2004年7月30日 『北陸豪雨に思うこと』
北陸地方の豪雨で大きな災害が出てから半月が経とうとしています。まずは、犠牲になられました方々にご冥福をお祈り申し上げます。福井市は私の生まれ故郷です。逆の堤防が決壊していたなら私の家も危なかったと聞いています。 それにしても、福井は様々な災害に見舞われます。1996年冬には福井県三国町の沖合いで重油タンカーが転覆し、海岸に重油が漂着し大災害になりました。当時は阪神大震災の翌年ということもあり、「よみがえれ日本海」というキャッチフレーズで全国から多くのンボランティアが集まり猛吹雪の中、重油まみれの石を拭く作業をしました。 その海は私がこどもの頃遊んだ海です。私もいてもたってもいられず重油ボランティアに参加しました。今、その海岸に立つと、真っ黒だったあの海がうそのように透き通った海がどこまでも広がっています。 人が集まる力はとても尊くそしてとてもすばらしいものです。福井県や新潟県で罹災された皆様、そして全国より駆けつけるボランティアの皆様に限りないエールを送ります。一人でも多くの方々が北陸地方豪雨を気にしていただき、災害の教訓を日常にいかしていただければと切に思います。 参考までに、96年当時にHPに載せたコメントを再掲します。ご笑覧ください。
「福井・三国重油事故ボランティア」 ◆福井県沖の日本海でタンカーが座礁して重油が流れ出した。海岸に漂着した重油をすくったのは、地元住民はもとより全国からかけつけたボランティアだった。 ◆当時の通年合宿「だいだらぼっち」のこどもたちも、96年1月19日〜20日と、2月1日〜2日の2回にわたりボランティアに参加した。「チャンスがあるなら行く。後悔したくないし、今行くことが大事だと思うから」「海が困っている。楽しい思い出をくれた海にお礼がしたい」「困っている人を助ける、協力したい」こどもたちの想いは明確だった。 ◆北陸は猛吹雪だった。重油でベットリした海岸の石をめくると重油がしみ出してくる。それをすくい、石を布で拭く。「ホントニウミハモトニモドルノダロウカ、オワリガアルノダロウカ」「キガトオクナル」「ボクタチ、ヤクニタッテイルノカナ」こどもたちはみんなそう感じた。そしてそれぞれに何かを感じた。 ◆海をキレイにするには、海に行って油をすくうことだけでなく、僕たちはたとえば、台所の流しに油を流さない努力をすることが大事だろう。「だいだらぼっち」のこどもたちはすぐ横を流れる天竜川を汚さない排水の知恵を出し合い実行している。そんなことを伝えるこどもたちが日本中・世界中に増えれば、きっとこれから海は汚れないだろう。 ◆そして、「だいだらぼっち」のこどもたちが福井に行った事によって、村の人が動き出した。みんな「ナントカシナケレバ」と思うけれど、結局「ドウシタライインダロウ」「シヨウガナイヨネ」だった。けれども「だいだらぼっち」のこどもたちが2回も行動を起こしたことによって、それらの想いは「ヤレバデキルンダ」「ヤッテミヨウ」になった。村の有志グループが重油回収ボランティアを呼びかけた。16人ほど集まり、村がマイクロバスなどを応援してくれて、2月8日福井へ行った。また、地元の小学校の校長先生が来られて、福井の様子やボランティアということついて話を聞きに来た。全校集会で話すのだという。飯田の高校の生徒会からも問い合わせもあったりした。
◆「コマッテイルヒトガイタラタスケルンダ」誠実さを胸に刻んで行動すれば、きっとみんな応援してくれる・理解してくれる。でもこれは暮らしの中では当たり前のようにあることだ。実は大きな災害救援の場を通して、こどもたちは日常の暮らしを見つめ直すことになったと思う。「自然との共生」「人との協力」「自分から働きかけること」。そして今回の経験が芽を出し、花を咲かせるのはきっと10年後くらいになるのだろう。「イッテヨカッタ」「コレカラツタエテイコウ」「スグミヂカニコマッテイルヒトガイルヨ」「キミハドウスル?」 (事務局長 辻だいち)
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2004年7月18日 『地域の力』
7月18日早朝、泰阜村田本地区住民総出で共同作業です。私たちNPOグリーンウッドのスタッフも当然ながら作業に出ます。今日は地区の水田水路の点検・掃除です。とはいっても、平地の水路ではありません。山岳地帯につき河川の水源から延々と引いてきた水路は、さながら信州の万里の長城とも言うべき先人の汗と涙の結晶です。水源まで、水路に沿った山道を歩いて1時間はかかります。その水路を、役割分担して、崩れているところは直して、という感じで午前中労働します。正直なかなかたいへんな作業でした。この作業があって、地区の水田や文化が守られ、そして命が守られるのです。 午後は、毎年春、夏、秋にある道路の清掃と草刈の共同作業です。暮らしの学校だいだらぼっちの子どもたちも、村民として当然の作業ですので出労しました。この、地域住民が、自らの手で地域を持続させていく営みにこそ、学ぶべき視点がちりばめられているのです。 そして夕方、NPOグリーンウッド敷地内の炭窯の前で、恒例の「暑気祓い」を行い、作業をねぎらって地域の皆さんと焼き肉パーティーをしました。NPOグリーンウッドの拠点である田本地区住民が家族みんなで駆けつけ、総数は40名以上。夜までとても楽しい一日でした。
このような地域の尊い営みの中で、私たちは活動させていただいています。この環境が私たち若者を元気にさせるのです。この幸せを感じるのは、私だけではないでしょう。すばらしい村です。(事務局長 辻だいち)
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2004年7月1日 『学生諸君! キャンプボランティアへようこそ』
NPOグリーンウッドの主催する「信州子ども山賊キャンプ」をサポートするボランティアリーダー申し込み受付が6月30日で終了しました。関東・中京地区を中心に、全国から延べ300人以上の申し込みありました。多くは福祉系、体育系、環境系、教育系の学生ですが、医療系や教員といった社会人や高校生からの応募もあります。 このボランティア体験は、NPOグリーンウッドの指導者養成講座の一部となり、青年への教育活動の意味も合わせ持っています。フランスでは、私どもNPOグリーンウッドのような青少年へ体験活動を提供する機関が2万箇所もあります。子どもへの体験を通した教育にとどまらず、それをサポートする青年への教育効果をねらった政府背策です。日本でも行政を始めとした各種機関が青年教育に取り組んでいますが、まさに私どもNPOが取り組むべきダイナミックな課題だと感じます。 信州子ども山賊キャンプでボランティアいただく学生諸君(社会人の方も)! アルバイトや旅行ができたであろう尊い時間と労力をかけてボランティアにくるのであれば、ぜひ自らを向上させようとする姿勢を持ってきてください。野外活動やこどもとの向き合いは、変数(予期できないこと)が多く、きっと皆さんの価値観だけでは対処できない場面に遭遇します。自らを信じて、そして全国からの仲間を信じて、共にすばらしいキャンプを創りあげることを期待しています。
改めて、ボランティア諸君! キャンプボランティアへようこそ!
7月中のボランティアをまだ募集しているそうです。思い立った人はぜひ連絡を。(事務局長 辻だいち)
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