2001年7月9日
『キャンプボランティアリーダー養成』
◆昨日8日、東京にて、NPOグリーンウッド主催夏キャンプのボランティアリーダー研修会を実施しました。総勢120人も集まりました(過去最高です)。多くは学生ですが、福祉関係や医療関係、環境関係の社会人も多数見られました。 ◆この研修会は、自然体験活動推進協議会(CONE)の指導者養成講座(21単位)のうち6単位を含んでおり、参加者はたいへん熱気あふれる態度でした。 ◆午後には国土交通省河川局河川環境課の課長補佐にもお越しいただき、川を活用した自然体験活動について、課長補佐とNPOグリーンウッド代表理事の村上(CONE常任理事)、参加者の女子学生の3人でパネルディスカッションも実施しました。 ◆午後の4時間は、「川に親しむための基礎講座」(国土交通省)としても認定されています。 ◆7月17日〜19日まで、いよいよ泰阜村で川の自然体験活動リーダーの養成講座です。また、7月20日〜8月30日まで、150人以上の若者が、NPOグリーンウッドの指導者養成講座に参加します。
◆安全に夏の自然体験活動を実施したいものです。
2001年6月30日
『CONE(自然体験活動推進協議会)の理事会と総会』
◆6月29日は、CONE(自然体験活動推進協議会)の理事会と総会が東京でありました。NPOグリーンウッドの代表理事・村上が現在、同協議会の常任理事(11名)でがんばっており、今回は代理出席です。現在、「自然体験活動リーダー(初級)」登録者は、全国で8000名を越えたそうです。 ◆週末で、教育改革関連法案も成立し、いよいよ青少年の体験活動がどんどん推進されるでしょう。CONEは今年度は、大学の科目の中でCONEリーダー(21時間)のカリキュラムを扱うこと、第一次産業従事者の講座(ある程度わざがある人)に力点をおくそうです。私どもの代表理事・村上は、常任理事会の中で、第一次産業従事者カリキュラム担当理事をまかされているところです。農業、林業をはじめ、四六時中自然と向き合っている人たちに、ちょっとした指導技術やプログラムの作り方、安全対策などをレクチャーして多くの人が資格を持てば、グリーンツーリズムや修学旅行の効果は高まり、事故も減るのではないでしょうか。 ◆そして、30日・1日と、これまた東京でトレーナー(指導者養成講座を開ける人)養成講座があり、私が第1期生として受講しているところです。私は講座開講回数的には多い方ですが、これから始めるという方が半数以上でした。 ◆来週末は、東京で夏キャンプのボランティアリーダー研修会を実施します。(本日は、名古屋で実施しています) 関東圏から約100名の学生・社会人が受講予定です。 ◆静岡県や沖縄県では、県庁の環境課などが中心となって自然体験活動指導者を養成しています。(プロデュースは民間)これをCONEの資格と連動しようということです。長野県においても、環境自然保護課?で指導員の登録を行っていますが、もう少しきちんとした養成講座を実施する方向で動いても良いのではないかと思います。
2001年6月18日
『森林環境教育全国シンポジウム』
◆6月16/17日と、山形県で開催されました「森林環境教育全国シンポジウム」(全国森林組合連合会主催・後援:林野庁・文部科学省・環境省・国土交通省・総務省)に講師として招かれ参画してきました。今年で3回目をむかえる同シンポジウムは、650人の参加者を全国から集めました。私は、第5分科会「森林環境教育とは何か」で講師でした。この分科会は、全体で最も多い150人の参加がありました。 ◆私は、泰阜村での「暮らしの学校だいだらぼっち」の森林整備の取り組みを教育学的にもとらえながら紹介し、全国の参加者からの質問などにこたえてアドバイスなどしました。泰阜村での取り組みは、山村留学をとびこえてまさにコミュニティスクールともいうべきものであり、その視点でも全国的に注目されたところです。 ◆今日は、東京の法政大学現代社会福祉学部でちょっとお時間をいただき、学生200人に、泰阜村での自然体験活動とボランティア実習(自然体験・福祉)、指導者養成などについて講義をしました。予想外に積極的な反応でした。多くの学生が、長野に目的を持って出入りしてくれると良いと思います。
2001年2月25日
『森林環境教育プログラム「陶芸登り窯」を実施』
2月21日〜25日にかけて、グリーンウッド遊学センター主催森林環境教育プログラム「陶芸登り窯」を実施しました。 このプログラムの特徴は下記の通りです。
1.やすおか村の有志で組織される「やすおか里山の会」や地元林家の協力をいただき、グリーンウッド遊学センター主催「暮らしの学校:だいだらぼっち」のこどもたちとスタッフ、地元のこどもたちや住民の参加で、田本地区の陶芸窯を運営する点。(このようなスタイルは全国では唯一) 2.燃料は、「暮らしの学校・だいだらぼっち」のこどもたちや森林整備・森林環境教育事業「レスキュー里山」に参加の都会・地域の人たちが村内の里山を間伐したものが主であり、まつくい被害木の焼却もかねており、その灰からまた陶芸の上薬を作るという、循環型サイクルプログラムであるという点。特に今年度は雪害被害木が地域の方々よりたくさん運び込まれた。 3.国内留学といわれる事業「暮らしの学校・だいだらぼっち」に参加するのこどもたちが、里山に間伐に入り、その薪を乾燥させ冬を過ごすというプロセスから、1.2に代表される地域のパートナーシップの構造や環境問題対策を体感するという教育プログラムであるという点 4.暮らしの学校のこどもたち、その保護者、地元のこどもたち、その保護者、学校の先生、地域のデイホームの老人、その他さまざまな人達の手作りの作品が入る、まさに生涯学習の取り組みである点。「泰阜村民がすべて、この窯で自分で焼いた食器でごはんを食べること」という素朴かつ地域に根ざした夢を持って取り組んでいる。 5.以上の事例は、2000年5月に愛知県瀬戸市で開催された「森林環境教育全国シンポジウム」(林野庁、文部省、全国森林組合連合会)、2001年2月に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「青少年野外教育全国フォーラム」(文部科学省)におきまして、当センター役員が事例発表し(講師参画)、全国的に反響を得たプログラムです。 また先日紹介した教育改革国民会議での中学生発表の中でも、この部分に触れ、大きな共感を呼びました。
現在、地域の教育力をいかに引きだしこどもたちの体験の場を形作るかということに、文部科学省をはじめ全国の教育関係者が知恵を絞っています。全国様々な地域で、里山保全と環境学習などのイベントや教室を開催しておりますが、私どもの事例が注目された理由は、「暮らしの学校」の生活に必要な燃料や生涯学習の場としての登り窯の燃料を、地元の方々の協力によって確保し、それらのプロセスからこどもたちの学習意欲を引きだすという、暮らしと里山、地域を結びつける教育プログラムであるという点です。 さきの国内留学など全国スタッフ交流会であげられた課題にあるように、地域と留学事業が接点を持つためにも、教育的内容を持つためにも、その普及モデルとして展開している側面も在ります。
このような地域型の活動でありながら、教育的にも環境的にもモデルと成りうる窯焚きに一度足をお運びください。
2001年1月17日 『阪神大震災被災児童の受け入れから6年』
◆6年前の今日、阪神淡路地域に未曾有の大地震が発生した。テレビ、新聞が悲惨な状況や死者数などを競って発表する中、私たちは「私たちに何ができるのか?」と南信州の地で考えた。数回、現地神戸市に足を運び、街の状況を肌で感じた。マスコミから受けるイメージと現地の状況はかけ離れていると感じた。平衡感覚を失うほど街がゆがんでいた。 ◆ボランティアの活発な姿や、ガレキと化した家の前にいけられた花が目に映る中、私たちは考えた。「被災児童の疎開受け入れができるのでは。もしニーズがあるのであれば、私たちの今までの経験と教育の場が役立つことになるのではないか」と。 ◆そんな折り、伊丹市の市民団体と私たちの地元泰阜村当局の両方から「被災児童の長期受け入れができないか」という要請があった。そして、市民団体が現地状況の調査と募集、泰阜村当局が行政と財政支援、私たちが児童の受け入れという、今思えばパートナーシップ事業のモデルとも言えるような協力体制ができあがった。 ◆1995年4月から1年間、西宮市の小学4年生女子2人が、1年間の長期自然体験教育プログラム=国内留学「だいだらぼっち」に元気に参加した。その夏休みには、2人が通っていた学校のクラスメイト17人を泰阜村当局がサマーキャンプに招待し、企画運営を私たちが担った。また1996年4月から2年間、神戸市灘区の小学5年生1人が「だいだらぼっち」に参加し、98年3月に泰阜南小学校を卒業した。 ◆「だいだらぼっち」で、彼らはたくましく育った。現地で復興に向けて親子が力を合わせるのと同じ位、離れた地でがんばることは大事なことだ。そう自分に言い聞かせて暮らす姿はいじらしいほどだった。そしてそんな彼らを受け入れた仲間たちがいた。様々な立場のこどもたちが共同生活する「だいだらぼっち」は、まさに「多様性の共存」をこころに刻む教育の場となった。 ◆その西宮の児童も今は中学3年で高校受験真っ最中だ。彼女から先日メールが来た。「高校行ったら県No.1の3ポイントシューターにになる! ほんまなるでぇ、あたしは!」 ◆6年が経ち被災支援の具体的活動が問われている中、これら一連の財政支援を長期にわたり続けた泰阜村に敬意を表したい。福祉政策、ソフト政策に力を入れている村ならではの支援だった。 ◆阪神地域の復興はまだまだだが、復興とは元に戻ることだけではない。建物、道路はもちろんだが、価値観も再構築されてさらに磨きがかかる。大震災が私たちに伝えるものは、この価値観の再構築だと考える。私たちは「多様性の共存」という価値観を、こどもたちと共に築き上げていこうと思う。そして初めて復興といえるのではないだろうか?
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