だいだらぼっちの卒業生にインタビュー なおちゃん(1991年度参加)

こどもの頃に獲得した知恵はとても自然で違和感がない。私は自分の素直な気持ちを大切にできる大人になっていると思う。

だいだらぼっちの卒業生・保護者にインタビューするこの企画、今回はだいだらぼっち6期生のOGなおちゃんです。なおちゃんはだいだらぼっち六年目(1991年度)に小学4年生の一年間をだいだらぼっちで暮らしていました。


ーなおちゃんこんにちは!ここ何年かなおちゃんには山賊キャンプのお手伝いをしてもらっているので毎夏あってる感じですね。さっそくですが、自己紹介をお願いします!

1991年度、小学4年生の時に参加していました。羽佐田直子です。東京で看護師として働いた後に、現在は厚生労働省・那覇検疫所那覇空港検疫所支所で検疫官として働いています。

ー検疫官って、なおちゃんがそのお仕事に就くまではあまり身近ではなかったのだけど、今のお仕事に就こうと思った理由を教えていただけますか?

看護師としての最初の職場が精神科病院でした。精神科病院という閉ざされた場所でも外国籍を有している人に会うことがありました。そのような人たちに関わると、文化や習慣、考え方の違いなどを感じる事があり、「なんでこんな(日本人にとって)当たり前の事がわからないんだろう」という想いを長年抱いて仕事をしていました。

3年前、アメリカへ語学留学をしに行き、ホームステイをしたとき、今度は自分が日本とは異なる文化の中で生活する事がとても辛いという経験をしました。そんな私をいつも助けてくれたのは同じ学校に通っていたクラスメイトでした。

2018年6月グアテマラ滞在中、私が住んでいた街の近くで火山が噴火し160名程の方が亡くなりました。私はクラスメイトに誘われて被災地へ足を踏み入れ、救援物資を選別するボランティアをしました。その時に痛感した事が教育の大切さです。救援物資を受け取っても、これが何に役立つのか、どのように使えばいいのか現地に住む人々はわからず混乱している姿を目の当たりにしました。

そんな海外での体験と、帰国後、山賊キャンプに相談員として参加し、病院で看護するだけではなく、より多くの人々の健康や生活に携わる仕事がしたいと強く思い現在の仕事につきました。

ー看護師としての経験だけでなく、海外に語学留学に行ったことや山賊キャンプでの経験も今のお仕事に就くことを考えるきっかけになっているのですね!
ところで、 お仕事で大変だったことや困ったことはありますか?また、それらをどう乗り越えてきましたか?今は新型コロナウイルスのこともあってとても大変だと思うのでこの機会にたくさんの人に伝えたいことがあればぜひ!

困った事はたくさんあります。那覇空港で検疫法に基づいて検疫業務にあたっていますが、空港で働く上で、まずは日本の法律・空港の規則をきちんと理解すること。そして訪沖される諸外国の方の中で、病気を持った人が空港に来たら、その人が理解出来る様に病気についての説明や、病院への受診方法を説明するのですが、中には日本語はもちろん、英語も通じない人もいるのでどうしたら伝わるのか、日々悩んでいます。

現在、新型コロナウイルスが世界的に流行しています。私たちはこの感染症が発生しはじめた1月から警戒し、国内で感染が拡大しないように努力してきましたが、残念ながら現在はみなさんご承知の通りの状況です。現在も空港で検疫業務にあたっていますが、多くの人々が混乱しています。そんな人々と直面した時に、どう伝えれば理解して貰えるのか、理解して貰えない事もよくあります。そんな時は検疫官という立場ではなく人として話し合いをしています。話し合いながら、お互いに妥協出来る点や自分に出来る事を伝えています。

ー水際でたくさんの人たちや日本を守ってくれているのですね。改めて自分の知らないところでいろんな人がいろんな形で世の中を支えてくれているのだと実感しました。ありがとうございます!
話は変わりますが、なおちゃんがいたころのだいだらぼっちはどんな感じでしたか?

今思い出せば、かなり個性的なメンバーがいました。当時の私は大人しいタイプだったので、いつもかにさんと一緒にご飯を作っていた記憶があります。私にとっては、学校よりも優しく、家族よりも厳しい印象でした。

ー当時の出来事で一番印象に残っていることはなんですか?また、面白エピソードがあったら教えてください。

朝づくりをみんなサボりまくって朝から話し合いしてみんなで遅刻しそうになりました。ご飯も作られず、掃除もせずに…それで相談員と朝から話し合いした事も何度かありました。でも、そんな時こそ「これじゃやばい」ってみんな気付き、みんなで力を合わせてピンチを乗り越えた時の一体感は忘れられません。

ーだいだらぼっちでの暮らしは今のなおちゃんにどんなふうにつながってますか、あるいはどんなふうに位置づいていますか?

だいだらぼっちで暮らしていた時の経験はどちらかといえば大人になってから活かされていると実感します。

私は看護師として健康や病気に関わる仕事をしています。身体だけではなく健やかない心を持ちながら社会に参加にできる事が健康だと考えています。安全で快適な暮らしは私たちから危険を体験する機会を減らしてしまいました。「危ない」と感じることは「どうしたら上手くできるのか」と考えるきっかけを作ってくれます。

大人になると知識として理解する事はできるけど、こどもの頃に獲得した知恵はとても自然で違和感なく生活の様々な場面で活かす事ができます。大人になってからその素晴らしさを自分の経験から気づく事ができるので、私は自分の素直な気持ちを大切にできる大人になっているのではないかと思います。

ーなおちゃんが今夢中になっていることはありますか?あれば教えてください。その魅力もぜひ!

今も昔も海外旅行が好きです。そして、海外に携わる今の仕事が好きです。世界にはまだまだ知らない事がたくさんあります。行く先々でいろんな人・価値観にであえることと、それによって自分が成長できるのが魅力です。

ー自分の好きなことに通じるお仕事ができているなおちゃんは幸せですね!
そんななおちゃんの夢を教えてください。

自分の常識を超えた喜びや発見を人種や国を超えて喜び合える今だからこそ、どんなに大変なる状況でも世界中で支えてあえると私は信じています。そんな今だからこそ、場所に限定されずに人々の健康と生活に携わっていきたいと思ってます。

ー自分のためじゃないところに夢を持てるのは素敵ですね。世界中で支えあえる、みけもそう信じています!
今は新型コロナウイルスで検疫のお仕事も本当に大変だと思います。なおちゃんが倒れないように、気をつけてくださいね!

危機的状況になった時、誰かの責任にしないと話がおさまならい。結果的に立場の弱い組織や個人が犠牲になるのはおかしいですよね。そんな常識がまかり通ってしまうのが今の日本だと思います。ひとり一人がお互いに与えあう事が当たり前になれば、この混乱した状況もおさまるのではないかと思います。

私には応援してくれる人、支えてくれる同僚がいるのでまだまだ頑張ります。感染するかもしれない職業ではあるけど、私たちが仕事を辞めてしまったら、日本への物流が止まり経済は悪化してしまうし、海外からの支援を受け入れる事ができません。

1日でも早くこどもたちが安心して外で遊べるように、そして経済が安定するように、自分のできる事を頑張ります。

ー今のこの世界の状況は何とも言葉に言い表せないのだけれど、それでもなおちゃんのように考えて動いてくれる人がいると思うと元気が出てきます!
最後に今のだいだらぼっちのこどもたちにメッセージをお願いします!

人生に無駄な事は無い!何をしていてもいつか自分の強みになるよ。

ー看護師という仕事をし、その仕事をいったんは辞めてたくさんの国々を訪ね、たくさんの人に出会って今にたどり着いたなおちゃんだからこそのメッセージですね。ありがとうございました!

だいだらぼっちにいたときはまだ小さくて、大きな人たちに何か言うのは難しく、いつもかにの横にいたなおちゃん。いつの間にか世界を広げ、自分のことのように誰かのことを常に考えられる素敵な女性になっていました。今なおちゃんはまさに日本の水際を毎日懸命に守ってくれています。きっとみけの想像を超える厳しい状況だと思いますが、とっても素敵な笑顔に逆に元気をもらいました!本当に忙しい中、インタビューに答えてくれてありがとう!この状況が落ち着いたら、ぜひゆっくりだいだらぼっちに遊びに来てくださいね!いつでもお待ちしています!