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事務局長しんのエデュケーションコラム


2020年5月
 山賊キャンプを中止すること

 今年度の夏の信州こども山賊キャンプの中止が決定されました。詳しくは代表辻の文章をご覧いただければと思います。

 コロナ禍中で学校も休校となり、外出自粛が続いて遊びも制限されているこどもたちにとって、夏のキャンプは大自然の中で心も体も思い切り開放できる希望のひとつだったのではないかと想像しています。これまで参加するこどもたちの中には、お年玉や誕生日のプレゼントをキャンプの参加に充てたという話しも聞いたことがあります。過去に新型インフルエンザの影響で1コースを急遽中止にした際も、こどもだけが参加するものでありながら、家族にとっても大切な時間なんですと伝えられたのを思い出します。
 たかがキャンプ、されどキャンプ。保護者やボランティア、応援してくれる地域の方、たくさんの想いが集まり、こどもたちが新たな自分と出会い、成長する場である山賊キャンプが創られてきました。それが中止という判断となり本当に悔しく、やるせなく、もどかしく思います。そして何よりこどもたちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 経営的にも団体を持続していくことの難しさに直面しています。しかし、この状況でわたしたちが問われているのは、どう稼ぐか?よりも自分たちは何者なのか?というアイデンティティーです。

 現在、多くの方が活動を制限されています。ライブハウスや演劇など、そもそも人が集まらなければ成り立たない現場に身を置いている方は切実な問題です。私も学生時代に仲間と劇団を立ち上げた経験があります。それまで何かに夢中になったり、のめりこむという経験がなかった私にとって、それは特別なものでした。当時、同じような状況でもし公演ができなかったらと考えると、自分は何をすればいいのか、自分の持つ時間とエネルギーを何に注ぎ込むのかと、心が路頭に迷ったのではないかと思います。今も舞台に立ち続けている昔の仲間から、この状況で公演ができないという話しを聞くと、その悔しさや不安はどれほどのものかとつらい気持ちになります。

 音楽や演劇で何かを表現する人たちにとって、生計を立てる以上に表現の場が奪われるというのは自分の存在意義に関わるのです。同様に今回のコロナで様々な行動が制限されている団体、業界、人々がいます。思い通りの行動できない状況で問われるのは、「あなたは何者なのか?何を通して社会にいるのか?」ということのような気がします。
 
 翻って、では私たちはいったい何者なのか?キャンプという表現が奪われたときにどう答えるのか?
 それは社会を豊かに変革するためのこどもや青年たちに対する教育者なのだと答えたい。
 キャンプはひとつの表現方法です。その方法が難しいならば新しい道を見つける。自分たちのアイデンティティーを守るためにも、こどもたちや社会に届く、新たな道を手に入れるためにチャレンジし続けなければならないと強く感じます。これからも応援をお願いいたします。





2020年4月
 わたしたちの今の状況とコロナの先

 晴れやかな気持ちで始まるはずの新年度が、コロナウイルス禍の中で悶々とした日々が続いています。
 このコラムも早い段階で書きはじめていたのですが、日々変わる状況で書くこと、書きたいことが変わり、なかなか落ち着かないままでした。
 まずは私たちの状況をお伝えします。

 4/1より2020年度の「暮らしの学校だいだらぼっち」が19名のこどもが集まりスタートしました。
 参加者には集合2週間前からの検温と人ごみや感染拡大地への訪問を控えることのお願い、集合してからは室内でのマスク着用と手洗いうがいアルコールスプレーの実施、食事も向かい合わせに座らず大広間での食事に、ソーシャルディスタンスをとった話し合いと徹底したコロナウイルス対策の下にスタートしました。県教委からの県外転入者の自宅待機要請もあり、だいだらぼっちの敷地内での2週間生活を経て大きな体調不良もなく過ごし、やっと学校に登校できるようになったのもつかの間、全国に出された緊急事態宣言により、また休校となりました。その中で村のこども向け放課後学童も臨時学童としてグリーンウッドが請け負うことになっています。夏の山賊キャンプも例年であれば、広報活動や様々な協力者との打ち合わせなど進んでいる時期ではありますが、今年度の開催はどうしていくべきか…というのが現在(4/21)の状況です。

 その間にも社会では緊急事態宣言が発令され、日々発症者のカウントが増えています。多くの寮生活を送る学校ははじめることも難しい状況の中で、様々な方たちからご協力とご理解をいただき、それでもなんとかだいだらぼっちや学童がスタートできたことは本当に幸運なことと感じています。そして何より、こどもたち自身も状況をよく理解し、自分たちの暮らしを続けるために主体者としてどうしていかなければならないか、「大人の言う通りにしなくてはいけない」ではない、「自分で自分の身を守る、自分たちで仲間の身を守る」を考える機会となったことは私たちにとっても学びとなっています。
 
 人の移動と活動が減ったことで、大気汚染の改善やCO2の減少、海や川がきれいになったいうニュースを聞くと複雑な気持ちになります。ひとつは、人間の行動が変われば確実に自然環境は良くなるという事実。やっぱり行動すれば変わるじゃないか!というもどかしさと、もう一方で、このコロナ禍が過ぎ去ったときに、揺り戻しのように経済復興が叫ばれ、また元の木阿弥に戻ってしまう危惧です。
 またテレワークで家族の時間が持てるようになったという明るい話しや、家庭学習でこどもたちが新たなチャレンジをしているという話しも聞こえてきます。一方で弱い立場の方たちはさらに追い込まれている状況も見えてきています。
 このコロナウイルス禍が生んだ様々な混乱、困難が与えるいくつかの示唆はこれまでの「当たり前」への疑問符の発露のように感じます。 

 果たしてこの状況から抜け出したときにある、私たちが本当に「求めている日常」とはいったいどんなものなのか?選び取る準備をしておかなければなりません。まだ過ぎ去っていない災害の最中ではありますが、既に新しい時代へスタートが切られているのです。 
 この時間を意味あるものに変えるのは一人ひとりなのだと強く感じます。








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