次世代を担う教師を育てる一年間の教師・指導者育成プロジェクト

育成プロジェクト・とんぼ 【事業報告】
2020年度指導者育成プロジェクト参加者 秋田裕貴 
     〜1年間育成プロジェクトとんぼ学びのコラム〜


4月の研修報告  →  研修担当バズのふりかえり
5月の研修報告  →  研修担当バズのふりかえり
6月の研修報告  →  研修担当バズのふりかえり




 6月育成プロジェクトとんぼ研修報告

盛りだくさんのイベント

6月も5月に引き続き、たくさんのイベントありました。その中でも印象に残っているふたつのイベントについて詳しく書きたいと思います。
一つ目は、「梅雨野宿」です。その名の通り「梅雨の中で野宿がしたい。」との声から始まったイベントで、当初は寝る場所から作ろうとブルーシートとマイカ線を使い屋根を作ったり、雨が溜まるように周りの土を掘ったりしていました。しかし、建設途中に何度も大雨に打たれ、断念せざるを得ませんでした。結局は、既に屋根を張っていた普段洗濯物を干している場所に横から雨が降り込むのを防ぐためにさらにブルーシートを張り、地面に段ボールとブルーシートを重ね寝床とすることにしました。準備段階から色々あり迎えた当日。雨は降っていませんでした。物足りない気もするがしょうがないと、こどもと楽しくおしゃべりをして眠りについたのは束の間、ふと気づくと頭が涼しい気がしたのです、、、そう、雨漏りしていたのです。そこからどんどんこれは朝まで耐え忍ぶしかないと時計を見るとまだ2時でした。そこからどうやって朝まで耐えたか覚えていませんが、とても長い一夜となりました。朝みんなの寝袋についた雨水の模様がその激戦を物語っていました。また、多くのこどもが体や寝袋が濡れているとあたふたとする中、何事もないかのように寝ているこどももいてメンタルの強さを感じました。
二つ目は、「修学旅行ごっこ」です。こちらもその名の通り「修学旅行をモチーフにしたごっこ遊び」ですが、その内容が凄まじかったです。まずは、大将、若女将、見習い等々役割を決め、なりきったり、お料理は箸袋からお品書きまで凝りに凝ったものを提供したり、レクリエーションをしたりと旅館「最亭」を舞台にもはやごっこ遊びレベルではないものが展開されました。一番驚いたのが、係の中心となり、内容を決め、黙々と準備に取り組んでいたこどもが中三男子だったことです。自分が中三だった時、この遊びにここまで全力で取り組むことはきっとできていなかったと思うので、その姿には驚かされました。
一見しょうもなく見えるものも頭を使い、体を使い、全力で取り組み自分たちの手で面白くする。これぞだいだら流の遊び方の真骨頂だと感じました。

深く関わる
こどもとの関わりにおいては、4月にはじめましての状態から一緒に暮らす中で、何気ない会話をしたり、冗談を言い合ったりするといった場面においては関係性もかなりできてきたと感じています。しかし、こどもが抱える悩みについて深く考えたり、自分が伝えたいや思っていることを伝えたりするということに関しては、踏み込み切れていない感じがしていました。一対一でじっくりと話す場面も大事だということは頭ではわかっていても、どうしてもハードルが高く感じ、日々慌ただしく流れる暮らしにおいて中々機会を設けられずにいました。そんな中、この場面はゆっくりと話ができるという場面がありました。それは、風呂焚きを一緒にする場面です。これまで特に意識してきませんでしたが、焚きつけ場は、風呂焚き担当のこどもしかいないという限られた場で、かつ、梅雨時ということもあり焚きつけに時間がかかるので、ある程度まとまった時間が確保できるため語り合うのにはもってこいの場面だと気付きました。
私自身、薪で風呂を焚く暮らしについてはじめは、めんどくさいなという気持ちもありましたが、ある時からおもしろいと感じるようになり、こどもに「一緒に焚きつけしよう。」と誘ったり、焚きつけをしているこどもがいたらスルスルと近づいたりと気軽にできていました。実際話す中で、悩みや将来のこと等、普段話すことが少ないことも話すことができました。今後も一つの機会として意識していければと思います。


□ 6月研修担当バズのふりかえり 

スタッフ・ばず「雨の中で野宿ってできるのか」「一見しょうもなく見えるもの」これらの言葉が私自身にささりました。身近にあるものや誰もが知っていること、素朴な疑問など日常の中でたくさんあるこれらのことに着目することは、「当たり前」に向き合う大切な瞬間です。こどもたちの想像力にはいつも驚かせられますが、今回得た経験は想像しただけではなく、行動したからこそ得られたものではないでしょうか。そして、実際の行動の一歩手前で、こんなことやってみたいという言葉を発する行動があったはずです。お互いに感じている当たり前は違う。だからこそ、言葉にして伝え合い、そして行動する。そうして生まれた今回の2つのイベントはトンボにとってなによりもよりも価値があったのではないでしょうか。



 5月育成プロジェクトとんぼ研修報告

5月を過ごして

5月を振り返り一番印象に残っていることは、「1か月過ごしてみての話し合い」です。これは「考えなきゃいけないと思う」というこどもの声から始まったもので、新たな生活がスタートしてから1か月が絶ち、自分が過ごしにくいと感じていること、やめてほしいと思っていることを語り、これからどうすればみんなが過ごしやすいだいだらぼっちを作っていくことができるのか考えました。こどもたちからは様々な意見が出てきました。普段、表には出さないが、抱えている想いや仲間に伝えたいことはたくさんあり、むしろ表にださないことの方が多いのだと感じました。私も、一緒に暮らしている仲間として感じていること、モヤモヤしていることを全てではありませんが、伝えることができ、良かったです。
話し合いの中では、気になっていることだけでなく、良かったこととして「みんなで団結して作業をする時の集中力がすごい」「みんなで遊んでいる時の雰囲気がすごく良い」という意見がでました。本当にその通りだと思います。本来なら保護者や卒業生を交えて行われる予定だった三大イベントの一つ「ゴールデンウイーク合宿」の代わりに行われた薪作業や田植えのように作業日が今月は多くありました。私自身も始まる前は、人数が少ない中、終わるのだろうかと不安はありましたが、いざ始まってみれば本当に一瞬であっという間に終わったという印象です。その過程には、2年目以上の継続のメンバーを中心に作業に熱をもって取り組む姿や、各々「力に自信があるから薪割りをする」、「木について知識があるから広葉樹と針葉樹、ストーブ用薪と風呂用薪を分けていく」と自分が持つ力を出せる役割を担う姿が周りにどんどん伝染していき結果的には、例年よりも早いペースでの作業に繋がったと思います。
こどもたちとの関わりの中では、出し物大会に向け、手話歌や漫才、寸劇などに取り組む中でより良いものを作ろうとこどもと一緒に考えたり、悩んだりすることはとても面白く、0から作っていくことの楽しさを感じました。普段遊んでいる時の顔とは少し異なるこどもの顔を見ることができ新たな一面を知ることができました。


保護者の方、地域の方とのつながり

5月は保護者の方、地域の方とのつながりを感じることができた月でもあります。
まずは、保護者の方とのつながりについてです。本来ならゴールデンウイーク合宿で保護者の方と関わる機会があったはずですが、今年は中止になってしまいました。代わりにだいだらぼっちと、各家庭をZOOMで結び「はじめの会」というものを開催しました。リハーサルなど綿密な準備を重ね迎えた当日、久しぶりに動く家族の様子を見たこどもたちには笑顔が溢れていました。照れながらも嬉しそうなこどもたちの表情が印象に残っています。短い時間ではありましたが、各家庭の雰囲気を感じることができ、こどもたちがだいだらに来る前の暮らしを想像することができました。
次に地域の方とのつながりについてです。地域の方に野菜を頂きに行く機会がありました。そこでおいしい野菜をだいだらっ子に食べてほしいとこだわり抜いて作っているとお話を聞くことができました。昨年度は、だいだらぼっちで食べるお米はすべて泰阜産のお米で賄うなど、精神的な応援だけでなく、食料としての援助も地域の方から頂いているとのことです。だいだらぼっちに関わってまだ日が浅いですが、だいだらぼっちが成り立つためには、保護者の方や地域の方の協力があってこそだと思います。外に出ることが思うようにはできない現在の生活の中では、見えにくい繋がりもありますが、確かに繋がっていることで私たちの暮らしがまわっていると感謝しながら今後も暮らしたいと思います。
また、私自身この1年間の大きな目標の一つとして「泰阜村・グリーンウッドについて語れるようになる」という目標を掲げました。村について知るためには、まずは、村民の方と関わらなければ何も始まらないと考え、具体的な行動計画として「村民の方30人と知り合いになる」ことを目指すこととしました。人との関わりを通じて何かを得たり学んだりすることは、私自身、大学での学びでも大切にしてきたことなので、この1年間特にこだわりたいです。泰阜村には、スーパーおじいちゃん、おばあちゃんがたくさんおられると聞いています。野菜を頂きに行った際にも、間引きの方法や肥料の与え方など、これまでの暮らしでは触れることのなかった知識を得ることができました。それだけでなく、上手く言葉にすることができませんが、その人が持つオーラやお話をしているその姿、言葉からその人自身の生き方や大切にしていることを垣間見ることができたような気がしています。3月まで全くの他所者だった私だからこそ学べることがあると思います。泰阜村での暮らしにも慣れてきたので、だいだらでの生活だけでなく、来月以降はもっと村民の方との関わりも増やしていきたいと思います。


□ 5月研修担当バズのふりかえり 

スタッフ・ばず1ヶ月が過ぎ、ふわふわとした雰囲気から現実の生活がだんだんと始まる5月はこどもたちの中にも不安が高まる時期です。いいたいことがあるけれどそこまでの関係性がまだでききらないこの時期はモヤモヤやイライラが溜まりがちです。相手に寄り添い耳を傾け、相手の声の先にある心を感じるのはそう容易ではありません。自分がどう思われるだろうか。見えないものがたくさん押し寄せる感覚があるかもしれません。話し合うことだけでなく、薪作業やご飯作り、風呂焚きなど日常の暮らしの中でも相手とのコミュニケーションを図るタイミングはそこら中に転がっています。お互いを知り合った5月。ここから、一歩踏み込むことを期待します。



 4月育成プロジェクトとんぼ研修報告

はじめに

今でもだいだらぼっちにいる「自分」というものが信じられない時があります。
大きなきっかけは去年の夏、教員採用試験に不合格になったことです。教員を目指し、教育大で学び、地元大阪の教員になるものだと信じて疑いませんでした。不合格になったことで本当に自分がやりたいこと、進みたい道について考えました。元々卒業後すぐに教員になって良いのか?という気持ちがあったこともあり、「せっかく落ちたんだからなにか面白いことをしたい!!」とあれこれ探している内にこの教師指導者育成プロジェクト(以下、育プロ)に出会いました。インターネットで育プロについて知ったのがちょうど申し込みが始まるタイミングで、その時私はだいだらぼっちはおろか、山村留学という単語すら聞いたことがない程無知でしたが、「これだ!!」と運命的なものを感じたことを覚えています。
育プロに参加するにあたり、この1年間の大きな目標として、「こどもと人として関わる」「グリーンウッド・泰阜村を語れるようになる」ということを挙げました。詳細については今後のふりかえりの中で活動中に起こったこと、感じたことと合わせて触れたいと思います。


激動の1か月を過ごして

だいだらぼっちの生活で一番驚いたことは、とことん話し合うこどもたちの姿です。だいだらぼっちでは、小学校4年生であろうが、中学校3年生であろうが、大人であろうが同じ一票をもっています。しかし、多数決で物事を決めることはありません。各々が持つ一票の責任を果たすためにどれだけ時間がかかろうともその場にいる全員が納得するまで話し合う場を設けるということが何度もありました。また、そうした話し合いを支えているのは、こどもたちの「家族」「仲間」としての意識だと感じました。日々の話し合いの中でも「結局私たちは家族だから」といった発言がさらっと飛び出すなど、こどもたちのだいだらぼっちに寄せる想いを感じました。
この1か月はだいだらぼっちのこどもたちにとっても私自身にとっても、激動の1か月といえると思います。家族から離れて暮らす決心をし、これまで赤の他人だった19人が集まり始まった家族としての生活。新型コロナウイルスの影響で学校に行けず、強いられる敷地内での生活。無意識の内に体の中に積もっていくストレスを抱え、想いが伝わらずぶつかることもありつつこの1か月を過ごし切ったこどもたちには尊敬の心しかありません。そんなこどもたちから日々学ぶ姿勢というのはこの1年間忘れずに過ごしたいです。
私自身としても悩んだ末決めたキャンプネーム「トンボ」としての生活、40人分の食事作り、これでもかというほど全力のケイドロや野球、こどもたちと毎日入る五右衛門風呂、もう一人の育プロ参加者ひーちゃんとのシェアハウス等々、想像を遥かに超える刺激的な毎日でした。朝、「ふーーー」と深呼吸をしてから臨んでいた日もありますが、育プロ史上の中でも、これほど濃密な1か月を過ごすことができた参加者はいないと感謝したいです。
本当にこの1か月は文字通り「あっ」という間で、この期間でこれから1年間の関係性の土台を作ることができたのではと、ほんの少しではありますが達成感があります。


5月に向けて
達成感はありますが、それ以上に課題、モヤモヤしていることもあります。
最も大きな課題としては、「相手に想いを届ける言葉選び」です。話し合いの時、普段の生活の中で気になる発言があった時、大人として頭ごなしにただ自分が思っていることだけを口にしてこどもたちに伝わっていないと思うことが多々ありました。それでは一緒に暮らしている仲間として無責任だと反省しています。思っていることを伝えるためには、どんな言葉を選び、どんな表情で言えば伝わりやすいのか、その一瞬が通り過ぎると流してしまうことも多いですが、その都度立ち止まって考えることができればと思います。
また、ふりかえりをしているときにバズから「こどもも二十歳になれば対等に意見を交わす仲間」、「その時にどんな言葉を言うかではなく、それまでに通じ合えているかも大事」という話がありました。こども、大人と異なる存在として接するのではなく、本当の意味で関係性を築き、想いを伝え合える仲間となることは、この1年の目標である「こどもと人として関わる」ことに直結すると考えています。そこに向けた具体的な道筋を探りつつ5月以降も全力でこどもたちとぶつかりたいと思います。


□ 4月研修担当バズのふりかえり 

スタッフ・ばず振り返りの中でトンボの言葉で印象に残ったのは、「せっかく」という言葉でした。自分の夢(進路)が閉ざされたとき、ネガティブな感情が渦巻くところでその環境から何を学ぶのか、自分がいまやるべきことは何なのか。直感的に育プロの扉を叩いたトンボの姿勢は尊いものだと感じました。1年間は楽しいこともたくさんありますが、想い悩むことも同じくらい出てくることでしょう。そんな時に一年間のチャレンジを決心したその事実がトンボを前進させる原動力になると思います。良いことも悪いことも、すべてのことを自分の糧として、貪欲に学び取る。そんな1年間を過ごしてほしいと思います。



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