NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター
代表だいちのGREENWOODコラム



 2001年7月9日 
『キャンプボランティアリーダー養成』

◆昨日8日、東京にて、NPOグリーンウッド主催夏キャンプのボランティアリーダー研修会を実施しました。総勢120人も集まりました(過去最高です)。多くは学生ですが、福祉関係や医療関係、環境関係の社会人も多数見られました。
◆この研修会は、自然体験活動推進協議会(CONE)の指導者養成講座(21単位)のうち6単位を含んでおり、参加者はたいへん熱気あふれる態度でした。
◆午後には国土交通省河川局河川環境課の課長補佐にもお越しいただき、川を活用した自然体験活動について、課長補佐とNPOグリーンウッド代表理事の村上(CONE常任理事)、参加者の女子学生の3人でパネルディスカッションも実施しました。
◆午後の4時間は、「川に親しむための基礎講座」(国土交通省)としても認定されています。
◆7月17日〜19日まで、いよいよ泰阜村で川の自然体験活動リーダーの養成講座です。また、7月20日〜8月30日まで、150人以上の若者が、NPOグリーンウッドの指導者養成講座に参加します。 ◆安全に夏の自然体験活動を実施したいものです。



 2001年6月30日 
『CONE(自然体験活動推進協議会)の理事会と総会』

◆6月29日は、CONE(自然体験活動推進協議会)の理事会と総会が東京でありました。NPOグリーンウッドの代表理事・村上が現在、同協議会の常任理事(11名)でがんばっており、今回は代理出席です。現在、「自然体験活動リーダー(初級)」登録者は、全国で8000名を越えたそうです。
◆週末で、教育改革関連法案も成立し、いよいよ青少年の体験活動がどんどん推進されるでしょう。CONEは今年度は、大学の科目の中でCONEリーダー(21時間)のカリキュラムを扱うこと、第一次産業従事者の講座(ある程度わざがある人)に力点をおくそうです。私どもの代表理事・村上は、常任理事会の中で、第一次産業従事者カリキュラム担当理事をまかされているところです。農業、林業をはじめ、四六時中自然と向き合っている人たちに、ちょっとした指導技術やプログラムの作り方、安全対策などをレクチャーして多くの人が資格を持てば、グリーンツーリズムや修学旅行の効果は高まり、事故も減るのではないでしょうか。
◆そして、30日・1日と、これまた東京でトレーナー(指導者養成講座を開ける人)養成講座があり、私が第1期生として受講しているところです。私は講座開講回数的には多い方ですが、これから始めるという方が半数以上でした。
◆来週末は、東京で夏キャンプのボランティアリーダー研修会を実施します。(本日は、名古屋で実施しています) 関東圏から約100名の学生・社会人が受講予定です。
◆静岡県や沖縄県では、県庁の環境課などが中心となって自然体験活動指導者を養成しています。(プロデュースは民間)これをCONEの資格と連動しようということです。長野県においても、環境自然保護課?で指導員の登録を行っていますが、もう少しきちんとした養成講座を実施する方向で動いても良いのではないかと思います。



 2001年6月18日 
『森林環境教育全国シンポジウム』

◆6月16/17日と、山形県で開催されました「森林環境教育全国シンポジウム」(全国森林組合連合会主催・後援:林野庁・文部科学省・環境省・国土交通省・総務省)に講師として招かれ参画してきました。今年で3回目をむかえる同シンポジウムは、650人の参加者を全国から集めました。私は、第5分科会「森林環境教育とは何か」で講師でした。この分科会は、全体で最も多い150人の参加がありました。
◆私は、泰阜村での「暮らしの学校だいだらぼっち」の森林整備の取り組みを教育学的にもとらえながら紹介し、全国の参加者からの質問などにこたえてアドバイスなどしました。泰阜村での取り組みは、山村留学をとびこえてまさにコミュニティスクールともいうべきものであり、その視点でも全国的に注目されたところです。
◆今日は、東京の法政大学現代社会福祉学部でちょっとお時間をいただき、学生200人に、泰阜村での自然体験活動とボランティア実習(自然体験・福祉)、指導者養成などについて講義をしました。予想外に積極的な反応でした。多くの学生が、長野に目的を持って出入りしてくれると良いと思います。



 2001年2月25日 
『森林環境教育プログラム「陶芸登り窯」を実施』

2月21日〜25日にかけて、グリーンウッド遊学センター主催森林環境教育プログラム「陶芸登り窯」を実施しました。
このプログラムの特徴は下記の通りです。

1.やすおか村の有志で組織される「やすおか里山の会」や地元林家の協力をいただき、グリーンウッド遊学センター主催「暮らしの学校:だいだらぼっち」のこどもたちとスタッフ、地元のこどもたちや住民の参加で、田本地区の陶芸窯を運営する点。(このようなスタイルは全国では唯一)
2.燃料は、「暮らしの学校・だいだらぼっち」のこどもたちや森林整備・森林環境教育事業「レスキュー里山」に参加の都会・地域の人たちが村内の里山を間伐したものが主であり、まつくい被害木の焼却もかねており、その灰からまた陶芸の上薬を作るという、循環型サイクルプログラムであるという点。特に今年度は雪害被害木が地域の方々よりたくさん運び込まれた。
3.国内留学といわれる事業「暮らしの学校・だいだらぼっち」に参加するのこどもたちが、里山に間伐に入り、その薪を乾燥させ冬を過ごすというプロセスから、1.2に代表される地域のパートナーシップの構造や環境問題対策を体感するという教育プログラムであるという点
4.暮らしの学校のこどもたち、その保護者、地元のこどもたち、その保護者、学校の先生、地域のデイホームの老人、その他さまざまな人達の手作りの作品が入る、まさに生涯学習の取り組みである点。「泰阜村民がすべて、この窯で自分で焼いた食器でごはんを食べること」という素朴かつ地域に根ざした夢を持って取り組んでいる。
5.以上の事例は、2000年5月に愛知県瀬戸市で開催された「森林環境教育全国シンポジウム」(林野庁、文部省、全国森林組合連合会)、2001年2月に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「青少年野外教育全国フォーラム」(文部科学省)におきまして、当センター役員が事例発表し(講師参画)、全国的に反響を得たプログラムです。
 また先日紹介した教育改革国民会議での中学生発表の中でも、この部分に触れ、大きな共感を呼びました。

 現在、地域の教育力をいかに引きだしこどもたちの体験の場を形作るかということに、文部科学省をはじめ全国の教育関係者が知恵を絞っています。全国様々な地域で、里山保全と環境学習などのイベントや教室を開催しておりますが、私どもの事例が注目された理由は、「暮らしの学校」の生活に必要な燃料や生涯学習の場としての登り窯の燃料を、地元の方々の協力によって確保し、それらのプロセスからこどもたちの学習意欲を引きだすという、暮らしと里山、地域を結びつける教育プログラムであるという点です。
 さきの国内留学など全国スタッフ交流会であげられた課題にあるように、地域と留学事業が接点を持つためにも、教育的内容を持つためにも、その普及モデルとして展開している側面も在ります。

このような地域型の活動でありながら、教育的にも環境的にもモデルと成りうる窯焚きに一度足をお運びください。



 2001年1月17日 
『阪神大震災被災児童の受け入れから6年』

◆6年前の今日、阪神淡路地域に未曾有の大地震が発生した。テレビ、新聞が悲惨な状況や死者数などを競って発表する中、私たちは「私たちに何ができるのか?」と南信州の地で考えた。数回、現地神戸市に足を運び、街の状況を肌で感じた。マスコミから受けるイメージと現地の状況はかけ離れていると感じた。平衡感覚を失うほど街がゆがんでいた。
◆ボランティアの活発な姿や、ガレキと化した家の前にいけられた花が目に映る中、私たちは考えた。「被災児童の疎開受け入れができるのでは。もしニーズがあるのであれば、私たちの今までの経験と教育の場が役立つことになるのではないか」と。
◆そんな折り、伊丹市の市民団体と私たちの地元泰阜村当局の両方から「被災児童の長期受け入れができないか」という要請があった。そして、市民団体が現地状況の調査と募集、泰阜村当局が行政と財政支援、私たちが児童の受け入れという、今思えばパートナーシップ事業のモデルとも言えるような協力体制ができあがった。
◆1995年4月から1年間、西宮市の小学4年生女子2人が、1年間の長期自然体験教育プログラム=国内留学「だいだらぼっち」に元気に参加した。その夏休みには、2人が通っていた学校のクラスメイト17人を泰阜村当局がサマーキャンプに招待し、企画運営を私たちが担った。また1996年4月から2年間、神戸市灘区の小学5年生1人が「だいだらぼっち」に参加し、98年3月に泰阜南小学校を卒業した。
◆「だいだらぼっち」で、彼らはたくましく育った。現地で復興に向けて親子が力を合わせるのと同じ位、離れた地でがんばることは大事なことだ。そう自分に言い聞かせて暮らす姿はいじらしいほどだった。そしてそんな彼らを受け入れた仲間たちがいた。様々な立場のこどもたちが共同生活する「だいだらぼっち」は、まさに「多様性の共存」をこころに刻む教育の場となった。
◆その西宮の児童も今は中学3年で高校受験真っ最中だ。彼女から先日メールが来た。「高校行ったら県No.1の3ポイントシューターにになる! ほんまなるでぇ、あたしは!」
◆6年が経ち被災支援の具体的活動が問われている中、これら一連の財政支援を長期にわたり続けた泰阜村に敬意を表したい。福祉政策、ソフト政策に力を入れている村ならではの支援だった。
◆阪神地域の復興はまだまだだが、復興とは元に戻ることだけではない。建物、道路はもちろんだが、価値観も再構築されてさらに磨きがかかる。大震災が私たちに伝えるものは、この価値観の再構築だと考える。私たちは「多様性の共存」という価値観を、こどもたちと共に築き上げていこうと思う。そして初めて復興といえるのではないだろうか?



 12月26日 
『冬の自然体験活動リーダー養成講座開講!』

◆国内最大の自然体験活動推進組織である「自然体験活動推進協議会(CONE)」認定の指導者養成講座を、長野県教育委員会の後援を受けて開講しました。この講座では、グリーンウッド遊学センターの中級資格と同時に、CONE初級資格が取得できます。関東、中京、信州地域から、18歳から26歳までの男女13人が受講しました。
◆CONEが認定する全国各地の団体で開催されるそれぞれの団体の特色や活動分野をいかした講座を受ければ、CONE認定共通初級資格が取得できます。
◆グリーンウッド遊学センターでは「地域に根ざす」「生活体験」「長期プログラム」という、他団体ではあまり重要視されない要素を盛り込んだ特徴的な講座となっています。手法や技術獲得を主目的にしている受講生もいましたが、「木を見て森を見ず」にならないよう、ここでは人間の暮らしと自然との「つながり」を、里山を舞台とした実習・体験を通して体得してもらうことを心がけました。
◆高校・大学その他での指導者養成事業の委託を承っています。詳しくは当センター事務局まで。



 2000年12月13日 
『北陸で初の事業活動説明会開催!!』

◆福井県福井市の市民グループに招かれ、当センターの自然体験教育事業の活動報告・説明会を開催してきました。東京をはじめとする関東地域、名古屋など東海地域、神戸など関西地域での説明会や講演会の開催はありましたが、北陸地域では初めての説明会でした。
◆当日は福井県内各地から、県教職員組合の方や元教員、林業家、農家、環境教育関係者、ガールスカウト関係者、親子劇場の方、保育士、インターネット関係者など、関心のある方約20人の参加がありました。私たちの自然体験教育事業説明はもちろん、福井県の教育現状や自然体験教育の効果など、話題はつきませんでした。
◆北陸地域、特に福井県では、自治体など行政主導の自然体験活動は若干あるのですが、市民レベルで推進する自然体験活動の場が極端に少ないようです。まずは、ひとくくりに自然体験活動に取り組んでいる方々の情報交換、情報共有から始まるのではないかと感じました。私たちは微力ながら北陸地域における自然体験活動の普及につとめていきたいと思います。



 2000年10月28日 
『 教育改革国民会議で「だいだらぼっち」のこども(中学2年生・女子)が意見発表』

◆10月28日午後2時〜5時まで、内閣総理大臣の私的諮問機関「教育改革国民会議」(座長=江崎玲於奈芝浦工大学長)について意見を聞く公聴会「一日教育改革国民会議」が東京・千代田区の九段公会堂で開かれ、450人の傍聴者に囲まれて、公募によって選ばれた(150人の応募者中10人)意見発表者10名と国民会議委員が意見を交わしました。
◆同会議の中間報告で奉仕活動の義務化が提唱される中、私たちグリーンウッド遊学センターは自らの意志で参加しているこどもの声・現場の声を届けたいと思い意見発表者に応募しました。
◆見事「だいだらぼっち」のこども(中学2年生女子:愛知県出身)が発表者に選ばれ、彼女は1年間親元を離れて共同生活する長期自然体験・生活体験合宿のおもしろさや、強制のない子供たちによる丁寧な合意形成の暮らし方について、中学生らしく元気良く発表しました。 ◆公聴会は全国4箇所(福岡・大阪・東京・新潟)で開催されましたが、中学生が意見を発表したのは彼女が初めてでした。



 2000年10月3日 
『国際キャンプ会議で世界初の試み』

■10月3日に東京・国立オリンピックセンターで開催されました「第5回国際キャンプ会議」(ICF・実行委員会・国立オリンピックセンター・社団法人日本キャンプ協会主催:文部省・環境庁・朝日新聞社ほか後援:800人)におきまして、「だいだらぼっち」に参加しているこどもたちが、1時間30分の発表をしてきました。
■この会議は、キャンプを教育手法としている世界中の教育関係者のための唯一の国際会議、いわばキャンプ関係者のオリンピックです。私達の発表がたいへん注目されたのは、1年間の教育キャンプというプログラムに現在参加中のこどもたち自らが企画・運営するという世界で初めての試みだったという点でした。
■5人のこどもたちは、ロシアやアメリカなど20数人の参加者に対して、緊張しながらもワークショップを運営しました。1年間参加してきたこどもが語る「だいだらぼっち」の活動内容や、とてもこどもが運営しているとは思えない軽快な進行とアドリブに、参加者は一様に驚きの声をあげていました。
■こどもたち自身が自分たちの参加する活動プログラムを紹介するというチャレンジは、まさに世の中が求めている「生きる力」を「だいだらぼっち」のこどもたちが培っていることを意味するものとなりました。
■会議後数日して、ワークショップに参加したアメリカの方から感想のメールなどが届き、こどもたちの小さな外交が始まりました。
■平日参加ということで、泰阜村長、教育長、中学校長、また保護者の皆様には特別のご配慮をいただきました。この場を借りまして御礼申し上げます。



 2000年8月6日 
『自然体験活動推進協議会(略称CONE)』

■文部省、環境庁、建設省、農水省、林野庁、国土庁などのサポートを受けた国内最大の自然体験活動推進組織である『自然体験活動推進協議会(略称CONE)』が設立され、さる5月30日に文部大臣出席のもとに、設立祝賀会が開催されました。
■また、CONEの初代理事に当センター理事長(ムサシ)が就任しました。当センターの15年にわたる長期自然体験教育・生活体験教育の実績などが評価されたといえます。
■現在CONE東京事務所では、全国新聞各誌及び全国ネットテレビでの取材、紹介が相次いでおり、日本で初めての自然体験活動における統一指導者登録制度を、官主導ではなく民間団体のネットワーク、つまりNPO主導で運営するという点で、たいへん注目を浴びております。
■8月4日に東京で第2回理事会が開催され、登録制度の現状と今後の活用のしかたなどについて活発な議論が行われました。今夏は日本で初めてのCONE認定指導者養成講座が全国で約20ヶ所開催されています。
■私どもグリーンウッド遊学センターも、CONE認定指導者養成団体として初めての認定指導者養成講座を8月3日〜6日にかけて実施しました。数人の登録申請者=「CONEリーダー」が誕生する予定です。
■教育活動も結局は人=指導者だと言われます。自然体験活動においても、指導者の質が問われる時代になってきたことをひしひしと感じます。



 2000年4月9日 
『1年間の段取り:チャレンジ365』

■グリーンウッド遊学センター主催事業:生活体験型総合学習活動「だいだらぼっち」のこどもたちのある場面から。
■「だいだらぼっち」の特徴的な内容として、こどもたちの意志を尊重した運営があげられる。こんなことは教育現場ではどこでも言ってそうなものだが、ここは本当にそれを実践している。何しろ1年間のスケジュールが白紙なのだ。その白紙に、こどもたち自らがスタッフのアドバイスを受けながら、プログラムを企画して予定を埋めていく。その最初の作業が「1年間の段取り」である。
■この日、まず3日前にみんなで出し合った「夢」を整理してみた。そうすると「こどもの家を作る」「野菜を作る」「ハーブを育てよう」「登り窯をやりたい」「お風呂の修理をしよう」「お米を作ろう」「犬小屋作ろう」「ホームページを作ろう」「山登り」「カヌー」「沢登り」などなど、いっぱいありすぎて書ききれない。この中でも、長期的に計画しないと実現しそうにないものやみんなでやった方が良いもの・おもしろそうなもの、生活していくためにやらなければならないことなどに整理していく。
■そして365日のカレンダーとにらめっこして、ここにいる仲間のこの1年をレイアウトしていく。これがおもしろい。「梅雨までにやっておくことは?」「春と夏で冬用の薪を作っちまおう」「1ヶ月に1度は天竜川でカヌーだ!」・・・。みんなで知恵を出し合う。工夫し合う。協力し合う。自分たちで自分たちの暮らしをデザインする。このおもしろさにひかれて、こどもたちは全国から集まってくるのだ。
■今年度は、「米作り」「冬用の薪の準備」「梅雨対策の家の修理」が3本の柱となった。これらは生活していくためにやらなければならないことに分類されたものだ。そして、どれもが自然を相手にしたプログラムである。
■今年の春から来年の春まで。毎日毎日が、ここに集う仲間一人一人の自分へのチャレンジ、チームワークへのチャレンジ、未知の世界へのチャレンジである。1年間の生活体験型総合学習活動、まさに「チャレンジ365」なのだ。



 2000年2月20日 
『青少年野外教育全国フォーラム:地域とこどもの相乗的成長へのチャレンジ』

■2月19日(土)〜20日(日)にかけて、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにて、「第3回青少年野外教育全国フォーラム」が開催された。野外教育・環境教育の関係者が一同に会し、情報交換・交流を図るとともに、青少年の野外教育推進のための課題などを研究するフォーラムで、昨年度までは文部省の主催事業だった。この分野では、最も大きな会議である。
■フォーラムの中で、@連携を考えるAプログラムを考えるB安全を考えるC企画指導者D総合学習と野外教育E子ども長期自然体験村の6つの分科会に分かれて論議する。このうち第6分科会の「子ども長期自然体験村」で事例発表者と研究討議助言者の指定をグリーンウッド遊学センターが受けた。
■1999年夏に開催した「やすおか子ども体験村 チャレンジ14」が、全国50箇所の「子ども長期自然体験村」のうち3つの優良事例指定を受けたのである。これはたいへん画期的なことであり、特に長野県では全国でも最も多い9つの地域で実施されたのだが、その中でも唯一の事例発表だった。
■当日のフォーラムには300人を超える人が集まり、長期の自然体験の必要性を反映してか、第6分科会に約60人という大勢の人が集まった(ちなみに最も人気があったのは第5分科会の総合学習)。分科会の議論の中心は、2週間という長期プログラムの内容をどうするか?ということだった。参加者に来年度実施予定の方々が多かったこともその理由だろう。
■私は一貫して地域の構造変革による効果を主張した。こどもたちだけを取り出して、プログラムがあーだこーだといじくるのではなく、こどもたちが体験をする場をいかに地域の大人が整えていくのか?むしろそれこそが、こどもたちにとって良い効果をもたらすのだ、そして地域も大人も成長するのだ、という相乗的成長(スパイラルアップ)の構造を明らかにした。
■私たちグリーンウッド遊学センターは、日本における長期教育プログラムのスペシャリストの自負がある。14年間に渡り、1年間の長期自然体験教育事業「だいだらぼっち」を実践し、現場の中で構築した長期プログラムの理論及び教育手法は、これまで短期プグラムを中心にてがけてきた他団体ではおそらくまねできないものだ。しかし、プログラム内容や教育手法に目が奪われているうちは、長期プログラムの魅力を引き出せない。
■南信州やすおか村という地域に根ざし、10数年暮らしてきたスタッフが、地域のポテンシャルを引き出した。地域の大人がチャレンジした。同行した実行委員長が分科会で発言した。「60年生きてきて、私は人生観が変わった」と。「このような人を地域にどんどん育てていかなければならないのです」と、フォーラムの全体会で第6分科会のコーディネーターをつとめた信州大学の教授が提言した。
■まさに、泰阜村で、『生きた教育』が行われている。



  1999年11月22日 
『フランス視察:自然体験教育システムの先進地へ』

■11月15日(月)から11月20日(土)まで、当センター会長率いる視察団がフランスの自然体験教育システムを視察調査した。この視察団には同システムに関心のある一般の方も参加し、スタディ・ツアーの形もとっている。
■フランスの自然体験教育システムは、平成11年度文部省委嘱事業「子ども長期自然体験村」のモデルとなったバカンス・余暇センター=CVL(Centre for VacationandLeisure)に代表されるように、アメリカと並んで世界の自然体験教育先進地といわれている。
■今回は、フランス政府青少年スポーツ省バカンス・余暇センター課長等との政策ディスカッションの他、フランス最大の野外活動団体UCPA(Union national desCentres Sportifs de Plein Air)所長とEU部署担当者との自然体験教育についてのディスカッション、そしてパリ近郊のCVL2箇所を視察調査とセンター長と実践内容や課題等についてディスカッションをした。
■フランスでは、1960年代の同システム制度化以来、2万箇所(!)のCVLが機能し、青少年に自然体験の機会を与えている。特に2〜3ヶ月というバカンスが定着しているフランスにおいては、お国柄ともいべき長期自然体験の教育プログラムが充実しているのである。
■仏政府政策担当者及びUCPA所長、CVLセンター長、そして当センターの見解の一致点は、国の枠を越えてのネットワーク形成と情報交換、そして共同事業の必要性である。その実現に向けて固く握手し約束を交わしてきた。
■今後、草の根でありながら、グローバルなネットワーク構築が期待される時代になっていくだろう。日本においても、行政や民間団体などが結集して、自然体験の統一指導者登録制度開発や野外教育全国フォーラム開催などの動きが活発化している。今後の自然体験教育の国内・国際ネットワークの動きに注目されたい。



1999年8月15日
『神奈川県丹沢でのキャンプ水難事故から学ぶもの』

■夏のお盆の最中、神奈川県丹沢水系玄倉川で起きた水難事故は、私ども自然体験教育団体に大きな衝撃と教訓を与えるものとなった。不幸にも命を落とされた方々のご冥福を祈ると共に、ご遺族に心からお悔やみを申し上げたい。
■さて私どもグリーンウッド遊学センターは、自然を舞台に教育活動を行う民間団体として、この事故についての所感を述べたい。基本的に自然の中での活動はリスクを伴うものである。活動の種類やフィールドによっては、生死が問われるレベルの活動もある。リスク回避を追及すれば自然の中での活動などはやめた方が良い。しかし、そこでやめるのであれば、自然体験から得られるであろう様々な恩恵をあきらめてしまうことになる。大きな恩恵を受けることがわかっているから、現代の人々はやはり自然の中に出て行くのである。
■ここで大事なポイントは、自然体験活動にはリスクがあるのだということを認識する努力、そのリスクをマネジメント(管理)する能力を向上させる努力、そしてそのリスクは当然オウンリスク(自己責任)が原則なのだということを認識する努力である。
■キャンプなどを通して様々な人々と接する機会が多いが、現代の大量消費型の都会生活に慣れた人々は、上記にあげた3つのポイントの認識が残念ながら薄いのではないかという危機感を感じる。なぜだろうかと考えたとき、「直接体験の少なさ」があげられるのではないだろうか。直接的な人との関わり、自然との関わり、社会との関わりが希薄になればなるほど、本来人間の持つ動物的な危機管理能力が失われていくのではないだろうか?
■マスコミ等の論調は、レスキュー方法やダム管理のあり方を問い、自然の恐さを認識せよ、川でのキャンプの方法などという具合だ。しかし、方向を見失ってはならない。問題の本質は、自然の中での活動に限らず、現代の人々が「オウンリスク」と「リスクマネジメント」という視点を欠いていることにある。
■それらの視点を持つための有効な手段となる「直接的な自然体験」が今こそ必要なのだ。次の犠牲者を出さないためにも、規制や禁止事項といった対処療法だけではなく、人間ー自然ー社会という枠組みのあり方を問うような官民一体の取り組みが求められると考える。



1999年7月10日
『グリーンウッド遊学センター理事長が文部大臣と懇談』

◆7月5日(月)、グリーンウッド遊学センター理事長村上が泰阜村長松島氏とともに、文部省にて有馬文部大臣と約40分にわたり長期自然体験教育などについて報告及び意見交換をさせていただきました。特に今年度泰阜村が文部省より委嘱指定を受けた「子ども長期自然体験村」の準備状況の報告と、泰阜村が14年前から支援を続けているグリーンウッド遊学センター主催の1年間の長期自然体験教育事業「通年合宿・だいだらぼっち」の事業報告をして参りました。また村上理事長は懇談の中で、生涯学習の先進地として文部省の泰阜村視察や長期自然体験活動の教育的意義の調査研究などについて要望しました。
◆この懇談は、私どもグリーンウッド遊学センターが2年前から文部省青少年教育課と長期自然体験教育に関して情報を交換しており、このたび委嘱事業の指定を泰阜村が受けることに伴って強く文部省に懇談を依頼して実現しました。
◆懇談の中で有馬文部大臣は、「やすおか子ども体験村 チャレンジ14」に参加する児童の作文などを手にしながら「自然体験・生活体験が豊富な子ほど、道徳感・正義感が強いという調査結果がある。今こそ地域が一丸となって子供たちに意図的・計画的に自然体験活動、特に親元を離れた異年齢の共同生活による長期の自然体験を進めていかなかればならない」と、行政・民間・地域の方々などがパートナーシップを築き村一丸となって「子ども長期自然体験村」を受入体制を整備する泰阜村とグリーンウッド遊学センターの取り組みを高く評価しました。
◆また文部大臣からは、通年合宿「だいだらぼっち」の事業に対し、「1年間の自然体験・生活体験活動で、子供たちがどう変化していくのか、文部省としても調査していかなければならない」と、意義のある事業なので積極的に推進して行くよう励ましのお言葉を頂きました。
◆村上理事長は松島村長とともに、「泰阜村は過疎に悩む村ではあるが、福祉がそうだったように教育についても常に先見性を持った取り組みを行ってきた自負がある。学校美術館や帰国者学級の開設、地域の方が先生となる”ふるさと学級”の創設やグリーンウッド遊学センターの誘致など、今年6月に出された生涯学習審議会答申の答申内容を10年は先取りしていると感じている。今回の懇談、委嘱事業を機会に、生涯学習・長期自然体験の村やすおかを名実ともに全国にアピールしていきたい」と語りました。
◆「やすおか子ども体験村:チャレンジ14」は、全国51ヶ所の「子ども長期自然体験村」指定地域の中でも特に行政、民間、地域がバランスよくパートナーシップを築いていると言われています。文部省のねらいは、子どもたちへの長期自然体験の機会の提供と共に、実は地域がいかにその地域のポテンシャルを引き出してこどもたちの受け入れ体制を作るのかというプロセスにあると感じています。泰阜村がなぜ注目されるのかという疑問への答えは、このあたりにあるのではないでしょうか。
◆「やすおか子ども体験村:チャレンジ14」の実施日程は7月29日〜8月11日の13泊14日です。7月下旬には文部省青少年教育課の視察団が現地入りし、さらに期間を通して筑波大学体育科学系の調査研究も入ります。

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