山賊キャンプボランティアの声|裏方ボランティアのゆか(山賊キャンプOG)

今年もだいだらぼっちOBOGや元山賊キャンプ参加者がボランティアとしてたくさんお手伝いに関わってくれました。そのうちの一人、山賊キャンプに小1から中3まで参加し、その後ボランティア、長期ボランティアとして参加していたゆかにインタビューしました。

まずは自己紹介からお願いします

ゆかです。今は中学校の先生をしています。山賊キャンプには小学1年生から中学3年生まで毎年参加していました。その後、高校生は部活で忙しかったので大学生になってから相談員(ボランティア)をしています。

 

6年ぶりに参加した理由は?

たまたまバズ(GWスタッフ)と会ったときに、この時期ヒマなんだよねと話したら、「手伝いに来て」と誘われてきました(笑)。久しぶりに泰阜村に帰ってきたい気持ちもあったので困っているならと。
帰ってきたらすぐにあの頃に戻りました。

こどもの頃のキャンプの思い出は?


小1でベーシックに出て、その後は全部スーパーコースに出てました。
とにかくあのときは夏のキャンプのために生きていた(笑)。

特にその頃のスーパーコースは毎年同じメンバーがたくさん参加していて、しかも長い期間だから仲間同士の絆も深く家族みたいになるので毎回終わると大号泣してました。

楽しかったのは自分で決められることです。当時のキャンプは時代もあるけど、もっと自由でなんでもありで、とにかくやりたいことがやれる。学校と比べるともっとそう感じた。
川遊びも行かない子もいたけど、それぞれが過ごしたいように過ごすことが許されていて、そんな時間も楽しめる場が良かったなと。

一緒に参加していた姉は、その後「暮らしの学校だいだらぼっち(山村留学)」に参加しました。羨ましかったんですが、部活も忙しかったのと夏のキャンプに参加できないというのがひっかかって、メチャクチャ悩んだ末に参加しませんでした。

山賊キャンプで得たことはありますか?

山賊キャンプの相談員も同じ目線で一緒に過ごして、いわゆる当たり前の「大人とこども」ではない関係性が心地よかったです。その経験が、今部活の顧問をしているんですが、生徒との信頼関係を作る考え方につながっているかな。

川遊びをするとか、ごはん作りをするといったキャンプのメインの活動よりも、初めて会った人とまったりした時間にたわいのない話で盛り上がって、だんだん仲間になっていく、過程とかスキマの時間に価値があると知っていることもそうかもしれません。

教員をしてこどもたちを見ていると、決断が弱かったり、「チャレンジしたらいいのに」と思う場面で手が挙がらなかったり、内向きで周りに何か言われるのではないかとか、安定を求めている子も多いなと感じます。

山賊キャンプは学校では教えられないことが学べる場所です。ご飯作りとか、人と関わるソーシャルスキルとか。でもそれよりも大きかったのは、自分のことを自分で決めるという経験ができることです。こどもの頃に覚えているのは、だいだらぼっちに残って過ごすか、キャンプ場に戻るかの話し合いです。(※ 当時のスーパーコースは左京で過ごし、大きな川に行く際にはだいだらぼっちに泊まっていました)
だいだらぼっちの施設の方が水道もあるし、屋根もあるし、過ごしやすい。でもやっぱりそれは山賊キャンプとして違うんじゃないか、キャンプ場に帰ろうという人もいて。結果どちらになったか覚えていないんだけど、こどもたちが自分で話し合って結論を出した出来事はすごく印象に残っています。自分たちが決めたことが結果的に不利益を被ることも含めて、こどもたちに委ねられているってとても大きなこと。今の自分にも生きていると思います。

ゆかにとって泰阜村、山賊キャンプとは何ですか?

泰阜村は帰る場所。山賊キャンプは生きている意味でした。本当に夏のために生きていたので。
だからアイデンティティを含め、自分を育ててくれた場所なんだと思います。いやなこともたくさんあったんだと思うけど、それも含めてキャンプを終えた10日後には息ができないほど泣いたという経験は他では得られないものでした。

その経験を経て、ゆかはどんな人に山賊キャンプを勧めたいですか?

全ての人に参加してもらいたいです(笑)。異年齢で関わることや色んな大人と関わる経験も必要だと思います。当時、アリをつぶして遊んでいたら相談員にめちゃくちゃ怒られて(笑)。命の大切さをとうとうと語られたことを今でも思い出したりします。たくさんのこどもとたくさんの大人の多様な価値観に触れる経験がこどもたちを育てていくと思う。
そしてなによりも、「自分で自分のことをする経験」はこども時代に絶対にするべきです。

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号泣するほど楽しく、そのために1年生きていたという話は驚きであると同時に、こどもたちにとってそれだけ重要な時間だったのだと改めて身が引き締まる思いがしました。またその感動が20年以上の付き合いとなり、その経験が教員にも生きているということは山賊キャンプ冥利に尽きるというものです。


最後に話していた「自分で自分のことをする経験は絶対にするべき」という言葉。
どんどん便利になり、欲しいものがなんでも手に入る今の時代では、もしかしたら「自分で自分のことをしている」と思い込んでいるこどもたちも多いのかもしれないと感じました。
本当の意味で「自分で自分のことをする」という経験が、自分の足で人生を歩み、社会と繋がっていく上でとても重要な経験になります。
大人になった元こどもたちの言葉は私たちにとっても大きな学びがあります。