休日の過ごし方 (齋藤家の場合)

泰阜村に移り住んで14年目。せっかくの泰阜村での暮らしを家族でも楽しみたいときは、みんなで森に行きます。

ここは通称「あんじゃねの森」。元学校林の山を借り受けて、地域のこどもたちが遊べるように間伐をして整備している場所です。

ファイヤープレイスとベンチがあり、いつでも火が起こせます。長女がキャンプやグリーンウッドの学童で火おこしをしてきた自信もあり、私が火をつける!と息巻いていました。今回は娘たっての希望もあり、定番のマシュマロ焼き。

一番下の息子は見事に手がベタベタに。狭い我が家ならば、「他にさわらないで!」と大騒ぎになりますが、森の中であれば、おおらかに受け止められます。おおらかに見ているとこどもたちは少しずつ自分のベースでチャレンジを初めていくのがおもしろいです。特に息子はとても慎重派。やってみようと促せば促すほど、かたくなに何もしなくなりますが、お姉ちゃんの姿を見ているうちに、ちょっとずつ自分のペースでチャレンジをはじめます。今日も丸太の一本橋を渡らせようとしたら拒否されましたが、終わりごろには夢中になり、「もう一回、もう一回」と今度はなかなか帰れなくなりました。

民家も近くになく、我が家のたった5人だけの森。どこに行こうと、大声を出そうと自由です。体を動かしたい盛りのこどもたちにこれだけ恵まれた遊び場があるのは、本当にありがたいことです。

大人も火を見ながら、コーヒーを一杯。至福の時間です。

放置されたこの森を借り受け、ツリーハウスを建てたのが14年前。ヒノキの植林地で真っ暗だった森を、少しずつに手を入れてきました。正直、この森の整備にはたくさんの労力をお金がかかりますが、スタッフの気持ちと力を持ち寄り、ここ数年は保育園の年長さんが必ず遊びに来る場所になり、地域の小学生がキャンプをしたり、森のようちえん「まめぼっち」のメインフィールドにもなりました。今では、大学生のワークショップで整備を行ったり、「だいだらぼっち」のこどもたちが薪を運び出したり、炭焼きの材を出したりと、様々な人が関わり、関わる人が多くなればなるほど、豊かに森が変化するようになりました。

以前、村の同年代のこどもを持つお父さんと森で遊んでいたとき、「村のことはあまり好きでなかった。けれどこんな素敵な場所があることに驚いたし、感動した」おっしゃっていました。これまでがんばった甲斐があったなと感じた言葉でした。

わたしたちIターン者が普通の暮らしの中で泰阜村を楽しむことが、村の魅力をつなげることになります。自分たち家族のためにも、村のためにも、もっともっと村の中で遊ぼうと感じた1日でした。