次世代を担う教師を育てる一年間の教師・指導者育成プロジェクト



北海道大学 名誉教授
北方圏体育スポーツ研究会・元北海道大学大学院教育学研究科教授

須田力教授 推薦

「だいだらを見ずして教育を語るな」と語った須田先生
その理由はなんでしょうか。先生の専門に沿って説明してもらいました。

だいだらぼっちの子どもたちの「体力」とは?

 いま、いじめや学力低下などさまざまな教育論議が沸騰しております。学力低下の問題では、学力テストの成績やエリート大学への合格者数で評価されている学力観が当たり前になっております。私の研究分野の体育学では、体力は、体力テストで測定される数値の高い低いだけで評価され、体育の成績はスポーツの上手下手で決められているのが当たり前になっております。徳力の発達が伴わない学力は他人を犠牲にして自分の富や名誉を獲得する手段にすぎません。徳力が伴わない体力は、いじめの手段にも利用されかねません。
 だいだらぼっちの子どもたちは、スポーツで素晴らしいパワーを発揮します。この理由として、泰阜村の学校の生徒数が少ないためスポーツでも低学年の子どもたちも高学年の子どもたちと常に全力で競り合う場面が多い、起伏の激しい地形の登下校などで自然な持久力が養われるため肥満になりにくい、テレビゲームやテレビに熱中する機会がなく仕事や外でのスポーツで体を動かす体のリズムができている、などがあげられます。
 しかし、だいだらぼっちの子ども達の体力の素晴らしさは、間伐材の切り出し、薪割り、炊事、洗濯、陶芸、村の共同作業への参加など、何よりも自分達が生きるために発揮されていることにあります。その過程で創意工夫、責任感、チームワーク、年少の子へのいたわり、自分が獲得した知識や技術を下の子に伝える力、おとしよりの持つ力の再発見といたわりの心、自然との共生などみんなが幸せに生きるための知力と徳力が一体になった体力が培われているのです。だいだらぼっちの子ども達や指導員とのくらしの中で、人間の発達のために最も本質的な「学力」や「体力」とは何か?それはどのように獲得されるのか、という問いを解く手がかりを求めてみませんか?


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