「学び」をど真ん中においたアジアの平和構築へ ~そんな夢を持ち続けて18年~

熊本、鹿児島の後は、ソウルに来ました。
この看板、数字しかわからないけれど、おそらくサウナと書いてあるのでしょう。
熊本から鹿児島、そしてすぐに韓国。
身体がイカレるかもしれないとさすがに想います。
でも、美味しい韓国料理とサウナに癒されました。

さて、今回は一応仕事。
というか、毎回仕事ですが。
韓国に行ってきた、と言うと、決まって「いいな~」と言われます。
遊びに行ってたわけじゃない、と言い訳すればするほど「いいな~」と言われて。
まあ、結局は言い訳です(笑)

「友だちのいる国には、核ボタンは押さないよね」
これは、北東アジアのこども交流キャンプを2001年に始めた時の、素朴な想い。
こどもたちの自然体験教育キャンプをやってきて、寝食を共にするこどもたちが仲良くなっていく姿を、25年間この目で見続けてきました。
そうか、この手法を国際理解教育に生かそう!、そう想った若者が、国際交流×自然体験教育を実現しようと動き出します。

当時私もまだ30歳。
いやあ、若かったな。
ほとんど無謀なまでにモンゴルに飛び、信頼できるカウンターパート作りに奔走しました。
韓国、北朝鮮、ロシア、モンゴル、中国、日本。
この6か国は、とにかく大人たちの間ではいろいろあるややこしい関係の国々です。
でも、こどもたちは政治状況に関係なく、国を越えて仲良くなってほしい。
そう願い続け、そして実践し続けてきました。
以来、18年。
それは大きなうねりになりました。
「Kids’ AU」。
こどもたちのアジア連合のことです。

ソウルに来たのは、今年度の「Kids’ AU」キャンプのためです。
「山賊キャンプのアジアバージョン」と言えばわかりやすいのかもしれません。
2001年から始まるこのキャンプは、北東アジア6か国のこどもたちが、自然体験や生活体験を通して、相互理解を深めるキャンプ。
各国の手弁当で集うこのキャンプも、もう18年続いています。
だんだんと「歴史」になりつつあることを感じます。

18回目になる今年は、10月に中国大連での開催。
韓国、中国、モンゴル、日本の大人たちが打ち合わせに集いました(残念ながらロシアの代表者は所用で来れなかった)。
大連での準備は着々と進んでいるようです。

打合せの後、夢を語り合う。
その夢とは、こどもたちのアジア連合を創設することです。
こども時代に、国を超えて交流する。
こどもたちはオレンジパスポートというものを所持し、そのパスポートがあれば自由に各国を行き来できる。
そしてそれぞれの国では、青少年施設やゲストハウス、民泊などが無料で宿泊所を提供する。
われわれのような体験活動の団体もまた、無料でプログラムを提供する。
その費用は、それぞれの国(政府)が負担する。
国が負担できないというなら、民間や市民によるファンドを創る。
そんな夢を持ち続けて18年。
私が生きているうちはそんなことは無理かもしれません。
しかし、同じような想いを持つ若者たちを、この18年間で1000人以上産み出し続けてきました。
バトンタッチの時が迫ります。
いつかこの若者たちが、夢を実現してくれるでしょう。
そんなことをしぶとく夢見ています。

ソウルでは、仲間の家に泊めていただきました。
もう何度も泊まっているから勝手がわかります。
つくづく想うことは、アジアの各地に同志がいることのありがたさと心強さ。
平和に向けた想いは、国家というくくりでは断ち切れない。
こども時代にお互いを理解しあうキャンプをやっていく必要があるな、と改めて想います。
いつの日か泰阜村のこどもを、韓国や中国に留学させたいな。

そう、私の国内での夢(小さな地域同士の交換留学)と、アジアのこどもキャンプは、実は大きくリンクしているのです。
国の壁を超えて、小さな地域同士が、こどもの教育の質を高めるために協働する。
小さな地域が発揮する教育力をもっともっと束にしましょう。
各国の教育力をオールアジアで発揮させましょう。
国内交換留学の次のステージは、アジアのこどもたちの交換留学です。
アジア情勢が刻一刻と変化する今、18年やってきてこのキャンプを続けてきた意義をひしひしと感じます。
オールアジアでこどもと青年を育てましょう。
アジアのこどもたちが国の壁を超えて行き来するその日が来ることを夢見ましょう。

夢は語らないと実現できません。
「学び」をど真ん中においたアジアの平和構築へ。
地に足をつけた未来を創りを、皆さん、一緒にやりませんか。

代表 辻だいち