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代表だいちのGREENWOODコラム


2018年8月1日
それは私が本気になったからだ 〜オールジャパンでこどもを育てる夢をカタチにする〜


ここ2年の講演履歴を振り返ってみた。まずは開催場所。大学の講義は東京や名古屋など都市部が多い。しかし講演は、明らかに地方が多い。福井、山口、石川、島根、高知、長崎、広島、京都、兵庫、栃木、熊本などなど。どこも豊富な自然資源や文化歴史資源がある。それらをどう活かして次の地域を創っていくのか。そしてそれを担う人を育てていくのか。日本全国の地域が抱える、ある意味普遍的な課題でもある。そのような地域から最近、お呼びがかかっている。

最近の講演のテーマ・演題は「『ひとづくり×地域づくり』の素敵な未来」というものが多い。その地域が持つ教育力をカタチにできれば、素敵な地域になっていく、というものだ。私にとっては、泰阜村における30年の実践を語っているだけに過ぎないことなのだが、聴衆の反応はすこぶる良い。そんな講演の場では、最後に私の夢を改めて語ることにしている。

その夢とは、私の住む泰阜村の子どもを、他の地域に留学させることだ。暮らしの学校「だいだらぼっち」は30年かけて、500人以上の卒業生を輩出してきた。「だいだらぼっち」の一年の成果は、子どもたちが自分の本拠地(家族のいるところ)に戻ってこそ発揮される。一年間の山村での暮らしが、その後の生活や周囲との人間関係、地域に生かされる。それを30年見続けてきた。

ならば、なぜ私は泰阜村の子どもこそ、一年間「違う場所」へ留学させないのか。私は「一年間の旅をさせることが、その子どもの人生に大きな成果を与える」と信じている。だからこそ、「泰阜村の子どもこそ留学させるべきではないのか」と考えるのだ。小中学生のうち、留学を希望する子どもには、一年間だけ行政が経費負担をする。もちろん希望しない子どもがいてもよい。留学制度は、あくまで自主的・自発的な判断が必要で、行政はその自主性を経済的に支援するべきというのが私の考えだ。

ただし、「違う場所」といってもどこでもいいわけではない。趣旨に賛同する地域が連携・協働する。たえば海のある漁村、大平原の農村、絶海の孤島、都市部だっていい。もちろん、国外の地域でもかまわない。10箇所の地域が趣旨に賛同すれば、その地域間で交換留学が可能だ。泰阜村の子どもは、一人は北海道、一人は島根県、もう一人は沖縄の離島。その替わりに泰阜村に来る子どもは、四国から一人、福島から一人、富山から一人というように。

この考え方は、日本の教育行政の考え方を根底から覆す。義務教育9年間に、希望する子どもは一年間だけ国内交換留学ができる。そんな大胆な教育行政は、おそらく国主導では進まない。責任を持つ覚悟のある小さな地域同士が、県境を越えて教育の質を高めるために協働する。小さな地域が発揮する教育力をもっともっと束にしよう。小さな村の教育力を、オールジャパンで発揮させようではないか。

1年という期間がネックであれば、まずは3日とか1週間からでもかまわない。オールジャパンでこどもを育てようという夢だ。こどもたちだけではなく、いずれNPOスタッフ同士、役場職員同士、教員同士、猟師同志、農家同士などなど、夢は広がる。

こんな私の呼びかけに、聴衆はどよめく。ちょっと昔なら「何バカな事言ってるの?」という感じだったが、最近は違う。「ぜひ実現させてみたい」というどよめきだ。時代が動いていることを強く感じる。

いや、違うな。時代が変わったからではない。それは私が本気になったからだ。この10年、この夢を描いてきた。でも、どこかあいまいな、煮え切らない態度だったのだと、自分でも想う。今、私は本気である。腹を据えるからこそ、周囲に共感者が増えるのだ。夢を本気で語るからこそ、仲間が増える。

日本中にそんな仲間が増え始めた。今年度、まずは鹿児島の離島:与論町とその構想を実現化する動きを創る。やるといったらやる。その強い想いを胸に秘め、次の地でもまた夢を語ろう。仲間探しの旅は続く。皆さんも、一緒にやりませんか。
 代表 辻だいち




2018年5月1日
 それが私の使命 〜小さき弱い山村の地から、自律の人を創る〜


 日本海の海を見つめている。ここは若狭小浜。若くして亡くなった姉の一周忌で福井県に来ている。

 私の実家は、大飯原発から10キロ圏内。再稼働された高浜原発や、美浜原発からも20キロ圏内には軽くおさまる。地元では原発について声をあげにくいものだ。立地自治体の財政は、6割が原発交付金でまかなわれている状況をみれば、それはやむなしだろう。

 それでも私は、若狭小浜にルーツを持つ人間として言いたい。

 どうしてこの国は、小さき弱い立場の人々や地域を、ここまで犠牲にし続けるのだろうか。あれだけ地方を痛めつけておきながら、その反省や総括もしないままに、今さら地方創生か、と「いい加減にしてくれ」と叫びたくなる。そう想ったのもつかの間、秘密保護法、安保法制に、沖縄辺野古、原発再稼働、改憲に共謀罪。そして、権力者夫妻を必死で守るために、公文書改ざんセクハラなど目を覆うばかりの行政・政治の信頼失墜。

 次から次へと、世界が壊れていく。モノ言えぬ社会が迫りくる。国外で武力行使をすることが積極的平和だという社会が迫りくる。命よりも経済を優先する社会が迫りくる。

 この国は、ハンセン病という、人を人としてみなさない歴史があった。今も、もしかするとそんな時代になってきてしまっているのではないか。国民を国民としてみなさずに、権力者が暴走する社会になってはいないか。

 壊れる社会を止めようもない。あふれる想いを止めようもない。流れる涙を止めようもない。何が私にできるというのか。それでも、それでも、背一杯、生きていきたい。

 一人一人が大事にされる社会を、小さき弱きひとびとや地域が犠牲にならない社会を、そんな社会を創る「ひと」を創らなければならない、ほんとにそう感じる。小さき弱い山村の地から、自律のひとを創る。私にはそれしかできない。そしてそれが私の使命である。
 代表 辻だいち




2018年4月1日
 つくづくこの村の教育力に感動する 〜ハイブリッドな役割を産み出してくれた〜


 改めて、私の新しい一年の挑戦を紹介したい。泰阜村は、「教育」をど真ん中に据えた村づくりを展開することによって、次の時代を生き残っていくつもりだ。世のため人のために行動を起こせる人材を輩出し続ける村。そんな戦略を進めるために、私は一昨年度から「泰阜村総合戦略推進官」を拝命されている。

 私に期待されているのは、「教育立村」の土台作り。観光でもない、企業誘致でもない、「学び」によって自律的な地域になるための戦略作りと、その着実な実行を期待されている。村からの給料はゼロ。私の方から「いらない」と言った。お金よりも自由度がほしい。
「私のようなNPO実践者を庁舎の中に置いておくよりは、野に放った方が良い成果を出せる」という訴えを、この村は受け入れてくれた。まあ、実際は、勝手に名乗っているだけだが(笑)

 村とNPOのハイブリッドな人材を、この地域が産み出してくれた。つくづく泰阜村の教育力に感動する。そのおかげで、ここ1〜2年は縦横無尽に動けている。私はNPO代表理事として全国を駆け巡るが、同時にその言動には村の政策実現の責任も伴うことにもなる。それを重荷に感じるのか、可能性と感じるのかは大違いだ。

 少なくとも私は、このハイブリッドな立場を「可能性」として捉え、小さな村が教育によって自律するための方策を日々考えている。今年の一年は、私にとって大きな意味を持つ変化や挑戦の1年になると勝手に想っている。
 代表 辻だいち




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