私にもできるかも! ~救命法国際インストラクターをひとねる~

救急救命法国際インストラクターをひとねる(育てるという意味の方言)。

私は13年前に一念発起して国際トレーナーになった。
一人一人が大事にされる世の中になるためには、まずは命の尊厳を守ることから、と強く想ったからだ。
13年前の12月17日にトレーナーとして認定されている。
こんな時期だったかそういえば。
以来、救命講座を運営できるインストラクター養成に力を注いできた。

今回は、兵庫県の山奥から自然の家施設職員2人が受講。
4日間、長い時間をかけてゆっくりと養成した。
どれだけ確かなスキルや深い知識があっても、それを使おうとする「気持ち」がなければ意味がない。
私が所属する「MFA(メディック・ファースト・エイド)」という機関は、受講生が講座を終えて帰る時に「救命法って難しい、やっぱり私には無理」ではなく、「救命法って難しい、でも私にもできるかも」と想ってくれるような救命法プログラムを開発した機関だ。

ご存じのように、私は国道も信号もない村に住んでいる。
こんな山奥に住んでいると、緊急事態の時に救急車が到達するのに多くの時間がかかる。
村の小中学校まで一番近い消防署(しかも隣町)から15~20分。
心肺停止状態のこどもがいた場合、何も施さなければ確実にその命は失われる。
私は長い間、へき地に住む人々こそ救命法を学び、そしてへき地にこそAEDを導入して、村に住む人が「あんじゃねぇ」(大丈夫、安心しろの意味の方言)と安心して暮らせるための土台創りに奔走してきた。

市井に生きるひとびとの命の尊厳や、ないがしろにされ続ける沖縄のひとびとの尊厳、戦乱や災害で失われていくこどもの命、それらに無関心になっている世の中。

今日、私が認定したインストラクターは、こんな世の中で「私にもできるかも」と命の尊厳に向き合う市民を育ててほしい。
信州の山奥から力いっぱい応援したい。

代表 辻だいち