、知らなかったから参加できなかったんだよ!来年も今年と同じように絶対配ってね」というリクエストもありました。(配布してなくてごめんね💦)
毎年恒例で開催しているこのお年とり料理づくり&おもちつき。
こども向け企画の頃から数えると、もう10年以上やっているでしょうか。
こどもたちやお母さん方にとってこの時期の”恒例行事”となっているようで、おもちつきやお年取り料理も慣習として、またそのやり方も含めて、少しずつ身についてきているのかと思います。
(残念ながら他の村行事があり今回参加できなかった我が家の息子は、「いいなぁ~お年とり料理行きたかった!」とつぶやいていたくらい、彼にとっても恒例行事となっているようです^^)
それぞれの楽しみな恒例行事になってきていることを嬉しく思いました。
一方で、課題も見えてきました。
講師の方からは、「段々と大人の参加が減ってきていますね。こどもたちの参加もよいですが、やはり大人の方たちが参加されると(引き継いでいけるので)よいと思います」というコメントもありました。
確かに、ママさん同士で話をしていて、「自分が担当した料理は作れるようになったけど、お煮しめやお年とり汁など講師の皆さんが中心となって味を決めている料理は、レシピをもらっても作れる自信ないよね…」と呟いていました。

そうなのです、年にたったの一回、横から見てなんとなく一緒に作るだけでは、料理の継承にはならない。次の世代にもこれらの伝統的な味(もちろん、その”味”は家庭により違いはあるものですが)を引き継いでいきたいと思うと、また違った視点での企画が必要と思われます。
また今後考えていけるといいですね、とカンガルークラブの皆さんと話しました。
毎年恒例の、季節の習わし。
誰もがこどもの頃からそういう経験はあって、それが原体験として、心の拠り所として、身にしみて残っているものがあるかと思います。
この地域の方たちにとっては、お年とりはその一つ。
そんなステキな時間や空間を支える技は、継いでいかなければ次第に消えていってしまうもの。これからもこの地域ならではの”お年とり”を味わっていけるよう、できることを考えていきたいなと思っています。

泰阜村に来て20年。体を動かしてないと体調を崩すおてんば少女タイプ(?!)の一男二女の母。グリーンウッドスタッフとして・子育てママとして、村の様々な活動にかかわりながら、豊かな子育て環境を創り広めるべく日々奔走中。
