夏が終りを迎え、だいだらぼっちにも秋がやってきました。
学校帰りに栗を拾ってきては栗きんとんを作ったり、天体望遠鏡を引っ張り出してお月見をしながらお団子を食べたりと、だいだらっこも食欲の秋を満喫しています。
しかし、だいだらぼっちの秋は美味しいだけでは終わりません!
1.ビーツ編
ある朝、珍しくビーツという野菜が朝食に使われた日のことです。
調理法がわからず、冷蔵庫に残されていたビーツでしたが、その味や調理法よりもこどもたちが惹かれたのは、その色!
ご飯を作りながらビーツの真っ赤な茹で汁を見て、「これで染め物をしたらきれいな色が出るのでは!?」と目を輝かせながら見つめていました。
一学期にはみんなでビワの葉で染めたり、クローバーを使って毛糸を染めていたこどもたち。「色」を見ると「染めてみたい!」が出てくる、だいだらならではのチャレンジ精神です。

そこで、残った茹で汁を使って染め物をすることに!
そうと決まれば、やりたい人を募って段取りを取りました。何をするにも段取りは命です。全員が役割を理解して、きれいな色を出すため、たっぷり話し合いました。
さらに今年のだいだらっこは草木染めへの関心が強い様子。
「誰か一緒に染めたい人〜?」と尋ねられれば、ほぼ全員が手を挙げます。そのため、大人数の布をまかなうために2日間という時間が必要だったり。
だからこそ暮らしや作業の合間を縫って、自分たちのチャレンジを叶えるために、協力と役割分担が大切になってきます。一人一人の予定と希望を擦り合わせて話し合う中で、段取りの重要性を感じます。

草木染めは染めるだけではありません。
綿や麻の布を染める時には、染まりやすくするために牛乳や豆乳などのタンパク質に数時間つけておく必要があります。また、ミョウバンなどの金属と一緒に布を茹でて、色を定着させやすくする媒染という過程も重要です。
染まるためには、下準備が必要不可欠。思っていたよりも草木染めは大変です。

下準備を終えたら、ようやく染め物が始まります。
その過程では、時間や火の強さなどを調節し、責任をもって確認する通称「染め物番人」がいます。その番人は時間ごと当番が割り振られ、様子や仕事内容を次の番人へと引き継いでいくことが染め物の鍵となります。複雑な流れを繋いでいくために、引き締まった顔でかき混ぜる番人たちです

さあいよいよビーツの真っ赤な染液が布に染まっていく!
みんなのワクワクとした気持ちが高まっていく中、その気持ちをからかうかのように、なんと茹でていた液体の色がみるみると赤から黄色へと変化するではありませんか!
なすすべもなく、あの真っ赤なビーツの色がレモンジュースのような透き通った黄色い液体に。

茹で終わり冷めていく中で布に色が浸透していくのですが、「せめて黄色く染まって」という願いもむなしく、やはり布もまっさらな白色のままでした。
前日から「どんな鮮やかな色に染まるんだろう」と期待を持っていた分、みんなのショックも大きかった様子。でも本に元々ビーツの染物がのっていないことは知りつつも、「やってみないと分からない!」という思いでチャレンジしたので、実際に自分の目で見て実感し、満足した様子ではありました。
2.マリーゴールド編
しかし、そこで諦めないのがだいだらっこ。

その翌週になんと学校から大量のマリーゴールドを貰ってきました。
ビーツで使った布を使って、ビーツでの反省を踏まえて、今回こそはとリベンジに気合いが入ります。

5kgのマリーゴールドを使って、なんと60Lの染液を作りました。ドラム缶のような大きな鍋をかき混ぜながら、何度も色を確認します。
結果はと言うと…

大成功!!
黄色く鮮やかに染まったシャツや布を見て嬉しそうに眺めています。ビー玉や輪ゴムを使って文様にチャレンジした布もキレイに形が出ていました。
さらに、染めるだけでは終わりません。

染まった布をブックカバーにしたり、水筒カバーにしたり、エプロンを作ったり。今後染まった布をまとめてパッチワークにしようと試みている人もいます。ものづくりはただ作るだけではない、その先に使う楽しみがあるから面白いんだなと私自身も感じます。
試行錯誤して、さらに使いやすい形や色を求めて作り続ける、終わりがないのが暮らしのものづくりです。

二学期に入って草木染めにどっぷりハマった子どもたち。なぜこんなに草木染めは魅力的なのか、みんなで話し合っていると、
「植物の種類や部位、採る季節によっても色が全然違うからおもしろいんだよ」
「本に載っていることが本当かどうか確かめたいし、載っていないものこそチャレンジして発見してみたい!」
との事。納得。

草木染めの面白いところは、
「どうなるかやってみないと分からないこと」
「身近なもので染められること」
「暮らしに使えること」。
そして、「1人だと大変だということ」。

暮らしの中で必要なものを作りながら、植物と自分とで作る色を楽しむ。
自分の目と手を使って発見する。
みんなで力を合わせるからいろんなチャレンジができる。
確かに魅力いっぱいです。

最近ではだいだらっこの野菜を見る目つきが違います。
「ナスは茎のほうが色が出るらしい!」「栗の皮から染めれないかな」と、視点は染め物職人。畑のナスがそろそろ終わりを迎えるので、今度はナスの茎を使って草木染めを試みています。さらに、ご飯作りで出た玉ねぎの皮や夕食で食べたミカンの皮を貯めておいたり、近くの山に登って「そよご」と「はぎ」を採ってきたり。
芸術の秋草木染め。だいだらぼっちの草木染めチャレンジは続いていきます。