こどもからこどもへ伝え広げる力~放課後児童クラブ「いってきました」

こんにちは、「いってきました」のみけです。

寒くなると(寒くなくても?笑)「いってきました」では、当たり前に行われている「焚き火」。

この日は、1・2年生数名で「焚き火」にチャレンジしていました。

焚き火で燃やすものは、ストーブの薪に使うような乾いた準備されたものではなく、工作に使った残りの段ボールなど燃やせるものを使ったり、まわりに落ちている木の葉や小枝、工作に必要で切り出してきた竹の払った枝など、その日あるものを使って行います。

燃やすものをどう準備するのかが、火がちゃんとおきるかどうかに直結しているのですが、これまで上の学年の子たちの焚き火を見ていた1・2年生も自分たちなりに準備をして始めました。

実は前にもチャレンジしたことがあって、その時はマッチで火をつけることはできたけど、そのあと、というか、火をつける前の準備がうまくいかず、マッチの火を大きくすることはできなかったのです。さて、今回はうまくいくかな?

何度も焚き火をしているこどもたちは、いかにマッチ1本で火をおこすか、にチャレンジすることも多いのですが、まだまだ経験不足であることと、マッチを擦りたい子が何人もいるので、やりたい人みんなでマッチで火をつけていました。もう火はおきているけど、マッチを擦りたい子は火から遠いところに自分も火をつけていました。これが大きい学年の子たちがいると、「もうついているからつけなくていいよ。」「マッチがもったいないよ。」という声もあがってきますが、今日は1・2年生だけでチャレンジしていることもあり、お互いに火をつけたい気持ちがわかるからか、「やってみたらいいよ」というアドバイスをもらったからか、順番にマッチを渡してつけていました。

これまで上の学年の子と一緒に焚き火をしていたメンバーはマッチを擦るのもお手の物。今回初めてマッチを擦る2年生の女の子に、1年生の男の子がやり方を教えてあげる場面もありました。

そのあと彼女は無事に一人でマッチを擦ることができました。

もちろん大人からこどもに教えることもありますが、実はこんなふうにこどもからこどもに伝わることの方がちゃんとこどものなかに落とし込まれることも多くあります。1年生が教えてあげて、それを2年生が素直に聞いている姿は、なかなか見られないかもしれませんが、自分の知っていることを教えるのは、年上からだけとは限りません。知っているこどもから知らないこどもへ教える、というのは年齢の上下には関係ないのです。

「いってきました」は時間の使い方についても、遊びの内容についても、決まっていることは何もなく、自分でその日を組み立てています。なので、こどもによってやっていること(体験していること)はまちまちです。この女の子はたまたま今までマッチをする機会がなかっただけだし、この男の子はたまたま何度かマッチを擦ったことがあった。だから教えてあげられたのであって、特別なことではありません。

火をおこすことばかりに気持ちがフォーカスされてしまいがちですが、いざという時のためにちゃんとバケツに水を入れて用意もしていました。

この日無事についた焚き火の様子を途中で見に来てくれる上級生もいました。他の遊びをしながら気になったのか、或いは焚き火にあたりたかったのか、いずれにしても、この場に来たら「大丈夫かな?水はちゃんとあるね」「火、大きくなりすぎないようにね」「軍手した方がいいよ」と火にあたりながらも安全にやれているか、という部分についても自然に気を配ってくれています。

この気配りもまた、この日の1・2年生の中に落とし込まれ、いつかまた違う誰かへと伝わっていくのです。

こどもたちに「火」や「刃物」を任せることは、「危ないから」という理由で扱わせないことの方が多い昨今ですが、「いってきました」では、「何が危ないのか」「なぜ危ないのか」を理解し、「自分で自分の身を守る」「みんなでみんなの身を守る」ができれば、こどもたちでも扱える「便利なもの」「素敵な道具」として捉えています。なので、こどもたちが「やりたい!」と思ったら「焚き火」も自分たちでやります。(もちろん大人もそばにいます。)

「危ないから」というだけで「火」や「刃物」からこどもたちを遠ざけてしまったら、ずっと「どう扱ったらいいのか」を知らずに大人になっていってしまいます。扱い方を知らなかったら、いざ使う時に間違った使い方をして自分や周りの人にけがをさせてしまったり、何かを壊してしまったりというマイナスの力が働いてしまいます。でも正しい使い方を知っていれば、そこからたくさんのワクワクが生まれてきて、やれるようになることがどんどん増えて…と楽しいプラスの力がたくさん働きます。

そして、その楽しい力を広げてくれるのは実はこどもたち同士なのです。誰かが楽しそうにやっていること、得意気に見せてくれるその姿に憧れたり、自分もやってみたいと思ったりすることが次のチャレンジを産みます。さらには誰かに教えるというアウトプットまですることで自然とその技が身につき、今度は自分が楽しそうな姿を見せていくことで次の誰かに伝わって広がっていくのです。

思えばそれは当たり前のことで、鬼ごっこだってなんだって、こども社会の中のことはこども同士の中で伝わっていくのです。その時代でルールが変わっていくことも当然あるのでしょうけど、こどもが楽しいと思ったことはほかのこどもが放っておくわけがない!そして危ない側面がない遊びなんて殆どありません。鬼ごっこだってケガをするリスクはいつだってあります。それでもずっとずっとこども社会の中からなくなることはありません。なぜなら楽しいから。

焚き火だって楽しいのですから、(大人だって楽しいですもんね!)こどもたちの中で伝わらないはずがない!

リスク管理も含めて、こどもからこどもに伝わる力を信じて、これからもこどもの「やりたい!」を広げるサポートをし続けていきたいです。