これが山賊キャンプの人気のヒミツだ ~オキテその2 思いやる心をもつ~

大人気の「信州こども山賊キャンプ」。
その人気のヒミツに迫る連載企画、第2回。
今回は、「オキテその2 思いやる心をもつ」

その2 思いやる心をもつ
年上は年下を、力の強い子は力の弱い子をしっかり守り助けるのが山賊だ。
一緒に暮らす仲間のことをいつも思いやるべし。

山賊キャンプでは、こどもたちは10人程度のグループに分かれる。
50人のキャンプであれば5つのグループとなる。
男女、年齢、出身地、興味あることなど、なるべくごちゃまぜになるように分けられている。
「相談員」と呼ばれるボランティアリーダーがグループにつき3人ほどはりつく。
このグループはいわば「家族」。
「緊急事態が起こったとき、ごはんを食べるとき、他の家にはいかないでしょ? やっぱり家族で集まるでしょ?」と説明すれば、小学校低学年のこどもたちでもこのグループの意味がわかる。

グループのこどもたちは個性豊かだ。
力の強いこどももいれば、力の弱いこどももいる。
料理が得意なこどももいれば、料理はできないけれど片づけが得意なこどももいる。
そんななかで暮らしを進めるためには、相手を認めたり尊重する「思いやりの心」が欠かせない。

ところがその「思いやりの心」を育てるのは難しい。
「もっと思いやれよ」と言われたところで、どうしていいかわからないのがこどもだ。
山賊キャンプでは、次のように「思いやりの心」が育まれていく。

初日、火おこしの際に何もできなかったこどもが、最終日には仲間の調理に必要な火を操れるようになる。
ここでは単に火おこしが上手くなっただけではなく、他の人を思いやる気持ちも育つ。
次のコースに参加するこどもたちのために、大きなテントを修繕する。
土をさわるのも嫌がっていたこどもが、野外調理時に「もったいない」といってこぼれたお米を拾うようになる。
ここでも、修繕や調理の知識と技術だけではなく、仲間の暮らしを思いやる視点が育っている。

獲得した火おこしの技術や包丁の使い方を仲間のために使い、それに対して「ありがとう」と言われた時にこそ「思いやりの心」が育つのだ。
グループのなかで、さまざまな役割を分担し、尊重することを丁寧に積み重ねる過程こそが大切だ。

これが山賊キャンプのおきてだ!

次回は、オキテその3「食事は自分で作る」。
お楽しみに。

今冬の「冬の信州こども山賊キャンプ」が、来週から始まる。
キャンセルがあったりで、わずかに空きがあると聞いている。
もしご参加を検討されているひとが周りにいたら、ご紹介いただきたい。

代表 辻だいち